この記事ではトライアックで電力を制御する方法(電力制御回路)について説明します。
トライアックを用いた『電力の制御原理』について
トライアックは上図に示すように、メインターミナル(MT1)、メインターミナル(MT2)、ゲート(G)の3つの端子があり、ゲート(G)に信号(上図ではパルス電流)を与えることで、トライアックがオンし、MT1からMT2に、その逆のMT2からMT1に電流を流せるようになります。
交流電圧vINの1/2サイクルが終了すると、トライアックがオフします。
そのため、上図に示すように、交流電圧vINの1/2サイクル毎に、ゲート(G)にパルス電流を流し、トライアックがオンする期間を変化させることによって、負荷にかかる電圧vOUTを制御することができます。
この制御のことを位相制御と呼びます。なお、トライアックがオンしている時間は導通角、トライアックがオフしている時間は点弧角と呼ばれています。
トライアックを用いた位相制御回路
トライアックを用いて、位相制御する回路には、アナログ式とデジタル式があります。
- アナログ式
- デジタル式
可変抵抗やコンデンサ等を用いて、トライアックを制御する方式
マイコンやスイッチ(フォトトライアックカプラ等)を用いて、トライアックを制御する方式
では各回路について詳しく説明します。
トライアックを用いた位相制御回路(アナログ式)
アナログ式は、可変抵抗やコンデンサ等を用いて、トライアックを制御する方式です。
動作原理
コンデンサCにかかる電圧がダイアックのブレークオーバー電圧を超えると、ダイアックがオンし、トライアックにトリガ電流が流れ、トライアックがオンします。
コンデンサCにかかる電圧は可変抵抗VR、抵抗Rによって調整します。
可変抵抗VRの値を大きくすると、コンデンサCにかかる電圧の上昇が遅くなり、トライアックがオンするスピードが遅くなります。そのため、負荷が調光器の場合は、可変抵抗VRを大きくするほど、暗くなります。これが調光器の明るさが変わる仕組みです。
トライアックを用いた位相制御回路(デジタル式)
デジタル式は、マイコンやスイッチ(フォトトライアックカプラ等)を用いて、トライアックを制御する方式です。上図では、回路動作の説明のためにスイッチSWのみ描いてあります。このスイッチをマイコン等で制御します。
動作原理
トライアックのMT1にプラスの電圧が印加されている時
スイッチSWをオンすると、電流は
と流れます。その結果、トライアックがオンして、主電流が流れます。主電流は
と流れます。
トライアックがオンになると、抵抗R2よりトライアックの導通抵抗の方が小さいのて、ゲートにはほとんど電流が流れなくなります。
スイッチをオフしても、トライアックはオン状態を維持したままとなります。入力電圧vINの極性が変わると、トライアックはオフします。
トライアックのMT2にプラスの電圧が印加されている時
スイッチSWをオンすると、電流は
と流れます。その結果、トライアックがオンして、主電流が流れます。主電流は
と流れます。
トライアックがオンになると、抵抗R2よりトライアックの導通抵抗の方が小さいのて、ゲートにはほとんど電流が流れなくなります。
スイッチをオフしても、トライアックはオン状態を維持したままとなります。入力電圧vINの極性が変わると、トライアックはオフします。
スイッチSWを遅めにオンすると、トライアックがオンするスピードが遅くなります。そのため、負荷が調光器の場合は、スイッチSWを遅めにオンするほど、暗くなります。これが調光器の明るさが変わる仕組みです。
まとめ
この記事ではトライアックの『電力制御回路』について、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- トライアックの『電力制御回路』について
- トライアックを用いて『調光器』を制御する仕組み
お読み頂きありがとうございました。
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