【詳細説明】静電シールド(静電遮蔽)の原理とは?身近な例は?

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この記事では『静電シールド(静電遮蔽)』について

  • 『静電シールド(静電遮蔽)』とは
  • 導体の外に帯電物がある場合の『静電シールド(静電遮蔽)』
  • 導体の中に帯電物がある場合の『静電シールド(静電遮蔽)』

などを図を用いて分かりやすく説明しています。

導体の外に帯電物がある場合

導体の外に帯電物がある場合
■導体を接地しない場合
接地をしていない導体Aの外に帯電物C(プラスに帯電)があるとします。この場合、導体内側表面には電荷は存在しません。導体は絶縁体と異なり、電荷の移動が可能です。静電誘導によって、プラスの電荷が帯電体から離れた導体外側へ、マイナスの電荷が帯電体に近い導体外側へ移動します。その結果、導体内側表面に電荷は現れず、導体本体の電場Eはゼロ、導体中空部分の電場Eもゼロとなります。等電位で電気力線もありません。このように、導体中空部分は外部の電場の影響を受けないのです。これを静電シールド(静電遮蔽)といいます。

■導体を接地した場合
接地をした場合どのようになるでしょうか。プラスの電荷は帯電物から離れようとし、グラウンドに流れ込みます(プラス電荷が地球に逃げていくということ。地球から自由電子・マイナス電荷が流入するともいう。)。そのため、マイナスの電荷が帯電体に近い導体外側にありますが、プラスの電荷は導体から無くなります。

導体の外に帯電物がある場合、接地をしても接地をしなくても導体中空部分は外部の電場の影響を受けないのが特徴です。

導体の中に帯電物がある場合

導体の中に帯電物がある場合
■導体を接地しない場合
導体Aの中に帯電物B(プラスに帯電)があるとします。すなわち帯電物を導体で包んでいるということです。この場合、静電誘導によって、導体の内側表面にマイナスの電荷、導体の外側表面にプラスの電荷が移動します。すなわち、接地をしない場合、導体で包んでも包まなくても、電気力線は同等になるため、帯電物の影響は外部に及びます。

■導体を接地した場合
 接地をした場合どのようになるでしょうか。導体の外側表面にプラスの電荷がグラウンドに流れ込み、導体外側の電気力線はなくなります。

導体の中に帯電物がある場合、接地によって、導体中空部分に存在する帯電物の影響が外部に及ばなくなります。これも静電シールド(静電遮蔽)といいます。

まとめ

導体の外に帯電物がある場合、外の電場を導体中空部分に届かないように遮断するためには接地の必要はありません。しかし、導体の中に帯電物がある場合、中の電場を導体の外へ届かないように遮断するためには接地が必要になります。

身近な例

落雷の際には、車の中に避難するよう言われますよね。これは、外の電場を導体中空部分に届かないようにするためです。変電所は金網で囲まれていますよね。これは中の電場を外へ届かないように遮断するためです。トンネル内やエレベータ内で携帯電話の電波が下がるのも中の電場を外へ届かないように遮断するためです。

静電気に弱い基板等と帯電物を分離するときに有効

静電気に弱い基板等と帯電物を分離するときに有効
電子部品や基板は静電気に弱いため、帯電物の影響を受けなくすることが重要になります。図のように帯電物から金属板を挟み、静電気に弱いものを置くと、静電気に弱い方の金属板の表面には電荷が現れないため、静電気に弱いもの付近の電界の発生を抑えることができます。すなわち、帯電物から出る電界が金属板で止められるのです。注意点ですが、このように電界を止めるためには、必ず金属板を接地してください。接地をしないと、静電誘導でプラスの電荷が静電気に弱い方の金属板の表面に現れます。

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