この記事では『電位』と『電圧』について
- 『電位』と『電圧』の違い
- 『電位』と『電圧』のイメージ
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
電位と電圧の違い
電位は、基準点(基本的には大地,アース)を0Vとした時の「基準点からの電気的な高さ」です。
一方、電圧は、「任意の2点間の電位差」です。電圧は電位差とも呼ばれています。
電位も電圧(電位差)も単位にはV(ボルト)を用います。
上図に示すような1.5Vの乾電池を直列接続している回路があるとします。基準点(大地,アース)をC点にとると、A点,B点,C点の電位は以下の値となります。
- A点の電位\(V_A\)
- B点の電位\(V_B\)
- C点の電位\(V_C\)
基準点からみると、1.5Vの乾電池が2個つながっているので、
\begin{eqnarray}
V_A=3.0{\mathrm{V}}({\Leftarrow}{\;}1.5{\mathrm{V}}+1.5{\mathrm{V}})
\end{eqnarray}
基準点からみると、1.5Vの乾電池が1個つながっているので、
\begin{eqnarray}
V_B=1.5{\mathrm{V}}
\end{eqnarray}
基準点の電位なので、
\begin{eqnarray}
V_C=0{\mathrm{V}}
\end{eqnarray}
また、AB間、AC間、BC間の電圧(電位差)は以下の値となります。
- AB間の電圧(電位差)\(V_{AB}\)
- AC間の電圧(電位差)\(V_{AC}\)
- BC間の電圧(電位差)\(V_{BC}\)
A点の電位(\(V_A=3.0{\mathrm{V}}\))とB点の電位(\(V_B=1.5{\mathrm{V}}\))の差なので、
\begin{eqnarray}
V_{AB}=V_A-V_B=3.0{\mathrm{V}}-1.5{\mathrm{V}}=1.5{\mathrm{V}}
\end{eqnarray}
A点の電位(\(V_A=3.0{\mathrm{V}}\))とC点の電位(\(V_C=0{\mathrm{V}}\))の差なので、
\begin{eqnarray}
V_{AC}=V_A-V_C=3.0{\mathrm{V}}-0{\mathrm{V}}=3.0{\mathrm{V}}
\end{eqnarray}
B点の電位(\(V_B=1.5{\mathrm{V}}\))とC点の電位(\(V_C=0{\mathrm{V}}\))の差なので、
\begin{eqnarray}
V_{BC}=V_B-V_C=1.5{\mathrm{V}}-0{\mathrm{V}}=1.5{\mathrm{V}}
\end{eqnarray}
電位と電圧のイメージ
上図に電位と電圧のイメージ図を描いています。
「電位(基準点からの電気的な高さ)」は「標高(海面からの高さ)」、「電圧(任意の2点間の電位差)」は「標高差(任意の2点間の標高差)のようなものです。
補足
- 電位は英語では「Electric Potential」と書きます。
- 電圧は英語では「Voltage」と書きます。
基準点(大地,アース)をB点にとった場合の電位と電圧
先ほどはC点を基準点(大地,アース)にした時の電位と電圧を求めました。
では次に、B点を基準点(大地,アース)にした時の電位と電圧を求めてみましょう。この場合、A点,B点,C点の電位は以下の値となります。
- A点の電位\(V_A\)
- B点の電位\(V_B\)
- C点の電位\(V_C\)
基準点からみると、1.5Vの乾電池が1個つながっているので、
\begin{eqnarray}
V_A=1.5{\mathrm{V}}
\end{eqnarray}
基準点の電位なので、
\begin{eqnarray}
V_B=0{\mathrm{V}}
\end{eqnarray}
基準点からみると、1.5Vの乾電池が1個つながっているので、
\begin{eqnarray}
V_C=-1.5{\mathrm{V}}
\end{eqnarray}
→乾電池のプラス側(B点)が基準点で0Vなので、乾電池のマイナス側(C点)はマイナス(-)の値となります。
また、AB間、AC間、BC間の電圧(電位差)は以下の値となります。
- AB間の電圧(電位差)\(V_{AB}\)
- AC間の電圧(電位差)\(V_{AC}\)
- BC間の電圧(電位差)\(V_{BC}\)
A点の電位(\(V_A=1.5{\mathrm{V}}\))とB点の電位(\(V_B=0{\mathrm{V}}\))の差なので、
\begin{eqnarray}
V_{AB}=V_A-V_B=1.5{\mathrm{V}}-0{\mathrm{V}}=1.5{\mathrm{V}}
\end{eqnarray}
A点の電位(\(V_A=1.5{\mathrm{V}}\))とC点の電位(\(V_C=-1.5{\mathrm{V}}\))の差なので、
\begin{eqnarray}
V_{AC}=V_A-V_C=1.5{\mathrm{V}}-(-1.5{\mathrm{V}})=3.0{\mathrm{V}}
\end{eqnarray}
B点の電位(\(V_B=0{\mathrm{V}}\))とC点の電位(\(V_C=-1.5{\mathrm{V}}\))の差なので、
\begin{eqnarray}
V_{BC}=V_B-V_C=0{\mathrm{V}}-(-1.5{\mathrm{V}})=1.5{\mathrm{V}}
\end{eqnarray}
このように、基準点の取り方によって、電位は変わりますが、電圧は変わりません。
まとめ
この記事では『電位』と『電圧』について、以下の内容を説明しました。
- 『電位』と『電圧』の違い
- 『電位』と『電圧』のイメージ
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