重ね合わせの理の例題

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この記事では重ね合わせの理を用いた例題を解いています。

そもそも重ね合わせの理って何?」という方は以下の記事で詳しく説明していますので、ご参考になれば幸いです。

重ね合わせの理とは?分かりやすく説明します!
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重ね合わせの理の例題

重ね合わせの理において、回路に流れる電流は下記の手順(ステップ1~3)で求めることができます。

重ね合わせの理を用いて電流を求める手順

  1. 元の回路を電源ごとに分解する
  2. 各分解回路に流れる電流を求める
  3. 各分解回路に流れる電流を重ね合わせて、元の回路に流れる電流を求める

では実際に様々な例題で回路に流れる電流を求めてみましょう。

重ね合わせの理の例題1

重ね合わせの理の例題1

上図に示している『複数の電源(電圧源\(V_1\),電圧源\(V_2\))と抵抗(\(R_1\),\(R_2\),\(R_3\))で構成された回路』において、抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2\)は何\({\mathrm{A}}\)でしょうか。重ね合わせの理を用いて計算してみましょう。

元の回路を電源ごとに分解する

重ね合わせの理の例題1(元の回路を電源ごとに分解する)

まず元の回路(図1)において、電源を1つだけ残し、それぞれの電源を単独で存在させた回路に分解します。この時、取り除く電源が電圧源の場合は短絡、電流源の場合は開放させます。

元の回路(図1)において、それぞれの電源を単独で存在させた回路に分解すると、「電圧源\(V_1\)のみの回路(図2)」および「電圧源\(V_2\)のみの回路(図3)」のようになります。

各分解回路に流れる電流を求める

分解回路を作った後は、各分解回路ごとに抵抗\(R_2\)に流れる電流を求めます。

「分解回路1:電圧源\(V_1\)のみの回路(図2)」に流れる電流

重ね合わせの理の例題1(各分解回路に流れる電流を求める1)

まず「分解回路1:電圧源\(V_1\)のみの回路(図2)」において抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2'\)を求めます。

電圧源\(V_2\)を短絡させると、抵抗\(R_2\)と抵抗\(R_3\)は並列接続されます。抵抗が並列接続されている場合、合成抵抗\(R_{23}\)の逆数\(\displaystyle\frac{1}{R_{23}}\)は「各々の抵抗の逆数の和」になるため、次式で表されます。

\begin{eqnarray}
\frac{1}{R_{23}}&=&\frac{1}{R_2}+\frac{1}{R_3}\\
\\
{\Leftrightarrow}R_{23}&=&\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{R_2}+\displaystyle\frac{1}{R_3}}=\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{2}+\displaystyle\frac{1}{2}}=1{\mathrm{[{\Omega}]}}\tag{1-1}
\end{eqnarray}

抵抗\(R_1\)に流れる電流\(I_1'\)はオームの法則より以下の値となります。

\begin{eqnarray}
I_1'=\frac{V_1}{R_1+R_{23}}=\frac{30}{4+1}=6{\mathrm{[A]}}\tag{1-2}
\end{eqnarray}

したがって、抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2'\)は分流の法則より以下の値となります。

\begin{eqnarray}
I_2'=\frac{R_3}{R_2+R_3}I_1'=\frac{2}{2+2}×6=3{\mathrm{[A]}}\tag{1-3}
\end{eqnarray}

「分解回路2:電圧源\(V_2\)のみの回路(図3)」に流れる電流

重ね合わせの理の例題1(各分解回路に流れる電流を求める2)

「分解回路2:電圧源\(V_2\)のみの回路(図3)」において抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2''\)を求めます。

電圧源\(V_1\)を短絡させると、抵抗\(R_1\)と抵抗\(R_2\)は並列接続されます。抵抗が並列接続されている場合、合成抵抗\(R_{12}\)の逆数\(\displaystyle\frac{1}{R_{12}}\)は「各々の抵抗の逆数の和」になるため、次式で表されます。

\begin{eqnarray}
\frac{1}{R_{12}}&=&\frac{1}{R_1}+\frac{1}{R_2}\\
\\
{\Leftrightarrow}R_{12}&=&\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{R_1}+\displaystyle\frac{1}{R_2}}=\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{4}+\displaystyle\frac{1}{2}}=\frac{4}{1+2}=\frac{4}{3}{\mathrm{[{\Omega}]}}\tag{1-4}
\end{eqnarray}

抵抗\(R_3\)に流れる電流\(I_3''\)はオームの法則より以下の値となります。

\begin{eqnarray}
I_3''=\frac{V_2}{R_3+R_{12}}=\frac{10}{2+\displaystyle\frac{4}{3}}=\frac{30}{6+4}=3{\mathrm{[A]}}\tag{1-5}
\end{eqnarray}

したがって、抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2''\)は分流の法則より以下の値となります。

\begin{eqnarray}
I_2''=\frac{R_1}{R_2+R_1}I_3''=\frac{4}{2+4}×3=2{\mathrm{[A]}}\tag{1-6}
\end{eqnarray}

各分解回路に流れる電流を重ね合わせて、元の回路に流れる電流を求める

重ね合わせの理の例題1(各分解回路に流れる電流を重ね合わせて、元の回路に流れる電流を求める)

「電圧源\(V_1\)のみの回路(図2)」および「電圧源\(V_2\)のみの回路(図3)」において、抵抗\(R_2\)に流れる電流を求めました。

その後は、「それぞれの電源を単独で存在させた回路に流れる電流(\(I_2'\)および\(I_2''\))」を重ね合わせる(足し合わせる)ことにより、「元の回路(図1)に流れる電流\(I_2\)」を求めます。

元の回路(図1)において、抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2\)は以下の値となります。

\begin{eqnarray}
I_2=I_2'+I_2''=3+2=5{\mathrm{[A]}}\tag{1-7}
\end{eqnarray}

重ね合わせの理の例題2

重ね合わせの理の例題2

上図に示している『複数の電源(電圧源\(V_1\),電圧源\(V_2\),電流源\(I_1\))と抵抗(\(R_1\),\(R_2\),\(R_3\),\(R_4\))で構成された回路』において、抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2\)は何\({\mathrm{A}}\)でしょうか。重ね合わせの理を用いて計算してみましょう。

元の回路を電源ごとに分解する

重ね合わせの理の例題2(元の回路を電源ごとに分解する)

まず元の回路(図4)において、電源を1つだけ残し、それぞれの電源を単独で存在させた回路に分解します。この時、取り除く電源が電圧源の場合は短絡、電流源の場合は開放させます。

元の回路(図4)において、それぞれの電源を単独で存在させた回路に分解すると、「電圧源\(V_1\)のみの回路(図5)」、「電圧源\(V_2\)のみの回路(図6)」、「電流源\(I_1\)のみの回路(図7)」のようになります。

各分解回路に流れる電流を求める

分解回路を作った後は、各分解回路ごとに抵抗\(R_2\)に流れる電流を求めます。

「分解回路1:電圧源\(V_1\)のみの回路(図5)」に流れる電流

重ね合わせの理の例題2(各分解回路に流れる電流を求める1)

まず「分解回路1:電圧源\(V_1\)のみの回路(図5)」において抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2'\)を求めます。

電流\(I_A\)のルート」でキルヒホッフの第二法則を用いると次式が成り立ちます。

\begin{eqnarray}
&&V_1=R_1(I_A-I_B)+R_2I_A\\
\\
{\Leftrightarrow}&&14=3(I_A-I_B)+2I_A\\
\\
{\Leftrightarrow}&&5I_A-3I_B=14\tag{2-1}
\end{eqnarray}

電流\(I_B\)のルート」でキルヒホッフの第二法則を用いると次式が成り立ちます。

\begin{eqnarray}
&&0=R_4I_B+R_3I_B+R_1(I_B-I_A)\\
\\
{\Leftrightarrow}&&0=6I_B+3I_B+3(I_B-I_A)\\
\\
{\Leftrightarrow}&&-3I_A+12I_B=0\tag{2-2}
\end{eqnarray}

(2-1)式と(2-2)式より、電流\(I_A\)と電流\(I_B\)は以下の値となります。

\begin{eqnarray}
I_A=\frac{56}{17}{\mathrm{[A]}},{\;}I_B=\frac{42}{51}{\mathrm{[A]}}\tag{2-3}
\end{eqnarray}

抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2'\)は電流\(I_A\)と等しいので以下の値となります。

\begin{eqnarray}
I_2'=I_A=\frac{56}{17}{\mathrm{[A]}}\tag{2-4}
\end{eqnarray}

「分解回路2:電圧源\(V_2\)のみの回路(図6)」に流れる電流

重ね合わせの理の例題2(各分解回路に流れる電流を求める2)

「分解回路2:電圧源\(V_2\)のみの回路(図6)」において抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2''\)を求めます。

電流\(I_A\)のルート」でキルヒホッフの第二法則を用いると次式が成り立ちます。

\begin{eqnarray}
&&0=R_1(I_A-I_B)+R_2I_A\\
\\
{\Leftrightarrow}&&0=3(I_A-I_B)+2I_A\\
\\
{\Leftrightarrow}&&5I_A-3I_B=0\tag{2-5}
\end{eqnarray}

電流\(I_B\)のルート」でキルヒホッフの第二法則を用いると次式が成り立ちます。

\begin{eqnarray}
&&-V_2=R_4I_B+R_3I_B+R_1(I_B-I_A)\\
\\
{\Leftrightarrow}&&-24=6I_B+3I_B+3(I_B-I_A)\\
\\
{\Leftrightarrow}&&-3I_A+12I_B=-24\tag{2-6}
\end{eqnarray}

(2-5)式と(2-6)式より、電流\(I_A\)と電流\(I_B\)は以下の値となります。

\begin{eqnarray}
I_A=-\frac{24}{17}{\mathrm{[A]}},{\;}I_B=-\frac{120}{51}{\mathrm{[A]}}\tag{2-7}
\end{eqnarray}

抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2''\)は電流\(I_A\)と等しいので以下の値となります。

\begin{eqnarray}
I_2''=I_A=-\frac{24}{17}{\mathrm{[A]}}\tag{2-8}
\end{eqnarray}

「分解回路3:電流源\(I_1\)のみの回路(図7)」に流れる電流

重ね合わせの理の例題2(各分解回路に流れる電流を求める3)

「分解回路3:電流源\(I_1\)のみの回路(図7)」において抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2'''\)を求めます。

電流\(I_A\)のルート」でキルヒホッフの第二法則を用いると次式が成り立ちます。

\begin{eqnarray}
&&0=R_1(I_A-I_B)+R_2(I_A-I_C)\\
\\
{\Leftrightarrow}&&0=3(I_A-I_B)+2\left\{I_A-(-6)\right\}\\
\\
{\Leftrightarrow}&&5I_A-3I_B=-12\tag{2-9}
\end{eqnarray}

電流\(I_B\)のルート」でキルヒホッフの第二法則を用いると次式が成り立ちます。

\begin{eqnarray}
&&0=R_4I_B+R_3(I_B-I_C)+R_1(I_B-I_A)\\
\\
{\Leftrightarrow}&&0=6I_B+3\left\{I_B-(-6)\right\}+3(I_B-I_A)\\
\\
{\Leftrightarrow}&&-3I_A+12I_B=-18\tag{2-10}
\end{eqnarray}

(2-9)式と(2-10)式より、電流\(I_A\)と電流\(I_B\)は以下の値となります。

\begin{eqnarray}
I_A=-\frac{66}{17}{\mathrm{[A]}},{\;}I_B=-\frac{126}{51}{\mathrm{[A]}}\tag{2-11}
\end{eqnarray}

抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2'''\)は電流\(I_A\)から電流\(I_C\)を引いた値となり、以下の値となります。

\begin{eqnarray}
I_2'''=I_A-I_C=-\frac{66}{17}-(-6)=\frac{36}{17}{\mathrm{[A]}}\tag{2-12}
\end{eqnarray}

各分解回路に流れる電流を重ね合わせて、元の回路に流れる電流を求める

重ね合わせの理の例題2(各分解回路に流れる電流を重ね合わせて、元の回路に流れる電流を求める)

「電圧源\(V_1\)のみの回路(図5)」、「電圧源\(V_2\)のみの回路(図6)」、「電流源\(I_1\)のみの回路(図7)」において、抵抗\(R_2\)に流れる電流を求めました。

その後は、「それぞれの電源を単独で存在させた回路に流れる電流(\(I_2'\),\(I_2''\),\(I_2'''\))」を重ね合わせる(足し合わせる)ことにより、「元の回路(図4)に流れる電流\(I_2\)」を求めます。

元の回路(図4)において、抵抗\(R_2\)に流れる電流\(I_2\)は以下の値となります。

\begin{eqnarray}
I_2=I_2'+I_2''+I_2''=\frac{56}{17}-\frac{24}{17}+\frac{36}{17}=\frac{68}{17}=4{\mathrm{[A]}}\tag{2-13}
\end{eqnarray}

まとめ

この記事では『重ね合わせの理の例題』について、説明しました。

お読み頂きありがとうございました。

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