LTspiceでは様々なファイルを使用します。例えば有名なものですと、回路図ファイル(*.asc)やマクロファイル(*.lib)です。また、シミュレーションを実行するとログファイル(*.log)も自動的に生成されます。
その他、マイナーなファイルを含めると、LTspiceで使用するファイル・拡張子の種類は全部で20個近くあります。
ファイルの種類が多いと、何が何のファイルかがよく分からなくなってくるんですよね。
そのため、今回、『ファイルの種類』と『そのファイルの意味』をまとめてみました。
ではこれから詳しく説明します。
回路図ファイル
回路図ファイルは『*.asc』ファイルのみとなっています。
『*.asc』ファイル
LTspiceで描いた回路が保存されるのが『.asc』ファイルとなります。一番使用することが多いファイルだと思います。
波形ファイル
波形ファイルは『*.raw』ファイルに格納されています。FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)を行った場合には『*.fft』ファイルにその結果が格納されています。
波形ファイルはシミュレーション実行時、回路図ファイル(*.asc)と同じフォルダに自動的に作成されます。
『*.raw』ファイル
シミュレーションのグラフデータです。プロットで波形を表示する際に使用されます。このファイルをLTspice上にドラッグすることで、再度シミュレーションをしなくてもグラフ表示が可能になります。
また、『*.raw』ファイルは過渡解析の場合などは、10MBを超える非常に大きなデータサイズなることがあり、HDDを圧迫することになるので注意が必要です。そのため、シミュレーション終了時に『.raw』ファイルを自動的に削除する方法があります。詳しくは以下の記事に記載しています。
LTspiceのおすすめ初期設定!
『*.fft』ファイル
FFT解析を行った場合に生成されるデータファイルです。『*.fft』ファイルをLTspice上にドラッグすることで、再度シミュレーションをしなくてもグラフ表示が可能になります。
なお、FFT解析の方法は
- 波形画面をクリックする(選択する)。
- メニューバーの[View]→[FFT]を選択する。
- 「Select Waveforms to include in FFT」メニューが開き、FFTをしたいノードを選択してOKボタンを押す。
- FFT解析が行われ、『*.fft』ファイルが生成される。
となっています。
ネットリストファイル
ネットリストファイルは『*.net』ファイルに格納されてます。シミュレーション実行時、回路図ファイル(*.asc)と同じフォルダに自動的に作成されますが、回路図を閉じると自動的に削除されます。『*.sp』ファイル・『*.cir』ファイルもネットリストファイルですが、LTspiceでは『*.net』ファイルが使用されることが多いです。
『*.net』ファイル・『*.sp』ファイル・『*.cir』ファイル
回路図のネットリストファイルです。テキストファイル形式となっています。
『*.net』ファイルはLTspice上にドラッグしても開けますし、メモ帳でも開くことができます。
マクロファイル
[ドキュメント]→[LTspiceXVII(バージョンによって異なる)]→[lib]→[sub]にマクロファイルがあります。
マクロファイルは『*.lib』ファイルまたは『*.sub』ファイルに格納されてます。『*.cir』ファイルもネットリストファイルを示すことがありますが、LTspiceでは『*.lib』ファイル・『*.sub』ファイルが使用されることが多いです。
『*.lib』ファイル・『*.sub』ファイル・『*.cir』ファイル
電子部品(ICや半導体スイッチ等)のマクロファイルです。
『*.lib』ファイル・『*.sub』ファイルはLTspice上にドラッグしても開けますし、メモ帳でも開くことができます。
部品メーカーなどから『*.lib』ファイルを入手することで、シミュレーションでその部品のマクロを使用することができます。使用方法は以下のサイトに記載しています。
【LTspice】トランジスタのモデル追加方法
シンボルファイル
[ドキュメント]→[LTspiceXVII(バージョンによって異なる)]→[lib]→[sym]にシンボルファイルがあります。
シンボルファイルは『*.asy』ファイルに格納されてます。
『*.asy』 ファイル
電子部品(ICや半導体スイッチ等)のシンボルファイルです。シンボルファイルの作成方法は以下のサイトに記載しています。
【LTspice】サブサーキットの作成方法と使用方法について
ディスクリート部品のライブラリファイル
[ドキュメント]→[LTspiceXVII(バージョンによって異なる)]→[lib]→[cmp]にディスクリート部品のライブラリファイルがあります。
[cmp]内には受動部品(フェライトビーズ、コンデンサ、インダクタ、抵抗)のライブラリファイルと能動部品(バイポーラトランジスタ、ダイオード、JFET、MOSFET)のライブラリファイルが格納されています。各ファイルの中身は以下のようになっています。
受動部品
『*.bead』 ファイル
フェライトビーズのライブラリファイルとなっています。
『*.cap』 ファイル
コンデンサのライブラリファイル
『*.res』 ファイル
抵抗のライブラリファイル
『*.ind』 ファイル
インダクタ(コイル)のライブラリファイル
能動部品
『*.bjt』ファイル
バイポーラトランジスタのライブラリファイル
『*.dio』ファイル
ダイオードのライブラリファイル
『*.jft』ファイル
JFETのライブラリファイル
『*.mos』ファイル
MOSFETのライブラリファイル
その他
『*.log』ファイル
ログファイルは『*.log』ファイルに格納されてます。シミュレーション実行時、回路図ファイル(*.asc)と同じフォルダに自動的に作成されます。ログファイルにはシミュレーション実行時に日時、シミュレーションに何分かかったか等が記載されています。