【トランジスタの絶対最大定格】『締め付けトルク』について!

スポンサーリンク


この記事ではトランジスタの『締め付けトルク』について

  • トランジスタの『締め付けトルク』とは
  • 『締め付けトルク』の推奨値
  • トランジスタのネジ止めに使用するネジ

などを図を用いて分かりやすく説明しています。

トランジスタの『締め付けトルク』とは

トランジスタの『締め付けトルク』とは

ヒートシンクにトランジスタ(バイポーラトランジスタ・MOSFET・IGBT等)をネジ止めする時には、締め付けトルクを管理する必要があります。

そのため、トランジスタの絶対最大定格には締め付けトルクの上限が記載されていることがあります。

上図は東芝製バイポーラトランジスタ(TTC3710B)の絶対最大定格です。締め付けトルクTORの上限が0.6[N・m]となっていることが分かります。

また、単位を[N・m]から[kgf・cm]に変換すると、以下の関係式より0.6[N・m]≈6.122[kgf・cm]となります。

関係式

1[kgf]=9.8[N]
1[cm]=0.01[m]
1[kgf・cm]=0.098[N・m]

なお、締め付けトルクは小さすぎても大きすぎてもいけません。締め付けトルクが小さい場合or大きい場合には以下の問題が生じる可能性があります。

  • 締め付けトルクTORが小さい場合
  • ネジが緩むことで、ヒートシンクとの接触が不十分となり、接触熱抵抗が増加する可能性があります。

  • 締め付けトルクTORが大きい場合
  • トランジスタに歪みを与え、破損する可能性があります。また、トランジスタのパッケージがヒートシンクから持ち上げられることがあり、接触熱抵抗が増加する可能性があります。

推奨の締め付けトルク

トランジスタのパッケージによって推奨の締め付けトルクが変わります。

以下の締め付けトルク範囲を推奨としていることが多いですが、トランジスタメーカーによって厳密には値が異なりますので、データシートやアプリケーションシート等で確認する必要があります。

  • TO-220・TO-220Fの場合:0.4[N・m]~0.6[N・m]程度
  • TO-247・TO-3Pの場合:0.6[N・m]~0.8[N・m]程度

トランジスタのネジ止めに使用するネジ

トランジスタをネジ止めする際にはトランジスタの形状に適したネジを使用します。例えば、TO-220の場合にはM3ネジ(外径が3mmのネジ)を使用する必要があります。

なお、タッピングネジ(タッピンねじ)の使用はできるだけ控えてください。タッピングネジを使用した場合、ネジが垂直に入れず、斜めに入ることがあります。ネジが傾いたままだと、最後に締め付け時にトランジスタにストレスが加わり、樹脂部が破壊する可能性があります。そのため、使用する場合には、トルクを制御できるドライバーを使用して、上限トルクを超えないように注意する必要があります。

また、皿ネジはトランジスタにストレスを与えるので、使用してはいけません。

トランジスタにネジ止めをする時のその他の注意点

トランジスタのネジ止めに関するその他の注意点を以下にまとめます。

  • ヒートシンクとトランジスタをネジ止めした後に、基板に実装すること。
  • ネジ止め時に締め付け工具(ドライバー等)がトランジスタに当たらないようにすること。トランジスタのパッケージに当たると、クラックが入るだけでなく、ストレスが内部に加わる可能性があります。その結果、トランジスタの寿命を縮め、故障する恐れがあります。
  • 2箇所以上でネジ止めする場合には、ネジを予備締めした後に、規定のトルク値で締めること。

まとめ

この記事ではトランジスタの『締め付けトルク』ついて、以下の内容を説明しました。

当記事のまとめ

  • トランジスタの『締め付けトルク』とは
  • 『締め付けトルク』の推奨値
  • トランジスタのネジ止めに使用するネジ

お読み頂きありがとうございました。

当サイトでは電気に関する様々な情報を記載しています。当サイトの全記事一覧には以下のボタンから移動することができます。

全記事一覧

スポンサーリンク