コンバータに過電流が流れると回路内の素子が破損する可能性があります。そのため、過電流を流さないようにするために保護をする必要があります。その保護の方式としてパルスバイパルス方式とラッチ方式などがあります。
今回、パルスバイパルス方式について説明します。
パルスバイパルス方式とは
パルスバイパルス方式とは、半導体スイッチに流れる電流が過電流閾値に達すると、半導体スイッチをオフし、電流を制限します。その後、ICでオンタイミング(上図の点線)が来ると再び半導体スイッチをオンする方式です。
過電流保護の回路図
メーカーによって過電流保護の方法が異なりますが、一例としては、上図のように、半導体スイッチに流れる電流を抵抗ROCPで電圧に変換し、その電圧をコンデンサによって積分し、積分した電圧値がV OCPを超えた場合にスイッチング端子をオフしています。
過電流が生じる原因
そもそも過電流が生じる原因について説明します。原因は様々ありますが、代表的なものは以下の通りです。
1.負荷の異常
負荷がショートした場合には過電流が流れます。
2.過渡応答時に大きな電流を流す必要がある負荷
モーターなど起動時に大電流が必要な負荷の場合には、起動時に過電流が流れます。
3.コンデンサ負荷の充電電流
出力には負荷と並列に電界コンデンサが接続されているのが一般的です。そのコンデンサの充電時には過電流が流れます。
カウンタを内蔵した過電流保護機能
コンバータに流れる電流が過電流となっても、すぐに過電流保護を行いたくない場合があります。
例えば、モーターは起動時、短時間に過電流が流れます。その短時間の間に、過電流保護を行うと、電源は負荷に対して、電流を供給する能力を制限します。すると、負荷に接続されている電界コンデンサから負荷に対して電流が流れるため、出力電圧が低下してしまいます。
そのため、内部にカウンタを内蔵しているICがあります。
例えば、10スイッチングサイクルの間は過電流保護機能を動作させないで、一時的に過電流動作させて出力電圧を保持させます。10スイッチングサイクル以上にわたり過電流が流れた時のみ過電流保護機能を動作させます。