【電源】電流検出抵抗に接続するRCフィルタの設計

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スイッチング素子に流れる電流を検出する電流検出抵抗とこの電流検出抵抗に接続されるRCフィルタの設計について説明します。

電流検出抵抗とは?

電流検出抵抗とは
昇圧チョッパ回路やフライバック回路などのスイッチング電源を見ると、上図のようにスイッチング素子(一般的にはパワーMOSFETが多い)のソースに電流検出抵抗が接続され、この電流検出抵抗RSENSEとスイッチング素子の接続部がICの電流検出端子(CS端子、ISNS端子なとメーカによって端子名が異なる)に接続されている回路を見かけます。

この電流検出抵抗RSENSEスイッチング素子に流れる電流を検出するものであり、過電流保護などに使用されています。

電流検出抵抗に接続されるRCフィルタについて

電流検出抵抗に接続するRCフィルタ
スイッチング素子のターンオン時には、サージ電流が流れるため、ICの誤動作を引き起こす場合があります。また、外部から電流検出抵抗RSENSEにノイズが印加される場合、電流検出抵抗RSENSEが直接ICにノイズが伝達するため、ICの誤動作を引き起こす場合があります。このような場合には、電流検出抵抗RSENSEにRCフィルタ(CF,RF)を接続します。RCフィルタの素子値は、RCフィルタのカットオフ周波数fCがICの動作周波数fSWに対して十分大きな値になるように設計します。

カットオフ周波数fCの式を以下に示します。
\begin{eqnarray}
f_{C}=\frac{1}{2{\pi}C_FR_F}
\end{eqnarray}

このカットオフ周波数fCが動作周波数fSWの5~25倍程度になるようにします(詳しくは各メーカのデータシートをみてください)。

例えば、動作周波数fSWが65kHz、カットオフ周波数fCが動作周波数fSWの5倍(または25倍)、フィルタ抵抗RFを1kΩとすると、フィルタキャパシタCFは、
カットオフ周波数fCが動作周波数fSWの5倍の時

\begin{eqnarray}
C_{F}=\frac{1}{2{\pi}R_Ff_C}=\frac{1}{2{\pi}R_F(5f_{SW})}=489[pF]{\approx}470[pF]
\end{eqnarray}

カットオフ周波数fCが動作周波数fSWの25倍の時

\begin{eqnarray}
C_{F}=\frac{1}{2{\pi}R_Ff_C}=\frac{1}{2{\pi}R_F(25f_{SW})}=97.9[pF]{\approx}100[pF]
\end{eqnarray}

となります。

ポイント

  • フィルタキャパシタCFの容量値が大きすぎると、遅れ要素が大きくなります。ICに過負荷検出機能がある場合には、過負荷検出値が変動するので注意してください。
  • フィルタ抵抗RFが大きすぎると、ICの電流検出端子のラインのインピーダンスが必要以上に増加するため、配線のレイアウトによってはノイズ耐性が悪くなります。
  • ノイズ耐性を高めるために、RCフィルタはICの近くに配置します。

補足: RCフィルタの異なる設計方法

RCフィルタの時定数CFRFがコンバータのオン時間TONの0.1倍程度になるように設計しているデータシートも見かけます。例えば、動作周波数fSWが65kHz、オンデューティ比Dが0.3、フィルタ抵抗RFを1kΩとすると、オン時間TON

\begin{eqnarray}
T_{ON}=\frac{D}{f_{SW}}=461[ns]
\end{eqnarray}

となるので、フィルタキャパシタCF

\begin{eqnarray}
C_{F}×R_{F}&=&0.1×T_{ON}\\
{\Leftrightarrow}C_{F}&=&\frac{0.1×T_{ON}}{R_{F}}=461[pF]{\approx}470[pF]
\end{eqnarray}

となります。

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