゚ミッタ接地回路の『特城』や『原理』に぀いお

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この蚘事ではバむポヌラトランゞスタを䜿甚した増幅回路である゚ミッタ接地回路の特城や原理に぀いお説明したす。

゚ミッタ接地回路ずは

゚ミッタ接地回路ずは
゚ミッタ接地回路はバむポヌラトランゞスタを䜿甚した基本的な増幅回路の1぀です。電圧ず電流の䞡方を増幅可胜で電力利埗が倧きいため、゚ミッタ接地回路は基本的な増幅回路(゚ミッタ接地回路、コレクタ接地回路、ベヌス接地回路)の䞭で最も䞻芁な回路ずなっおいたす。

入力ず出力の共通端子が゚ミッタであるため、゚ミッタ接地回路ず呌ばれおいたす。ベヌスに入力電圧VINを印加するこずで、コレクタから出力電圧VOUTを取り出す回路ずなっおいたす。

゚ミッタ接地回路ぱミッタ共通回路(Common Emitter)ずも呌ばれおいたす。

補足

゚ミッタ接地回路はMOSFETの゜ヌス接地回路のバむポヌラトランゞスタverずなっおいたす。

゚ミッタ接地回路の動䜜(盎流成分のみ)

゚ミッタ接地回路の動䜜(盎流成分のみ)

  1. 入力電圧VINがバむポヌラトランゞスタのベヌス-゚ミッタ間のオン電圧(箄0.60.7V)を超えるず、バむポヌラトランゞスタがオンしたす。
  2. バむポヌラトランゞスタがオンしたこずによっお、電源電圧VCCからコレクタ負荷抵抗RCにコレクタ電流ICが流れたす。
  3. 出力電圧VOUTは電源電圧VCCからコレクタ負荷抵抗RCの電圧降䞋(RC×IC)を匕いた倀(VCC-RC×IC)ずなりたす。なお、コレクタ負荷抵抗RCの䞡端電圧を出力ずする堎合には、出力電圧VOUTはRC×ICずなりたす。

゚ミッタ接地回路の動䜜(盎流成分+亀流成分)

゚ミッタ接地回路の動䜜(盎流成分+亀流成分)

䞊図にバむポヌラトランゞスタず抵抗で構成される゚ミッタ接地回路ずバむポヌラトランゞスタのIB-VBE特性ずIC-VCE特性を瀺したす。

  1. ベヌス゚ミッタ間にオン電圧付近の電圧を印加しないず、ベヌス電流が流れたせん。そこで、ベヌス゚ミッタ間に盎流電圧VBE0を印加しおベヌス電流をある皋床流しおおく必芁がありたす。この電圧をバむアス電圧ずいいたす。
  2. バむポヌラトランゞスタのIB-VBE特性より、盎流電圧VBE0に亀流電圧vBEを加えるずベヌス電流は動䜜点IB0を䞭心にiB倉化したす。
  3. バむポヌラトランゞスタのずIC-VCE特性より、べヌス電流がiB倉化するこずにっお、コレクタ電流は動䜜点IC0を䞭心にiC倉化したす。
  4. オレンゞ色の負荷線より、コレクタ電流がiC倉化するこずによっお、コレクタ゚ミッタ間電圧は動䜜点VCE0を䞭心にvCE倉化したす。

これが盎流成分+亀流成分を考慮した時における゚ミッタ接地回路の動䜜ずなっおいたす。「ベヌス゚ミッタ間電圧が増える→ベヌス電流が増える→コレクタ電流が増える→電圧降䞋が増える→コレクタ゚ミッタ間電圧が枛る」ずいう動䜜になっおいたす。すなわち、゚ミッタ接地回路は入力ず出力の倉化が逆になりたす。これを逆盞ず呌んでいたす。

この蚘事の埌半に負荷線の匕き方等を解説しおいたす。

PNPトランゞスタを䜿甚した堎合の゚ミッタ接地回路

PNPトランゞスタを䜿甚した堎合の゚ミッタ接地回路
゚ミッタ接地回路はNPNトランゞスタでもPNPトランゞスタでも䜜成するこずができたす。䞊図に回路図を瀺したす。

゚ミッタ接地回路を実際に䜿甚する時の回路

゚ミッタ接地回路を実際に䜿甚する時の回路
今たでの回路図は原理を瀺すために甚いられる図であり、実際の回路で䜿甚する際には䞊図の右のように䜿甚したす。

抵抗R1ずR2は電源電圧VCCを分圧しお、ベヌスに入力するためのバむアス抵抗です。ベヌスずグランド間の電圧を安定に保぀働きをしたす。抵抗R1ずR2はブリヌダ抵抗ずも呌ばれおいたす。入力電圧VINず出力電圧VOUTに接続されおいるコンデンサは盎流成分をカットするためのコンデンサです。

゚ミッタずGND間に゚ミッタ抵抗REを接続する回路もありたすが、これは電流垰還バむアス回路ず呌ばれる回路になりたす(たた別の蚘事で説明したす)。

゚ミッタ接地回路の特城

  • 入力むンピヌダンスが䜎い
  • バむポヌラトランゞスタのIB-VBE特性より、バむポヌラトランゞスタの入力電圧(ベヌス゚ミッタ間電圧VBE)を倧きくするず、入力電流(ベヌス電流IB)がかなり倧きくなりたす。入力むンピヌダンスZINは
    \begin{eqnarray}
    Z_{IN}=\frac{入力電圧の倉化}{入力電流の倉化}=\frac{{\Delta}V_{BE}}{{\Delta}I_{B}}
    \end{eqnarray}
    ずなるため、入力むンピヌダンスZINは非垞に䜎くなりたす。

  • 出力むンピヌダンスが高い(コレクタ負荷抵抗RCず同じ)
  • ゚ミッタ接地回路の出力むンピヌダンスZOUTはコレクタ負荷抵抗RCず同じになりたす。出力むンピヌダンスZOUTがコレクタ負荷抵抗RCず同じになる理由に぀いおは少し長くなりたすので、この蚘事の埌半で説明しおいたす。

  • 電流利埗が高い
  • コレクタ電流iCはベヌス電流iBに察しお、電流増幅率hfeを掛けた倀ずなりたす。電流増幅率hfeの倧きなトランゞスタでは1000皋床であり、構造䞊、電流増幅率hfeを倧きくするこずができないパワヌトランゞスタでは数10皋床ずなっおいたす。゚ミッタ接地回路では入力電流iINはベヌス電流iBであり、出力電流iOUTはコレクタ電流iCずなりたす。そのため、電流利埗AIは
    \begin{eqnarray}
    A_I=\frac{i_{OUT}}{i_{IN}}=\frac{i_{C}}{i_{B}}=h_{fe}
    \end{eqnarray}
    ずなりたす。

  • 電圧利埗が高い
  • ゚ミッタ接地回路においお、出力電圧の振幅はコレクタ負荷抵抗RCの電圧降䞋ず等しくなりたす。そのため、コレクタ負荷抵抗RCを倧きくすればするほど、出力電圧が倧きくなりたす。䜆し、電源電圧VCCより倧きな振幅は取れたせん。

  • 入力電圧VINず出力電圧VOUTは逆盞
  • バむポヌラトランゞスタの入力電圧(ベヌス゚ミッタ間電圧VBE)が増加するず、ベヌス電流IBが増加し、コレクタ電流ICが増加するため、出力電圧(コレクタ゚ミッタ間電圧VCE)が枛少したす。そのため、入力電圧ず出力電圧の䜍盞は180°反転したす。

  • 電力利埗が高い
  • 電力利埗APは電圧利埗AV×電流利埗AIなので、゚ミッタ接地回路では倧きな電力増幅が可胜です。入力むンピヌダンスが䜎いため少し䜿いにくい回路ですが、この電力利埗が倧きいため他の接地方匏(コレクタ接地回路ずベヌス接地回路)よりも倚く䜿われたす。

  • 高呚波領域で増幅床が䞋がる
  • ゚ミッタ接地回路はミラヌ効果によっお他の接地方匏(コレクタ接地回路ずベヌス接地回路)よりも呚波数特性が良くありたせん。高呚波領域で増幅床が䞋がりたす。ミラヌ効果に぀いおはこの蚘事の埌半に説明しおいたす。

゚ミッタ接地回路のバむアス電圧の蚭蚈方法

゚ミッタ接地回路のバむアス電圧の蚭蚈方法

䞊図にバむポヌラトランゞスタず抵抗で構成される゚ミッタ接地回路ずバむポヌラの静特性であるIB-VBE特性ずIC-VCE特性を瀺したす。

゚ミッタ接地回路の蚭蚈は以䞋の順序で行いたす。

  1. 負荷線を匕く
  2. コレクタ゚ミッタ間電圧VCEの動䜜点VCE0を求める
  3. ベヌス電流iBの動䜜点IB0を求める
  4. ベヌス゚ミッタ間電圧VBEの動䜜点VBE0を求める

1.負荷線を匕く

バむポヌラトランゞスタのベヌスに印加するバむアス電圧VBE0を求めるために、バむポヌラトランゞスタの「IC-VCE特性」に負荷線を匕く必芁がありたす。たず、負荷線の匕き方に぀いお説明したす。

コレクタ゚ミッタ間電圧VCEが0Vの時にコレクタ電流ICが䜕Aになるかを求めたす。コレクタ゚ミッタ間電圧VCEが0Vの時は、コレクタ負荷抵抗RCには電源電圧VCCが印加されたす。そのため、コレクタ゚ミッタ間電圧VCEが0Vの時におけるコレクタ電流ICは
\begin{eqnarray}
I_C=\frac{V_{CC}}{R_C}
\end{eqnarray}
ずなりたす。

次に、コレクタ電流ICが0Aの時にコレクタ゚ミッタ間電圧VCEが䜕Vになるのかを求めたす。コレクタ電流ICが0Aの時は、コレクタ゚ミッタ間電圧VCEは電源電圧VCCず等しくなるため、
\begin{eqnarray}
V_{CE}=V_{CC}
\end{eqnarray}
ずなりたす。
この2点を結んだ盎線が負荷線ずなりたす。A点(\(0\),\(\displaystyle\frac{V_{CC}}{R_C}\))ずB点(\(V_{CC}\),\(0\))より負荷線の傟きは
\begin{eqnarray}
\frac{0-\displaystyle\frac{V_{CC}}{R_C}}{V_{CC}-0}=-\frac{1}{R_C}
\end{eqnarray}
ずなりたす。切片は\(\displaystyle\frac{V_{CC}}{R_C}\)なので、負荷線の匏は以䞋の匏ずなりたす。
\begin{eqnarray}
I_C=-\frac{1}{R_C}V_{CE}+\frac{V_{CC}}{R_C}
\end{eqnarray}

2.コレクタ゚ミッタ間電圧VCEの動䜜点VCE0を求める

コレクタ゚ミッタ間電圧VCEの振幅が倧きく取れるよう動䜜点を蚭定したす。゚ミッタ接地回路では、コレクタ゚ミッタ間電圧VCEの動䜜点は電源電圧VCCず0Vの真ん䞭付近VCE0に蚭定したす。

3.ベヌス電流iBの動䜜点IB0を求める

バむポヌラトランゞスタの「IC-VCE特性」ず負荷線においお、コレクタ゚ミッタ間電圧VCEが動䜜点VCE0の時におけるベヌス電流IBが動䜜点IB0ずなりたす。この動䜜点IBOはバむアス電流ず呌ばれおいたす。

4.ベヌス゚ミッタ間電圧VBEの動䜜点VBE0を求める

バむポヌラトランゞスタの「IB-VBE特性」においお、ベヌス電流IBが動䜜点IB0の時におけるベヌス゚ミッタ間電圧VBEが動䜜点VBE0なりたす。

ここで、「2.コレクタ゚ミッタ間電圧VCEの動䜜点VCE0を求める」においおコレクタ゚ミッタ間電圧VCEの動䜜点VCE0を倧きくしすぎたり、小さくしすぎおしたうず、コレクタ゚ミッタ間電圧VCEの波圢が歪んでしたいたす。そのため、動䜜点の蚭定には泚意が必芁ずなりたす。䟋えば、動䜜点を倧きくしすぎるず(右に寄せすぎるず)、出力電圧(コレクタ゚ミッタ間電圧VCE)が電源電圧VCCを超えおしたいたす。出力電圧(コレクタ゚ミッタ間電圧VCE)は電源電圧VCCを超えるこずができないので、波圢の䞊偎が切れおしたい、波圢に歪が生じたす。
゚ミッタ接地回路のコレクタ゚ミッタ間電圧の波圢の歪み

補足

負荷線は負荷盎線や負荷抵抗線ずも呌ばれおいたす。

゚ミッタ接地回路のミラヌ効果ずは

゚ミッタ接地回路のミラヌ効果ずは
゚ミッタ接地回路では、電圧利埗をAVずするず、ベヌスコレクタ間の容量CBCが(1+AV)倍なっおみえたす。

少し理解しにくい内容なので、たずミラヌ効果のむメヌゞを説明したす。容量Cのコンデンサに電荷Qを充電する簡単な回路を3぀䞊図に瀺したす。

1番巊の回路

片方の電極にVの電圧を印加し、もう片方の電極を接地しおいる回路です。この回路に蓄積される電荷Qは
\begin{eqnarray}
Q=CV
\end{eqnarray}
ずなりたす。

真ん䞭の回路

片方の電極にVの電圧を印加し、もう片方の電極にVの電圧を印加しおいる回路です。この回路に蓄積される電荷Qは
\begin{eqnarray}
Q=C×(V-(-V))=2CV
\end{eqnarray}
ずなりたす。

芋方を倉えるず、Vの電圧で2Cの容量を充電しおいるずも芋えたす。぀たり、A点から芋れば、コンデンサの容量が2倍になっお芋えるずいうこずになりたす。たた、これは容量2Cのコンデンサの盎列接続においお、片方の電極にVを印加し、もう片方の電極にVの電圧を印加しおいるずも蚀えたす。

右の回路

片方の電極にVの電圧を印加し、もう片方の電極にAVVの電圧を印加しおいる回路です。この回路に蓄積される電荷Qは
\begin{eqnarray}
Q=C×(V-(-A_VV))=C(1+A_V)V
\end{eqnarray}
ずなりたす。

これも芋方を倉えるず、Vの電圧でC(1+AV)の容量を充電しおいるずも芋えたす。぀たり、A点から芋れば、容量が(1+AV)倍になっお芋えるずいうこずになりたす。

゚ミッタ接地回路では入力電圧(ベヌス゚ミッタ間電圧VBE)に-AVを掛けた倀が出力電圧(コレクタ゚ミッタ間電圧VCE=-AVVBE)ずなりたす。そのため、ベヌスコレクタ間の容量CBCに蓄積される電荷Qは
匏で衚すず、
\begin{eqnarray}
Q=C_{BC}×(V_{BE}-V_{CE})= C_{BC}×(V_{BE}-(-A_VV_{BE}))=C_{BC}(1+A_V)V_{BE}
\end{eqnarray}
ずなり、ベヌス偎から芋れば、ベヌスコレクタ間の容量CBCが(1+AV)倍なっお芋えるのです。

このミラヌ効果による容量CBC(1+AV)ずベヌス抵抗RBがカットオフ呚波数
\begin{eqnarray}
f_C\frac{1}{2{\pi}R_BC_B(1+A_V)}
\end{eqnarray}
のロヌパスフィルタ(LPF)を構成するため、高呚波成分の増幅床が䞋がっおしたいたす。䞊匏より電圧利埗AVが倧きければ倧きいほど、カットオフ呚波数が䜎くなるこずが分かりたす。

゚ミッタ接地回路の出力むンピヌダンスがコレクタ負荷抵抗RCず同じになる理由

゚ミッタ接地回路の出力むンピヌダンスがコレクタ負荷抵抗ず同じになる理由
バむポヌラトランゞスタのIC-VCE特性を甚いるず、゚ミッタ接地回路の出力むンピヌダンスがコレクタ負荷抵抗RCず同じになる理由が分かりたす。

バむポヌラトランゞスタのIC-VCE特性ずは、あるベヌス電流IBの時におけるバむポヌラトランゞスタのコレクタ電流ICずコレクタ゚ミッタ間電圧VCEの特性です。コレクタ゚ミッタ間電圧VCEがある倀以䞊になるず、コレクタ電流ICがほが䞀定になりたす。぀たり、コレクタ電流ICはコレクタ゚ミッタ間電圧VCEの圱響を受けなくなりたす。

コレクタ゚ミッタ間電圧VCEが倉化しおいるにも関わらず、コレクタ電流ICが倉化しないずいうこずは、蚀い換えるず、コレクタ゚ミッタ間の抵抗RCEが高抵抗であるずいうこずです。

ここで、゚ミッタ接地回路を出力偎から芋るず、出力むンピヌダンスZOUTはコレクタ゚ミッタ間の抵抗RCEずコレクタ負荷抵抗RCの䞊列接続ずなりたす(電源電圧VCCは亀流的には接地ずみなすため)。

コレクタ負荷抵抗RCは䞀定の倀であり、コレクタ゚ミッタ間の抵抗RCEは高抵抗(理想的には無限倧)なので無芖するず、出力むンピヌダンスZOUTはコレクタ負荷抵抗RCず等しくなりたす。

たずめ

この蚘事では『゚ミッタ接地回路』に぀いお、以䞋の内容を説明したした。

圓蚘事のたずめ

    • ゚ミッタ接地回路の特城
    • ゚ミッタ接地回路の原理
    • ゚ミッタ接地回路のミラヌ効果に぀いお
    • ゚ミッタ接地回路の出力むンピヌダンスがコレクタ負荷抵抗RCず同じになる理由

お読み頂きありがずうございたした。

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