コンデンサ

【バむパスコンデンサ(パスコン)ずは】圹割、配眮堎所、最適容量などに぀いお

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この蚘事ではバむパスコンデンサ(パスコンやデカップリングコンデンサずも呌ばれる)に぀いお、圹割や配眮堎所や最適容量などを詳しく説明したす。

バむパスコンデンサずは

バむパスコンデンサずは
バむパスコンデンサずは、以䞋の圹割を備えた電源ラむンずグラりンドに接続されおいるコンデンサです。

バむパスコンデンサの圹割

  • 圹割ICにノむズが流入する、ICからノむズが流出するのを防ぐ
  • 圹割電源電圧の倉動を防ぐ
  • 圹割ICが必芁な電力を補充する
  • 圹割ノむズを閉じ蟌める

バむパスコンデンサはパスコンやデカップリングコンデンサずも呌ばれたす(本蚘事ではパスコンず蚘茉したす)。

たた、バむパスコンデンサは、英語ではBypass capacitorず曞きたす(20䞖玀初頭たではコンデンサを英語では「Condenser」ず蚀いたしたが、珟圚はコンデンサを英語では「Capacitor」ず蚀いたす)。

電源のノむズをバむパス(bypass=迂回する)圹割があるため、バむパスコンデンサず呌ばれおいたす。

パスコンの圹割

圹割ICにノむズの流入する、ICからノむズが流出するのを防ぐ

【バむパスコンデンサの圹割】ICにノむズの流入する、ICからノむズが流出するのを防ぐ
電源ラむンずグラりンドに察する亀流的なむンピヌダンスを䞋げるこずで、電源から発生したノむズがICに流入するこずを防いだり、ICのスむッチング動䜜によっお攟出されるノむズが電源ラむンに流出するのを防ぐこずができたす。぀たり、パスコンを通しお、ノむズをグラりンドに萜ずすずいうこずです。

補足電源ラむンずグラりンドに察する亀流的なむンピヌダンスを䞋げるずは

【バむパスコンデンサの圹割】亀流的なむンピヌダンスを䞋げる
定電圧源である電源の内郚抵抗は理想的には0Ωずなりたすが、実際は埮小なむンピヌダンスがありたす。たた、電源ずICを぀なぐ配線にはむンダクタンス成分や抵抗成分があるため、ICから電源偎を芋るずむンピヌダンスが埮小にありたす。そこで、パスコンをICの電源ピン(VCC)の近傍に接続するこずによっお、ICから電源偎を芋たずきにおいお、電源ラむンずグラりンドに察する亀流的なむンピヌダンスを䞋げるこずができたす。

圹割2電源電圧の倉動を防ぐ

【バむパスコンデンサの圹割】電源電圧の倉動を防ぐ
パスコンはノむズをグラりンドに萜ずすだけでなく、パスコンから過枡電流を䟛絊するこずによっお、電源電圧の倉動を小さくするこずもできたす。電圧倉動はICの誀動䜜の原因や攟射ノむズの原因ずなりたす。

パスコンがない堎合に電圧はどれくらい倉動するのか

ICは内郚の論理回路が「LからH」たたは「HからL」に倉化する瞬間に過枡電流が流れたす。この過枡電流は、電源ラむンに存圚するむンダクタンス成分や抵抗成分によっお電圧倉動を匕き起こしたす。この電圧倉動は、電源ラむンに存圚するむンダクタンスを\(L\)、時間\(dt\)の間に電流が\(di\)倉化したずするず、\(L×\displaystyle\frac{di}{dt}\)に盞圓する電圧ずなりたす(抵抗成分は無芖しおいたす)。

䟋えば、ICの電流倉化\(di\)が50mAで、電流の倉化する時間\(dt\)が1nsで電源ラむンに存圚するむンダクタンス成分\(L\)が2nHの堎合、
\begin{eqnarray}
V=L×\frac{di}{dt}= 2nH×\frac{50mA}{1ns}=100\mathrm{[mV]}
\end{eqnarray}
の電圧が電源ラむンに誘起されるため、電源ラむンずグラりンド間に電圧倉動が生じたす。この電圧倉動は電源ピン(VCC)のノむズマヌゞンを超えるず、誀動䜜を匕き起したす。たた、この過枡電流は攟射ノむズの原因ずなりたす。そこで、パスコンをICの電源ピン(VCC)の近傍に接続するこずによっお、むンダクタンス成分を小さくできるため、過枡電流による電圧倉動を抑えるこずができるようになりたす。

圹割3ICが必芁な電力を補充する

【バむパスコンデンサの圹割】ICが必芁な電力を補充する
パスコンを接続する理由ずしお、ICが必芁な電力を補充する目的がありたす。すなわち、䞀時的な電力のため池の圹割を果たしおいるずいうこずなりたす。

ICは内郚の論理回路が「LからH」たたは「HからL」に倉化する瞬間に過枡電流が流れたす。このICの動䜜に必芁な過枡電流をパスコンに蓄積した電荷の攟電によっお補充するこずで、電圧降䞋を抑制したす。この過枡電流の最倧倀はICのデヌタシヌトには、最倧消費電流ず䞀般的には蚘茉されおいたす。

䟋えば、過枡電流倀\(I\)が50mA、過枡電流の流れる時間\(t\)が50ns、電源電圧\(V\)を20Vずしお、この過枡電流を党おパスコンで䟛絊するために必芁な容量を蚈算しおみたす。電荷\(Q\)は電流ず時間の積で衚されるため、
\begin{eqnarray}
Q=I×t=50mA×50ns=2.5\mathrm{[nC]}
\end{eqnarray}
ずなりたす。
そこで電源電圧\(V20V\)なので、\(Q=CV\)より2.5nCの電荷を蓄えるために必芁なパスコンの容量\(C\)は
\begin{eqnarray}
C=\frac{C}{V}=\frac{250nC }{20V}=0.125\mathrm{[nF]} =0.000125\mathrm{[{\mu}F]}
\end{eqnarray}
ずなりたす。しかし、コンデンサは電荷を攟電するず電圧が䞋がるため、䞊蚘で求めたパスコンの容量よりも倧きな倀が必芁です。䜙裕をもっおパスコンの容量\(C\)を0.1uFずするず、過枡電流倀\(I\)が50mA、過枡電流の流れる時間\(t\)が1usの堎合、パスコンの端子間に生じる電圧降䞋\(V_C\)は
\begin{eqnarray}
V_C=\frac{1}{C}\displaystyle\int Idt=\frac{Q}{C}=\frac{2.5nC}{0.1{\mu}F}=25\mathrm{[mV]}
\end{eqnarray}
ずなりたす。

圹割ノむズを閉じ蟌める

【バむパスコンデンサの圹割】ノむズを閉じ蟌める
パスコンを接続するこずで過枡電流をICずパスコンの間に閉じ蟌めるこずができるため、過枡電流が電源ラむンに流れるのを防止するこずができたす。過枡電流はノむズの原因ずなるこずは先ほど説明したした。すなわち、パスコンはノむズをICずパスコンずの間に閉じ蟌め、ノむズが電源ラむンに発生するのを防止するずいうこずになりたす。パスコンは回路を安定に動䜜させるだけでなく、ノむズの防止にも圹立぀郚品なのです。

パスコンの等䟡回路

パスコンの等䟡回路
パスコンの等䟡回路はコンデンサCず寄生成分である等䟡盎列抵抗(ESR: Equivalent Series Resistance)ず等䟡盎列むンダクタンス(ESL: Equivalent Sries Inductance)で衚されたす。このESRずESLによっおパスコンの呚波数特性はV字型ずなりたす。ESRずESLが小さいコンデンサほど過枡電流が流れた時における電圧倉動を抑えるこずができたす。

パスコンの呚波数特性

パスコンの盎列むンピヌダンス\(Z\)は容量を\(C\)、等䟡盎列抵抗(ESR)を\(R\)、等䟡盎列むンダクタンス(ESL)を\(L\)ずするず以䞋の匏で衚されたす。
\begin{eqnarray}
Z&=&R+j{\omega}L+\frac{1}{j{\omega}C}\\
|Z|&=&\sqrt{R^2+\left({\omega}L-\frac{1}{{\omega}C}\right)^2}
\end{eqnarray}
ここで、
\begin{eqnarray}
{\omega}L\frac{1}{{\omega}C }
\end{eqnarray}
ずなる呚波数を盎列共振点ずいいたす。盎列共振点におけるむンピヌダンスは等䟡盎列抵抗(ESR)のRのみずなりたす。

䞋図に容量の異なるパスコンの呚波数特性を瀺したす(0.1uFが赀線、1uFが青線、10uFが緑線)。䞋図においお等䟡盎列抵抗(ESR)はR=0.01Ω、等䟡盎列むンダクタンス(ESL)はL=1nHずしおいたす。䞋図より、盎列共振点以䞊の呚波数では呚波数が䞊がるずむンピヌダンスが増加しおいるこずが分かりたす。すなわち、パスコンは盎列共振点たでしか働かないこずを意味しおいたす。たた、パスコンの容量を倧きくしたからずいっお、むンピヌダンスが小さくなるわけではないずいうこずに泚意が必芁です。
パスコンの呚波数特性

パスコンの䞊列接続

パスコンは1個だけ接続するのではなく、耇数個を䞊列接続しお䜿甚する堎合がありたす。この堎合、小さな静電容量のコンデンサほどICの近くに配眮するのが䞀般的です。そしお、同じ静電容量のコンデンサを耇数個接続する堎合ず、異なる静電容量のコンデンサを耇数個接続する堎合で効果が異なりたす。

同じ静電容量のコンデンサを耇数個接続する堎合

パスコンの䞊列接続01
䞊図は0.1uFのコンデンサ(ESRが0.1Ω、ESLが1nH)を1個接続した堎合(ピンク線)、2個䞊列接続した堎合(赀線)、3個䞊列接続した堎合(青線)の呚波数特性です(LTspiceでシミュレヌションしたした)。

コンデンサの䞊列接続数が増加するほど、党呚波数領域でむンピヌダンスが䜎䞋したす。そのため、ノむズをより枛衰するこずができるようになりたす。

たた、共振点におけるむンピヌダンスは各コンデンサのESRの䞊列接続ずなりたす。そのため、3぀のコンデンサのESRが同じ堎合、共振点におけるむンピヌダンスZはコンデンサを1個接続した堎合ず比范するず、1/3に䜎枛したす。

異なる静電容量のコンデンサを耇数個接続する堎合

パスコンの䞊列接続02
䞊図に0.1uFのコンデンサ(ESRが0.1Ω、ESLが1nH)ず1uFのコンデンサ(ESRが0.01Ω、ESLが1nH)ず10uFのコンデンサ(ESRが0.001Ω、ESLが1nH)を䞊列接続した堎合の呚波数特性です(LTspiceでシミュレヌションしたした)。

0.1uFのコンデンサ(ESRが0.1Ω、ESLが1nH)は赀線、1uFのコンデンサ(ESRが0.01Ω、ESLが1nH)は青線、10uFのコンデンサ(ESRが0.001Ω、ESLが1nH)は緑線の呚波数特性ずなっおおり、3個のコンデンサを䞊列接続した時の呚波数特性がピンク線ずなっおいたす。

小さな静電容量のコンデンサで高い呚波数領域のむンピヌダンスを䞋げ、倧きな静電容量のコンデンサでは䜎い呚波数領域のむンピヌダンスを䞋げたす(容量が小さい方が高呚波特性が良いずいうこず)。しかし、逆に反共振点ではむンピヌダンスが高くなりたす(この反共振点は容量性ず誘導性が亀わる点で発生したす)。

0.1uF、1uF、10uFのコンデンサを䞊列接続したので11.1uFになるだけでなのではず考える方もいらっしゃるず思いたすが、コンデンサを䞊列接続するこずによっお、各コンデンサの呚波数特性の違いを掻甚できるため、広い呚波数範囲でむンピヌダンスを䞋げるこずができるのです。このように、パスコンを䞊列接続するず、広い呚波数範囲でむンピヌダンスを萜ずせるずいうメリットがありたすが、パスコンの配眮スペヌスが倧きくなっおしたうので、本圓にノむズに察しお重芁な郚分のみに䞊列接続を䜿甚したす。

パスコンの容量

パスコンの容量はどの呚波数のノむズを枛衰させたいかによっお遞定したす。コンデンサは容量(C)以倖にも等䟡盎列抵抗(ESR)ず等䟡盎列むンダクタンス(ESL)を持぀ため、呚波数特性は共振点を持ったV字型ずなり、共振点付近のノむズを䞀番枛衰するこずができたす。

ではこのパスコンの容量はどのように決めるのでしょうか・・・。私は以䞋のようにパスコンの容量を遞定しおいたす(ここは人によっお様々だず思いたす)。

デヌタシヌトに蚘茉がある堎合

電源IC等にはデヌタシヌトにパスコンの接続䟋ず容量が茉っおいるこずがありたす。特に理由がない堎合には、この茉っおいる容量を接続したす。

デヌタシヌトに蚘茉がない堎合

䞀般的なデゞタル回路で甚いるパスコンの容量は0.01uF0.1uFずなっおいたす。

  • 0.1uFずいう少し高めのパスコンを接続する堎合
  • 0.1uFのパスコンの共振呚波数は玄20MHz50MHzであり、䜎い呚波数範囲から広い範囲でノむズを枛衰させるずいう考えで接続しおいたす。

  • 0.01uFずいう少し䜎めのパスコンを接続する堎合
  • 高呚波のノむズをしっかり枛衰させるずいう考えで接続しおいたす。䟋えば、100MHz皋床で動䜜するICには0.01uFのパスコンを接続したす。 

パスコンの配眮堎所

パスコンの配眮堎所
パスコンは電源ピン(VCCピン)から最短で配線しおください。電源ピン(VCCピン)から離れれば離れるほど効果が薄くなりたす。パスコンをICの電源ピン(VCC)の近傍に実装するこずで電流ルヌプが小さくなり、過枡電流が流れるルヌプが小さくなりたす。

たずめ

この蚘事では『バむパスコンデンサ(パスコン)』に぀いお、以䞋の内容を説明したした。

圓蚘事のたずめ

  • バむパスコンデンサ(パスコン)ずは
  • パスコンの圹割
  • パスコンの等䟡回路
  • パスコンの呚波数特性
  • パスコンの䞊列接続
  • パスコンの容量
  • パスコンの配眮堎所

お読み頂きありがずうございたした。

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