この記事では『コイルに蓄えられるエネルギー』について
- 『コイルに蓄えられるエネルギー』の式と求め方
- 『コンデンサに蓄えられるエネルギー』との関係
などを図を用いて分かりやすく説明しています。
コイルに蓄えられるエネルギー
自己インダクタンスがL[H]のコイルにI[A]の電流が流れている時、コイルに蓄えられるエネルギーU[J]は次式で表されます。
コイルに蓄えられるエネルギー
\begin{eqnarray}
U=\frac{1}{2}LI^2{\mathrm{[J]}}
\end{eqnarray}
U[J]:コイルに蓄えられるエネルギー
L[H]:コイルの自己インダクタンス
I[A]:コイルに流れている電流
単位は[J](ジュール)となります。次に上式の求め方について説明します。
補足
- コイルに蓄えられるエネルギーの記号には「U」ではなく下記式のように「W」を用いる場合もあります。
\begin{eqnarray}
W=\frac{1}{2}LI^2{\mathrm{[J]}}
\end{eqnarray}
コイルに蓄えられるエネルギーの求め方
導出を簡単にするために、以下のようにコイルに流れる電流iが変化した場合を考えます。
- t=0[s]の時:i=0[A]
- t=T[s]の時:i=I[A]
自己インダクタンスL[H]のコイルに電流i[A]が流れている時、dt秒間においてコイルに流れる電流i[A]がdi[A]だけ変化すると、コイルに生じる誘導起電力v[V]は次式で表されます。
\begin{eqnarray}
v=L\frac{di}{dt}{\mathrm{[V]}}
\end{eqnarray}
したがって、コイルに生じる瞬時電力p[W]は次式で表されます。
\begin{eqnarray}
p=vi=L\frac{di}{dt}×i=Li\frac{di}{dt}
\end{eqnarray}
電力に時間を掛けるとエネルギーとなります。そのため、コイルがdt秒間に(コイルに流れる電流がdi[A]変化した時に)蓄えられるエネルギーdU[J]は次式で表されます。
\begin{eqnarray}
dU=p×dt=Li\frac{di}{dt}×dt=Li{\;}di
\end{eqnarray}
上式はグラフでいうと赤色の部分の面積となります。したがって、コイルに流れる電流iが0[A]からI[A]まで増加した時、コイルに蓄えられるエネルギーU[J]は次式となります。
\begin{eqnarray}
U={\displaystyle\int}_0^I dU={\displaystyle\int}_0^I Li{\;}di=L{\displaystyle\int}_0^I i{\;}di=L\left[\frac{1}{2}i^2\right]_0^I=\frac{1}{2}LI^2{\mathrm{[J]}}
\end{eqnarray}
上式はグラフでいると、三角形の面積となります。このようにしてコイルに蓄えられるエネルギーを求めます。
『コイルに蓄えられるエネルギー』と『コンデンサに蓄えられるエネルギー』の関係
『コイルに蓄えられるエネルギーUL』と『コンデンサに蓄えられるエネルギーUC』の式は似ています。下記に各エネルギーの式を示します。
\begin{eqnarray}
U_L&=&\frac{1}{2}LI^2{\mathrm{[J]}}\\
U_C&=&\frac{1}{2}CV^2{\mathrm{[J]}}
\end{eqnarray}
コイルは電流が流れることでエネルギーが蓄えられるので、式に電流のIが付いています。一方、コンデンサは電圧がかかることでエネルギーが蓄えられるので、式に電圧のVが付いています。
また、『コイルの性質を決める自己インダクタンスL』と『コンデンサの性質を決めるキャパシタンス(静電容量とも呼ばれている)C』がそれぞれの式に付いています。
このように式を並べると似ていることが分かります。なお、コンデンサに蓄えられるエネルギーには「静電エネルギー」という名前が付けられていますが、コイルに蓄えられるエネルギーには特に名前が付けられていません。
まとめ
この記事では『コイルに蓄えられるエネルギー』について、以下の内容を説明しました。
- 『コイルに蓄えられるエネルギー』の式と求め方
- 『コンデンサに蓄えられるエネルギー』との関係
お読み頂きありがとうございました。
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