【トランジスタの寄生容量】コレクタ容量Cobとエミッタ容量Cibとは?

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この記事ではバイポーラトランジスタの寄生容量(コレクタ容量Cobエミッタ容量Cib)について説明します。

コレクタ容量Cobとエミッタ容量Cibについて

コレクタ容量Cobとエミッタ容量Cibについて
バイポーラトランジスタはベース(B)-コレクタ(C)間、ベース(B)-エミッタ(E)に寄生容量があります。

ベース(B)-コレクタ(C)間の寄生容量をコレクタ容量Cobと呼びます。

コレクタ電流ICの一部がコレクタ容量Cobを通り、ベース(B)に漏れてしまいます。出力側(Output)に流れるコレクタ電流ICがコレクタ(C)からベース(B)に漏れるので、Cobとなります。

ベース(B)-エミッタ(E)間の寄生容量をエミッタ容量Cibと呼びます。

ベース電流IBの一部がエミッタ容量Cibを通り、エミッタ(E)に漏れてしまいます。入力側(Input)から流れるベース電流IBがベース(B)からエミッタ(E)に漏れるので、Cibとなります。

補足

  • コレクタ容量はコレクタ出力容量と呼ばれることがあります。
  • エミッタ容量はエミッタ入力容量と呼ばれることがあります。
  • バイポーラトランジスタに容量が寄生虫のように潜んでいるため寄生容量と呼ばれています。
  • 寄生容量は浮遊容量内部容量と呼ばれることもあります。

コレクタ容量Cobとエミッタ容量Cibができる原理

コレクタ容量Cobとエミッタ容量Cibができる原理
上図はPN接合の構造コンデンサの構造を表したものです。

P型半導体N型半導体を接合すると、接合部には空乏層が生じます。P型半導体はプラスの電荷を持った正孔が、N型半導体はマイナスの電荷を持った電子があります。

一方、コンデンサは2つの電極間に誘電体を挟んだ構造をしています。コンデンサに対して電圧を印加すると、プラスの電荷マイナスの電荷が生じます。

すなわち、PN接合の構造はコンデンサの構造に似ていることが分かります。この空乏層の部分が寄生容量となります。

ここで、バイポーラトランジスタにはコレクタ(C)とベース(B)の間、ベース(B)とエミッタ(E)の間にはPN接合があります。このPN接合によって、空乏層が生じ、コレクタ容量Cobエミッタ容量Cibが出来るのです。

なお、PN接合部に空乏層ができる原理については、以下の記事を参考にしてください。

コレクタ容量Cobの値

コレクタ容量Cobの値
コレクタ容量Cobの値は、バイポーラトランジスタのデータシートの電気的特性欄に記載されているのが一般的です。

上図は東芝製バイポーラトランジスタ(2SC1815)の電気的特性です。2SC1815は標準2.0pF、最大3.5pFとなっています。

コレクタ容量Cobは、pFオーダーなのでかなり小さい容量となりますが、周波数が高くなると、寄生容量のインピーダンスが小さくなり、交流成分が漏れやすくなります。そのため、高周波の回路の場合には注意してください。

コレクタ容量Cobとエミッタ容量Cibの特性

コレクタ容量Cobとエミッタ容量Cibの特性
上図はローム製バイポーラトランジスタ(2SC523M)の特性です。

コレクタ容量Cobはコレクタベース間電圧VCBを変えた時の特性(Cob-VCB特性)、エミッタ容量Cibはエミッタベース間電圧VEBを変えた時の特性(Cib-VEB特性)となっています。コレクタ容量Cobエミッタ容量Cibともに、印加電圧を大きくするほど、容量が小さくなるという特徴があります。

これは、印加電圧を大きくすると、空乏層が拡大するためです。空乏層が拡大すると、容量が小さくなります。

まとめ

この記事ではバイポーラトランジスタの『寄生容量(コレクタ容量Cobエミッタ容量Cib)』について、以下の内容を説明しました。

当記事のまとめ

  • バイポーラトランジスタの『コレクタ容量Cobエミッタ容量Cib』について
  • バイポーラトランジスタの『コレクタ容量Cob』の値
  • バイポーラトランジスタの『コレクタ容量Cobエミッタ容量Cib』の特性

お読み頂きありがとうございました。

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