【耐サージ抵抗って何?】構造や特徴などを説明します!

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この記事では耐サージ抵抗について構造特徴などを説明します。

耐サージ抵抗とは

抵抗にサージ電圧(電流)が印加されると、電気的ストレスによって抵抗器が損傷され、抵抗値が変化するおそれがあります。ここで、耐サージ抵抗とは、瞬間的にサージ電圧(電流)が印加されても抵抗体が損傷しにくい抵抗器のことを指します。

サージ電圧(電流)とは、瞬間的に発生する大きな電圧(電流)のことであり、例えば、雷サージESD(Electro-Static Discharge:静電気放電)電源オン時の突入電流などがあります。

サージ電圧(電流)に強くなる方法

耐サージ抵抗の構造
抵抗器がサージ電圧(電流)に強くなる方法としては、

  • サージに強い材料を抵抗に使用する
  • 電極間の距離を長くする

などがあります。

電極間の距離を長くする」に関しては、チップサイズを大きくすれば、電極間の距離が長くなりますが、大きなサイズのチップを使うことになるため、スペースが必要となってしまいます。そのため、抵抗体の構造を変えることで、小さなサイズのチップ抵抗で電極間の距離を確保する手法があります。例えば、上図のように抵抗体を蛇行パターンにしたりすることで、電極間の距離を確保します。

サージ電圧(電流)に強い抵抗の種類

リードタイプの抵抗器

金属皮膜抵抗炭素皮膜抵抗器よりも巻線抵抗ソリッド抵抗(炭素体抵抗)セメント抵抗の方がサージ電圧(電流)に強くなります。巻線抵抗だけで考えると、線径の太い低抵抗の方がサージ電圧(電流)に強くなります。

チップタイプの抵抗器

金属皮膜チップ抵抗よりも抵抗皮膜が厚い厚膜チップ抵抗器(メタルグレーズ皮膜)の方がサージ電圧(電流)に強くなります。さらに、電流検出などに使用される金属板チップ抵抗は抵抗体が金属のため、サージ電圧(電流)に対して非常に強くなります。

耐サージ抵抗の特徴

耐ESD特性が良い

【耐サージ抵抗】耐ESD特性
抵抗のデータシートや仕様書を見ると、上図のように横軸が抵抗値[Ω]、縦軸が抵抗値変化率[%]となっているグラフが記載されていることがあります。これは、抵抗の耐ESD特性を示した図であり、抵抗にESDを印加した時にどれくらい抵抗値が変化するかを示しています。

例えば、上図では10kΩの1608サイズの抵抗(通常品)だとESDを印加した時に抵抗値が-25%変化することを示しています。

ESD耐性は電極間の距離と電極の幅に大きく影響されます。電極間の距離が長いほど、電極の幅が太いほどESDに強くなります。したがって、形状が小さくなるにつれて、ESDに弱く、ESDが印加された時の抵抗体の変化が大きくなります。

また、抵抗値が100Ωから100kΩの範囲でESDの影響を受けやすく、100Ω以下や100kΩ以上ではESDの影響を受けにくくなるのが特徴です。

耐サージ抵抗はESDに対して強いため、ESDが印加されたときにおいても抵抗体の変化が小さくなります。

補足

ESD試験に関して、上図では印加電圧Vを3kV、容量Cを150pF、抵抗Rを500Ωとして、ESDを印加しています。この印加電圧V、容量C、抵抗Rはデータシートや仕様書によって異なります。実際に抵抗を使用する際にはデータシートや仕様書を参考にしてください。

耐パルス特性が良い

【耐サージ抵抗】耐パルス特性
抵抗のデータシートや仕様書を見ると、上図のように抵抗がどれくらいのサージ電圧(電流)に耐えられるかを表すワンパルス限界電力を示したグラフが記載されていることがあります。これは、あるパルス印加時間tに対してどれくらい電力を印加できるかを示しています。

例えば、上図では耐サージ抵抗品の場合、パルス印加時間tが1msなら100Wの電力まで印加できることを示しています。パルス印加時間tが1msで100Wの電力を抵抗に印加した場合、抵抗値が変化します(抵抗値の変化は±5%だったり±0.5%だったりデータシートや仕様書等によって定義が異なります)。

耐サージ抵抗は通常の抵抗と比べると、ワンパルス限界電力が大きくなります。

補足

ワンパルス限界電力のグラフの取得方法はデータシートや仕様書等によって異なります。以下に一例を示します。

  • 1回のみパルスを抵抗器に加えた場合、その抵抗値の変化率が±5%以内である限界電力
  • 1回のみパルスを抵抗器に加えた時の抵抗値の変化率が±0.5%以内である限界電力
  • 1000回パルスを抵抗器に加えた時の抵抗値の変化率が±5%以内である限界電力

耐サージ抵抗の用途

  • 突入電流防止用
  • 耐サージ抵抗の用途(突入電流防止用)
    例えば、突入電流を防止する目的で電源回路の入力に直列に接続する抵抗器の場合、定常状態時に流れる電流においては、抵抗の定格を満足していても、コンデンサに電荷が溜まっていない状態で電源がオンされたときに流れる突入電流においては、抵抗の定格を満足できない場合があります。この場合、サージ電圧(電流)に対して弱い抵抗を使用していると、突入電流が流れることによって、抵抗器がオープン故障する可能性があります。

  • 電源一次側放電回路
  • スナバ回路

まとめ

この記事では耐サージ抵抗について、以下の内容を説明しました。

当記事のまとめ

  • 耐サージ抵抗とは、瞬間的にサージ電圧(電流)が印加されても抵抗体が損傷しにくい抵抗器のこと
  • サージ電圧(電流)に強くなる方法として、「サージに強い材料を抵抗に使用する」or「電極間の距離を長くする」方法がある
  • サージ電圧(電流)に強い抵抗の種類
  • 耐サージ抵抗の特徴(耐ESD特性が良い、耐パルス特性が良い)

お読み頂きありがとうございました。

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