この記事ではヒューズの定格電圧について説明します。
ヒューズの定格電圧
ヒューズの定格電圧とは、ヒューズが溶断した時に確実に溶断したままにしておける電圧です。
- ヒューズが溶断していない場合(正常時)
- 過電流によってヒューズが溶断した場合(溶断時)
ヒューズには電圧が印加されません。そのため、定格電圧は意味を持ちません。
ヒューズの両端に電圧が生じます。この時、アーク放電することなくきちんと電流を切った状態にしておける電圧が定格電圧となります。定格電圧を超えて使用した場合、溶断時のアーク放電による再導通や、ヒューズに亀裂が生じます(ひどい場合には破裂や発火します)。
定格電圧の選定方法
標準的なヒューズの定格電圧には32V,125V,250V,600Vなど様々あります。
当たり前かもしれませんが、定格電圧はヒューズに印加される電圧以上を選定します。
例えば、AC/DC電源の入力部に用いるヒューズの場合、100V,110V,115V,120V地域ではAC125V品、200V,220V,230V,240V地域ではAC250V品を選定します。様々な地域で使用するワイド入力(100V~240V)の場合においては、AC250V品を選定します。
直流用ヒューズと交流用ヒューズの違い
ヒューズには、交流(AC)回路用ヒューズと直流(DC)回路用ヒューズがあり、遮断能力が異なります。
- 交流(AC)回路用ヒューズ
- 直流(DC)回路用ヒューズ
交流電圧の場合、各サイクルで電圧が0Vになるため、アーク放電は0V付近で消滅し、自動的に電流の遮断が終了します。
直流電圧の場合、電圧が0Vにならないため、アーク放電が継続し、切れないことがあります。そのため、直流(DC)回路用ヒューズには強制的に電流を遮断する構造が必要になります。
交流(AC)回路用ヒューズには、強制的に電流を遮断する構造がないため、交流(AC)回路用ヒューズと直流(DC)回路用ヒューズを取り違えて使用すると、事故につながる可能性があります。
【補足】強制的に電流を遮断する構造