この記事では『ガウスの発散定理』について
- 『ガウスの発散定理』の公式と意味
などを図を用いて分かりやすく説明しています。
ガウスの発散定理とは
ガウスの発散定理とは、面積の積分(面積分)と体積の積分(体積分)の関係を表す公式であり、次式となります。
ガウスの発散定理の公式
- 面積ベクトル\(d{\vec{S}}\)を用いる場合
- 法線ベクトル\({\vec{n}}\)を用いる場合
\begin{eqnarray}
\displaystyle\int_{S}{\vec{E}}{\;}{\cdot}{\;}d{\vec{S}}=\displaystyle\int_{V}{\mathrm{div}}{\vec{E}}{\;}dV
\end{eqnarray}
\begin{eqnarray}
\displaystyle\int_{S}{\vec{E}}{\;}{\cdot}{\;}{\vec{n}}{\;}dS=\displaystyle\int_{V}{\mathrm{div}}{\vec{E}}{\;}dV
\end{eqnarray}
上式の左辺は面積分、右辺は体積分を表しています。このガウスの発散定理は、式から分かるように『面積分⇔体積分』の変換に用います。
上式だけだとイメージが湧かないと思いますので、次にガウスの発散定理の意味について説明します。
補足
ガウスの発散定理の意味
ガウスの発散定理の意味ですが、分かりやすく解釈すると、
ガウスの発散定理の意味
湧きだしたものが外に出ていく・・・当たり前といえば当たり前ですね。
では次に、立体内部から湧き出る量の合算\(\left(\displaystyle\int_{V}{\mathrm{div}}{\vec{E}}{\;}dV\right)\)と立体表面を通って外に出ていく量\(\left(\displaystyle\int_{S}{\vec{E}}{\;}{\cdot}{\;}d{\vec{S}}\right)\)について少し詳しく説明します。
立体内部から湧き出る量の合算
体積\(V\)の立体内部から湧き出る\({\vec{E}}\)の量の合算は次式で表されます。
体積Vの立体内部から湧き出る{\vec{E}}の量の合算=\displaystyle\int_{V}{\mathrm{div}}{\vec{E}}{\;}dV
\end{eqnarray}
上式の意味
まず『\({\mathrm{div}}{\vec{E}}\)』について説明します。
『\({\mathrm{div}}{\vec{E}}\)』とは、単位体積あたりに全方向へ湧き出る\({\vec{E}}\)の量のことを意味しています。
そのため、微小体積\(dV\)の立体から全方向へ湧き出る\({\vec{E}}\)の量は『\({\mathrm{div}}{\vec{E}}\)』に微小体積の『\(dV\)』を掛ければよいので、
微小体積dVの立体から全方向へ湧き出る{\vec{E}}の量={\mathrm{div}}{\vec{E}}{\;}dV
\end{eqnarray}
となります。
したがって、体積\(V\)の立体内部から湧き出る\({\vec{E}}\)の量の合算は、微小体積\(dV\)の立体から湧き出る\({\vec{E}}\)の量(\({\mathrm{div}}{\vec{E}}{\;}dV\))を足し合わせる(=体積分する)と求めることができ、
体積Vの立体内部から湧き出る{\vec{E}}の量の合算=\displaystyle\int_{V}{\mathrm{div}}{\vec{E}}{\;}dV
\end{eqnarray}
となります。
ここで、上式について、少し詳細に説明します。
体積\(V\)は、微小体積\(dV\)の足し合わせでできています。
ここで、微小体積\(dV_{1}\)から湧き出る\({\vec{E}}\)の量(\({\mathrm{div}}{\vec{E}}{\;}dV_{1}\))と隣り合っている微小体積\(dV_{2}\)から湧き出る\({\vec{E}}\)の量(\({\mathrm{div}}{\vec{E}}{\;}dV_{2}\))を考えてみます。
微小体積\(dV_{1}\)の『\({\mathrm{div}}{\vec{E}}{\;}dV_{1}\)』と微小体積\(dV_{2}\)の『\({\mathrm{div}}{\vec{E}}{\;}dV_{2}\)』の接触面においては\({\vec{E}}\)の向きが反対となっています。そのため、隣り合っている箇所においては、湧き出ている\({\vec{E}}\)が打ち消し合ってゼロとなるのです。
つまり、何がいいたいのかというと・・・
ということです。では、次に立体の表面から湧き出ている\({\vec{E}}\)の量(立体表面を通って外に出ていく\({\vec{E}}\)の量)を式で表してみましょう。
立体表面を通って外に出ていく量
表面積\(S\)の立体表面から湧き出ている\({\vec{E}}\)の量(立体表面を通って外に出ていく\({\vec{E}}\)の量)は次式で表されます。
表面積Sの立体表面を通って外に出ていく{\vec{E}}の量=\displaystyle\int_{S}{\vec{E}}{\;}{\cdot}{\;}d{\vec{S}}
\end{eqnarray}
上式の意味
まず、『\({\vec{E}}{\;}{\cdot}{\;}d{\vec{S}}\)』について説明します。
『\({\vec{E}}{\;}{\cdot}{\;}d{\vec{S}}\)』とは、微小面積\(dS\)を通る\({\vec{E}}\)の垂直方向(法線方向)の量のことを意味しています。
したがって、表面積\(S\)の立体表面を通って外に出ていく\({\vec{E}}\)の量は、微小面積\(dS\)を通る\({\vec{E}}\)の垂直方向(法線方向)の量(\({\vec{E}}{\;}{\cdot}{\;}d{\vec{S}}\))を足し合わせる(=面積分する)と求めることができ、
表面積Sの立体表面を通って外に出ていく{\vec{E}}の量=\displaystyle\int_{S}{\vec{E}}{\;}{\cdot}{\;}d{\vec{S}}
\end{eqnarray}
となります。
したがって、今までのことをまとめると、
となります。これを式で表したのがガウスの発散定理の公式であり、
ガウスの発散定理の公式
\displaystyle\int_{S}{\vec{E}}{\;}{\cdot}{\;}d{\vec{S}}=\displaystyle\int_{V}{\mathrm{div}}{\vec{E}}{\;}dV
\end{eqnarray}
となるのです。
【補足】E・dSって何?
ここでは、『\({\vec{E}}{\;}{\cdot}{\;}d{\vec{S}}\)』について説明します。
まず、面積である\(S\)にベクトルが付いた\({\vec{S}}\)について説明します。
これは、面積ベクトルと呼ばれるものであり、向きが面に垂直な方向(法線方向)で、大きさが\(S\)に等しいベクトルのことを指します。すなわち、\(d{\vec{S}}\)とは、向きが微小体積\(dS\)に垂直な方向(法線方向)で、大きさが\(dS\)に等しいベクトルのことを指します。法線ベクトル\({\vec{n}}\)を用いると次式で表されます。
\begin{eqnarray}
d{\vec{S}}={\vec{n}}dS
\end{eqnarray}
また、立体表面から湧き出ている\({\vec{E}}\)は立体表面から必ずしも垂直に出ているとは限りません。そのため、\({\vec{E}}\)の垂直成分の大きさを求める必要があります。例えば、上図の場合では、\({\vec{E}}\)の垂直成分の大きさは
\begin{eqnarray}
{\vec{E}}の垂直成分の大きさ=|{\vec{E}}|{\;}{\cos{\theta}}
\end{eqnarray}
となります。また、面積ベクトル\(d{\vec{S}}\)の大きさは
\begin{eqnarray}
d{\vec{S}}の大きさ=|d{\vec{S}}|
\end{eqnarray}
となります。これを掛け算すると、微小面積\(dS\)を通る\({\vec{E}}\)の垂直方向(法線方向)の量を求めることができます。
\begin{eqnarray}
微小面積dSを通る{\vec{E}}の垂直方向(法線方向)の量=|{\vec{E}}||d{\vec{S}}|{\;}{\cos{\theta}}
\end{eqnarray}
上式は内積の公式によって、
\begin{eqnarray}
微小面積dSを通る{\vec{E}}の垂直方向(法線方向)の量=|{\vec{E}}||d{\vec{S}}|{\;}{\cos{\theta}}={\vec{E}}{\;}{\cdot}{\;}d{\vec{S}}
\end{eqnarray}
に変形できます。
これより、『\({\vec{E}}{\;}{\cdot}{\;}d{\vec{S}}\)』は、微小面積\(dS\)を通る\({\vec{E}}\)の垂直方向(法線方向)の量のことを意味しているということになります。
まとめ
この記事ではガウスの発散定理について、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- ガウスの発散定理とは
- ガウスの発散定理の意味
- ガウスの発散定理の立体内部から湧き出る量の合算について
- ガウスの発散定理の立体表面を通って外に出ていく量について
お読み頂きありがとうございました。
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