プリント基板は製造工程において、AOI(自動工学検査)、ICT(インサーキットテスト)、FCT(ファンクションテスト)などの検査を行うことによって、良品と不良品を仕分けています。
この記事では『AOI、ICT、FCT』について
- AOI、ICT、FCTの『違い』と『特徴』
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
AOI・ICT・FCTの『違い』
後ほど各検査方法について説明しますが、AOI、ICT、FCTでは下記の検査を行っています。
- AOI:Automated Optical Inspection
- ICT:In Circuit Test
- FCT:Function Test
カメラでプリント基板の外観を撮影する検査。「半田不良」や「異物付着」などを検出する。
プリント基板に実装されている部品の端子にピンを接触させ、信号を印加し、電圧測定または電流測定を行う検査。「部品違い」などを検出する。
実際にプリント基板を動作させて、出力の仕様を確認する検査。「機能不良」などを検出する。
AOI(自動工学検査)とは
AOIは「Automated Optical Inspection」の略であり、自動工学検査の意味となります。
AOIでは、カメラでプリント基板の外観を撮影し、「はんだフィレットのサイズ・形状」・「チップ部品の実装状態」・「部品の有無」・「異物の付着」などを自動で検出しています。AOIは非接触の検査であるため、多くのプリント基板製造工程で一般的に使用されています。
カメラで撮影する検査なので、外観から見ることができるSOPパッケージ等は検査することができますが、BGAパッケージはボール状のリードがパッケージの裏側にあるため、テストすることができません。
補足
AOIには、「2D-AOI」と「3D-AOI」があります。「2D-AOI」はカメラでプリント基板の真上から撮影する方法で、「3D-AOI」は複数のカメラで基板を撮影する方法です。「3D-AOI」により、部品の浮きや傾きなどの高さ方向の不良検出が可能になりました。
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SOPやBGAのパッケージに関しては、下記の記事で詳しく説明しています。興味のある方は下記のリンクからぜひチェックをしてみてください。
【半導体のパッケージの種類】どのパッケージがどの形を表すの?
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ICT(インサーキットテスト)とは
ICTは「In Circuit Test(インサーキットテスト)」の略です。
ICTでは、プリント基板に部品(抵抗やインダクタやコンデンサ)が実装された状態(In Circuit)において、部品の端子にプローブ用のピンを接触させ、微弱の信号を印加して、電圧測定または電流測定を行うことによって、「部品の定数」・「ダイオードの極性」・「プリント基板のパターン断線の有無」・「半田不良」・「トランジスタやIC等の半導体の動作」などを確認しています。
部品の端子にプローブ用のピンを接触させる検査なので、BGAパッケージはテストすることができません。また、近年、プリント基板の小型化・高密度化によってピンを接触することのできるポイントが十分に取れなくなってきています。
FCT(ファンクションテスト)とは
FCTは「Function Test(ファンクションテスト)」の略です。
FCTでは、実際にプリント基板に電源を供給して動作させて、入力端子に電気信号を供給し、出力が仕様を満たすかどうかを検査しています。プログラムを動かすことによって、プリント基板を自動的に検査しています。
通常、AOIやICTでプリント基板の実装不良等を検出してから、FCTを行っています。
AOIやICTでは検査することができなかったプリント基板の機能を検査することができますが、FCTはICTやAOIと比較すると、検査時間が長いです。
まとめ
この記事では『AOI,ICT,FCT』について、以下の内容を説明しました。
- AOI、ICT、FCTの『違い』と『特徴』
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