重ね合わせの理とは?分かりやすく説明します!

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回路計算において、電源(電圧源や電流源)が1つのみの場合、計算は簡単です。

しかし、電源が2つ以上になると、回路計算が複雑になります。この時に役立つ法則が『重ね合わせの理』です。

この記事では『重ね合わせの理』について

  • 重ね合わせの理とは
  • 重ね合わせの理を用いて、回路に流れる電流を求める手順

などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。

重ね合わせの理とは

重ね合わせの理とは

重ね合わせの理は、複数の電源を含む回路において、「回路の任意の部分に流れる電流(または電圧)」は「それぞれの電源を単独で存在させた回路に流れる電流(または電圧)」を重ね合わせたもの(足し合わせたもの)に等しいという法則です。

上記の文章だけでは難しそうに見えますが、下記の具体例を見れば、重ね合わせの理が理解しやすくなると思います。

具体例

例えば、図1に示すように、『複数の電源(電圧源\(V_1\)と電流源\(I_1\))、抵抗\(R_1\)、抵抗\(R_2\)で構成された回路』があるとします。この回路において、それぞれの電源を単独で存在させた回路を考えると、図2および図3のようになります。

取り除く電源が電圧源の場合は短絡、電流源の場合は開放させます。

図2では電流源\(I_1\)を取り除いているので、電流源\(I_1\)を開放しています。また、図3では電圧源\(V_1\)を取り除いているので、電圧源\(V_1\)を短絡させています。

この時、

  • 電圧源\(V_1\)のみの回路(図2)において、抵抗\(R_2\)に流れる電流を\(I_2'\)
  • 電流源\(I_1\)のみの回路(図3)において、抵抗\(R_2\)に流れる電流を\(I_2''\)

とすると、元の回路(図1)において、抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2\)は次式で表されます。

\begin{eqnarray}
I_2=I_2'+I_2''
\end{eqnarray}

このように、重ね合わせの理では、「それぞれの電源を単独で存在させた回路に流れる電流(\(I_2'\)および\(I_2''\))」を重ね合わせる(足し合わせる)ことにより、「複数の電源を含む回路に流れる電流\(I_2\)」を求めることができるのです。

では次に、実際の回路において、回路に流れる電流を重ね合わせの理を用いて求めてみましょう。

補足

  • 重ね合わせの理は、英語では「Superposition Theorem」と書きます。
  • 重ね合わせの理は、「重ね合わせの定理」や「重ね合わせの原理」や「重ねの理」や「重畳の理」とも呼ばれています。

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重ね合わせの理を用いて電流を求める手順

重ね合わせの理を用いて電流を求める手順

重ね合わせの理の計算例として、上図に示している『複数の電源(電圧源\(V_1\)と電流源\(I_1\))、抵抗\(R_1\)、抵抗\(R_2\)で構成された回路』において、抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2\)を求めてみましょう。

抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2\)は下記の手順(ステップ1~3)で求めることができます。

重ね合わせの理を用いて電流を求める手順

  1. 元の回路を電源ごとに分解する
  2. 各分解回路に流れる電流を求める
  3. 各分解回路に流れる電流を重ね合わせて、元の回路に流れる電流を求める

各ステップについて順番に説明します。

元の回路を電源ごとに分解する

重ね合わせの理を用いて電流を求める手順01

まず元の回路(図4)において、電源を1つだけ残し、それぞれの電源を単独で存在させた回路に分解します。この時、取り除く電源が電圧源の場合は短絡、電流源の場合は開放させます。

元の回路(図4)において、それぞれの電源を単独で存在させた回路に分解すると、「電圧源\(V_1\)のみの回路(図5)」および「電流源\(I_1\)のみの回路(図6)」のようになります。

各分解回路に流れる電流を求める

重ね合わせの理を用いて電流を求める手順02

分解回路を作った後は、各分解回路ごとに抵抗\(R_2\)に流れる電流を求めます。

  • 「分解回路1:電圧源\(V_1\)のみの回路(図5)」に流れる電流
  • 電圧源\(V_1\)のみの回路(図5)において、抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2'\)はオームの法則より以下の値となります。

    \begin{eqnarray}
    I_2'=\frac{V_1}{R_1+R_2}=\frac{6}{8+4}=0.5{\mathrm{[A]}}
    \end{eqnarray}

  • 「分解回路2:電流源\(I_1\)のみの回路(図6)」に流れる電流
  • 電流源\(I_1\)のみの回路(図6)において、抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2''\)は分流の法則より以下の値となります。

    \begin{eqnarray}
    I_2''=\frac{R_1}{R_1+R_2}I_1=\frac{8}{8+4}×3=2{\mathrm{[A]}}
    \end{eqnarray}

各分解回路に流れる電流を重ね合わせて、元の回路に流れる電流を求める

重ね合わせの理を用いて電流を求める手順03

「電圧源\(V_1\)のみの回路(図5)」および「電流源\(I_1\)のみの回路(図6)」において、抵抗\(R_2\)に流れる電流を求めました。

その後は、「それぞれの電源を単独で存在させた回路に流れる電流(\(I_2'\)および\(I_2''\))」を重ね合わせる(足し合わせる)ことにより、「元の回路(図4)に流れる電流\(I_2\)」を求めます。

元の回路(図4)において、抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2\)は以下の値となります。

\begin{eqnarray}
I_2=I_2'+I_2''=0.5+2=2.5{\mathrm{[A]}}
\end{eqnarray}

このように、重ね合わせの理を使うと、複数の電源がある回路でも、電源を1つだけにして回路計算ができるので、キルヒホッフの法則などを使うよりも、簡単に計算することができる場合が多いです。

まとめ

この記事では『重ね合わせの理』について、以下の内容を説明しました。

  • 重ね合わせの理とは
  • 重ね合わせの理を用いて、回路に流れる電流を求める手順

お読み頂きありがとうございました。

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