JFETを用いた『定電流回路』を分かりやすく解説!原理や計算方法など!

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この記事ではJFETを用いた『定電流回路』について

  • JFETを用いた『定電流回路』の回路図
  • 定電流回路の原理
  • 定電流値の導出方法

などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。

JFETを用いた『定電流回路』

JFETを用いた『定電流回路』

上図はNチャネル型の接合型FET(JFET)を用いた定電流回路です。JFETのソース端子に抵抗RSを接続することで定電流値を調整することができます。

この回路の定電流値IOUTは次式で表されます。

定電流値の式

  • ソース端子に抵抗RSを接続しない時
  • \begin{eqnarray}
    I_{OUT}=I_{DSS}
    \end{eqnarray}

  • ソース端子に抵抗RSを接続している時
  • \begin{eqnarray}
    I_{OUT}=0~I_{DSS}
    \end{eqnarray}

上式において、IDSSはゲートとソースが等電位(ゲートソース間電圧VGSが0V)の場合におけるドレイン電流です。

次に『回路の原理』と『上式の導出方法』について説明します。

定電流値IOUTの導出方法(ソース端子に抵抗RSを接続しない時)

【JFETを用いた『定電流回路』】定電流値IOUTの導出方法(ソース端子に抵抗RSを接続しない時)

ソース端子に抵抗RSを接続しない場合、JFETのゲートソース間電圧VGSが0Vとなります。

そのため、JFETに流れる電流はドレイン電流IDSSとなります。なお、IDSSはゲートとソースが等電位(ゲートソース間電圧VGSが0V)の場合におけるドレイン電流です。

また、上図に示した回路において、ドレイン電流IDSSと定電流値IOUTは等しいため、次式が成り立ちます。

\begin{eqnarray}
I_{OUT}=I_{DSS}
\end{eqnarray}

上図に示しているのは東芝製JFET(2SK30ATM)のデータシートの一部です。ドレイン電流IDSSはドレインソース間電圧VDSが10V、ゲートソース間電圧VGSが0Vの時に0.3mA~6.5mAになっていることが分かります。このようにドレイン電流IDSSにはバラツキがあります。また、ドレイン電流IDSSは温度によっても変化します。

なお、JFETには様々なランクがあります。東芝製JFET(2SK30ATM)の場合にはR,O,Y,GRのランクがあり、各ランクによりドレイン電流IDSSが異なります。ランクRのJFETを使用した場合には『IDSS=0.30mA~0.75mA』、ランクGRのJFETを使用した場合には『IDSS=2.60mA~6.50mA』となります。電気的特性の表に記載されている『ドレイン電流IDSS=0.3mA~6.5mA』は全てのランクを含んだ場合の値となっています。

例えば、ランクGRの東芝製JFET(2SK30ATM)を使用している場合、定電流値IOUTは『IDSS=2.60mA~6.50mA』のいずれかになります

補足

  • JFETはゲートソース間電圧VGSが0Vの時にドレイン電流が最大(IDSS)となります。
  • IDSSは『ドレイン遮断電流』と呼ばれています。
  • 定電流ダイオードはJFETのゲート端子(G)とソース端子(S)を接続し、ドレイン端子(D)をアノード(A)、ソース端子(S)をカソード(K)にした素子です。

定電流値IOUTの導出方法(ソース端子に抵抗RSを接続した時)

【JFETを用いた『定電流回路』】定電流値IOUTの導出方法(ソース端子に抵抗RSを接続した時).png

JFETのドレイン電流IDSSにはバラツキがあります。そこで、電流を所望の値に調整するためにソース抵抗RSを接続して使用するのが一般的です。

一例として、ランクGRの東芝製JFET(2SK30ATM)を使用する場合を考えてみましょう。

ソース抵抗RSを接続しないと、定電流値IOUTは『IDSS=2.60mA~6.50mA』のいずれかになります。しかし、ソース抵抗RSを接続することで、定電流値IOUTを2.60mA~6.50mAより低い電流値に設定することができます。

ここで、一例として上図に直流電源VIN=10V、JFET(IDSS=2.8mA品)、ソース抵抗RS=500Ωで構成された定電流回路を示しています。

この定電流回路は下記の動作を行っています。

  1. ドレイン電流IDが増加する
  2. ソース抵抗RSでの電圧降下が増加する
  3. JFETのゲートソース間電圧VGSが減少する(0Vから遠ざかる)
  4. ドレイン電流IDが減少する
  5. ソース抵抗RSでの電圧降下が減少する
  6. JFETのゲートソース間電圧VGSが増加する(0Vに近づく)
  7. ドレイン電流IDが増加する(①と同じ)
  8. ソース抵抗RSでの電圧降下が増加する(②と同じ)

上記の動作が繰り返されることにより定電流動作をしています。すなわち、ソース抵抗RSを接続することで、ドレイン電流IDの平衡点ができるということになります。

この平衡点を求めるためにJFETの「ID-VGS特性」を用います。

ソース抵抗RSに流れるドレイン電流IDが増加すると、ゲートソース間電圧VGSが減少するため、「ID-VGS特性」のグラフ上に「ソース抵抗RSによる直線(上図の青線)」を描くことができます。この「ID-VGS特性」と「ソース抵抗RSによる直線(上図の青線)」の交点が回路の平衡点となります。例えば、IDSS=2.8mAのJFETを使用していると、ドレイン電流IDは1.2mAで平衡します。

この定電流回路において、ドレイン電流IDと定電流値IOUTは等しくなるため、次式が成り立ちます。

\begin{eqnarray}
I_{OUT}=I_D=1.2{\mathrm{[mA]}}
\end{eqnarray}

なお、定電流値IOUTはソース抵抗RSの値により調整することができ、0~IDSSの範囲となります。

補足

  • 先ほど説明したソース抵抗RSを接続していない定電流回路よりも、流すことが出来る電流が小さくなります。それは、ソース抵抗RSを接続することでゲートソース間電圧VGSが減少する(0Vからマイナス方向になる)からです。
  • ソース抵抗RSには数100Ω程度の抵抗を入れることが多いです。
  • ソース抵抗RSには半固定抵抗を使用してもOKです。

まとめ

この記事ではJFETを用いた『定電流回路』について、以下の内容を説明しました。

  • JFETを用いた『定電流回路』の回路図
  • 定電流回路の原理
  • 定電流値の導出方法

お読み頂きありがとうございました。

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