この記事ではプリント基板の『GNDガード』について
- 『GNDガード』とは
- 『GNDガード』の効果や適切な配線方法
などを図を用いて分かりやすく説明しています。
GNDガードとは?
GNDガードとは、信号線(クロックやリセット信号などの高速信号が通るライン)の両側にGNDパターンを配線したものです。GNDガードパターンとも呼ばれています。
GNDガードを行うことで以下の効果を得ることができます
- クロストークの防止
- ノイズ放射の防止
- 外来ノイズからの保護
信号線の近くにGNDパターンを配線することで信号線とGNDパターンとの電磁的な結合が強くなり、信号線と他のパターンの結合(クロストーク)を防止することができます。
信号線は外部へノイズを放射します(EMI放射)。GNDガードを行うことで、この放射ノイズを抑えることができます。
信号線は外部(隣接するパターンなど)から外来ノイズが侵入することで影響を受けます。GNDガードを行うことで、この外来ノイズの影響が受けにくくなります。
一般的にはGNDガードは、信号線と同じ層において、信号線の両側にGNDパターンを配線します。しかし、信号線の上下の層にGNDパターンを配線する場合もあります(このGNDガードは、垂直方向のGNDガードと呼ばれています)。また、信号線の両側と上下の層にGNDパターンを配線する場合もあります(このGNDガードは4方向GNDガードと呼ばれています)。
適切で効果的なGNDガードについて
GNDガードは信号線の近くに配線すれば必ず効果があるわけではありません。適切に配線しないと。GNDガード自体がアンテナになり逆効果となる場合があります。以下に適切なGNDガードの配線方法を示します。
- GNDガードの両端にビアを配置する
- GNDガードのパターン幅を太くし、パターンにビアを配置する
これから各配線方法について説明します。なお、基板にスペースがなく、適切なGNDガードを配線できない場合には、GNDガードをせず、スペースを空けただけの方が良いです。
GNDガードの両端にビアを配置する
GNDガードのダメなパターンを上図の左に、適切なパターンを上図の右に示しています。
- ダメなパターン
- 適切なパターン
信号線の両側にGNDガードを配線していますが、端が開放端になっています。この開放端がアンテナとなってしまい、ノイズを出したり、拾ったりする可能性があります。
GNDの両側にビアを配置し、内層のGNDベタパターンに接続することでGNDを安定させています。これにより、GNDガードがアンテナになることを防止することができます。
また、基板を見てみると、GNDガードの両端付近にビアを配置していますが、肝心の両端が開放端になっている場合があります。この場合には、ビアを配置することができる所までGNDガードにして、その先は取り除きます。
GNDガードのパターン幅を太くし、パターンにビアを配置する
GNDガードのダメなパターンを上図の左に、適切なパターンを上図の右に示しています。
- ダメなパターン
- 適切なパターン
信号線の両端にGNDガードを配線していますが。GNDガードのパターン幅が信号線よりも細く、かつビアを配置していません。そのため、このGNDがアンテナになってしまう可能性があります。
GNDガードのパターン幅をビアの直径と同程度まで太くしています。このようにすることで、GNDガードにビアを配置することができます。また、ビアの間隔はパターン長さ15mm程度以内に1個です。ビアを配置することで、信号線から放射されるノイズをGNDガードで防ぐことができます。このビアも内層のGNDベタパターンに接続することでGNDを安定させます。
補足
GNDガードができない箇所に対する対応
信号線の周囲をGNDガードする場合を考えてみます。上図のように、信号線の周囲にビアや部品があり、GNDガードできない際にはGNDガードを一部切断し、GNDガードの切断部にビアを配置して、内層のGNDベタパターンに接続します。GNDパターンを無理やり細くしたり、切断部にビアを配置していないとGNDガードがアンテナとなり逆効果になる場合があります。