トランジスタ

【トランジション周波数とは?】『利得帯域幅積(GB積)』との関係について

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この記事ではバイポーラトランジスタのトランジション周波数利得帯域幅積(GB積)について説明します。

トランジション周波数fTとは

トランジション周波数fTとは
バイポーラトランジスタのパラメータの1つにトランジション周波数fTというものがあります。

トランジション周波数fTとは、電流増幅率hFE1(利得だと0)になるときの周波数です。なお、電流増幅率hFEは、バイポーラトランジスタのベース電流IBコレクタ電流ICの比率であり、以下の式で表されます。
\begin{eqnarray}
h_{FE}=\frac{I_C}{I_B}
\end{eqnarray}

ベース電流IBの周波数を直流(0Hz)から高くしていくと、周波数が低い状態では電流増幅率hFEはほぼ一定ですが、ある周波数を超えると、-6dB/oct(-20dB/dec)で電流増幅率hFEが下がります。そして、最終的には電流増幅率hFEが1となり、トランジスタが増幅しなくなります。

つまり、トランジション周波数fTとは、どれくらいの周波数までベース電流IBを増幅できるかの限界を示す値ということになります。

したがって、トランジション周波数fTが高いほど、高い周波数まで使用することができるトランジスタということになります。

また、トランジション(Transition)は英語では「遷移」という意味を表しています。トランジション周波数fTより低い周波数ではトランジスタが増幅(hFE>1)でしたが、トランジション周波数fTより高い周波数になると、トランジスタが減衰(hFE<1)します。すなわち、トランジション周波数fTを境目にして、トランジスタが増幅器から減衰器に「遷移」します。そのため、トランジション周波数fTといいます。

補足

  • トランジション周波数は英語では「Transition frequency」と書きます。
  • ある周波数を超えると、電流増幅率hFEが下がるため、実際に使用できる周波数はトランジション周波数fT1/5~1/10程度となっています。

『トランジション周波数fT』と『GB積』との関係

『トランジション周波数fT』と『GB積』との関係
上図に、一例として、電流増幅率hFEが100、トランジション周波数fTが100MHzの場合における「hFE-fT特性」を示しています。-6dB/octとは周波数が2倍になると、増幅率が1/2(半分)になるということです。-20dB/decとは周波数が10倍になると、増幅率が1/10になるということを意味しています。

そのため、トランジション周波数fTが100MHzなので、

  • 周波数fが100MHzの時:電流増幅率hFEが1

その後は、-6dB/oct(-20dB/dec)を考えると、

  • 周波数fが50MHzの時:電流増幅率hFEが2
  • 周波数fが10MHzの時:電流増幅率hFEが10
  • 周波数fが1MHzの時:電流増幅率hFEが100

となります。

すなわち、電流増幅率hFEが下がり始める周波数を超えてからは、電流増幅率hFEと周波数fの積が一定になるということになります。この積のことを利得帯域幅積(GB積)といいます。利得帯域幅積(GB積)はオペアンプ等でも周波数特性を表す値として用いられています。

また、電流増幅率hFEが1の時の周波数fがトランジション周波数fTなので、

利得帯域幅積(GB積)=hFE×f=1×fT=fT

となり、利得帯域幅積(GB積)とトランジション周波数fTが一致します。

補足

  • 利得帯域幅積(GB積)の単位は[Hz],[rad/s]などを使用します。
  • 利得帯域幅積はゲイン帯域幅積とも呼ばれています。

『トランジション周波数fT』の値

『トランジション周波数fT』の値
トランジション周波数fTはバイポーラトランジスタによって変わります。データシートを確認してください。

上図は東芝製バイポーラトランジスタ(2SC1815)の電気的特性です。赤色の箇所がトランジション周波数fTとなっています。コレクタエミッタ間電圧VCE=10V、コレクタ電流IC=1mAの時におけるトランジション周波数fTが記載されており、2SC1815は最小80MHzとなっています。

バイポーラトランジスタの『fT-IC特性』について

バイポーラトランジスタの『fT-IC特性』について
上図に東芝製2SC1815の『fT-IC特性』を示しています。トランジション周波数fTはコレクタ電流ICに依存します。常に最高点のfT=500MHz付近で使える訳ではないことに注意してください。

まとめ

この記事ではバイポーラトランジスタの『トランジション周波数』と『利得帯域幅積(GB積)』について、以下の内容を説明しました。

当記事のまとめ

  • バイポーラトランジスタの『トランジション周波数』とは
  • バイポーラトランジスタの『トランジション周波数』と『利得帯域幅積(GB積)の関係
  • バイポーラトランジスタの『トランジション周波数』の値
  • バイポーラトランジスタの『fT-IC特性』について

お読み頂きありがとうございました。

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