この記事ではケーブルの『種類』について
- ケーブルの『種類』と『用途』
- 各ケーブルの特徴
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
ケーブルの種類
ケーブルは絶縁電線(導体を絶縁体で覆っている電線)をシースで覆ったもののことを指します。丸形にする場合には内部に介在物が入っています。
このケーブルには用途によって、
- 低圧屋内配線で広く使用されるVVFケーブルやVVRケーブル
- 電力用ケーブルに使われているCVケーブル
- 移動用ケーブルに使われているVCTケーブル
- 産業用ロボットのアーム配線などの使用に特化したロボットケーブル
など様々な種類があります。
では次に各電線の特徴や用途などを説明します。
VVFケーブル
VVFケーブル(600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形)は、絶縁体もシースもビニルであるシンプルな構造のケーブルです。最高許容温度は60℃です。
一般住宅、商業施設、公共施設などの低圧屋内配線で広く使用されています。例えば、15A程度までの照明やコンセント回路への電源供給用ケーブルで使われています。
VVFケーブルはVAケーブルやFケーブルと呼ばれることがあります。
VVFケーブルは「Vinyl insulated Vinyl sheathed Flat-type cable」の略であり、
- Vinyl insulated:ビニルで絶縁された(←絶縁体がビニルなので)
- Vinyl sheathed:ビニルで覆われた(←シースがビニルなので)
- Flat-type cable:平形ケーブル
を意味しています。
補足
- VVFケーブルはこの後に説明するVVRケーブルよりも質量が軽いため、持ち運びが容易です。
- VAケーブルのVAは「Vinyl Armor(ビニル・アーマー)」の略です。
- FケーブルのFは「Flat(平たい)」の略です。
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VVFケーブルの内部の電線(ビニルで絶縁されている電線)は「IV電線」と呼ばれています。
IV電線やその他の電線の種類と特徴についてには下記の記事で説明していますので、ご参考になれば幸いです。
電線の『種類』について!用途などを解説!
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VVRケーブル
VVRケーブル(600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形)は、VVFケーブルと基本的な構造はほとんど変わらず、絶縁体もシースもビニルであるケーブルです。最高許容温度は60℃です。
VVRケーブルは丸形、VVFケーブルは平形の形状となっています。VVRケーブルは丸形にするために内部に介在物が入っています。そのため、ケーブルの被膜を剥く場合には、介在物の処理をする必要があります。
VVRケーブルは、VVFケーブルと同様に一般住宅、商業施設、公共施設などの低圧屋内配線で広く使用されています。
VVRケーブルはSVケーブル(SV:Sheathed with Vinyl cable)と呼ばれることがあります。
VVRケーブルは「Vinyl insulated Vinyl sheathed Round-type cable」の略であり、
- Vinyl insulated:ビニルで絶縁された(←絶縁体がビニルなので)
- Vinyl sheathed:ビニルで覆われた(←シースがビニルなので)
- Round-type cable:丸形ケーブル
を意味しています。
EM-EEFケーブル
EM-EEFケーブル(600Vポリエチレン絶縁耐燃性シースケーブル平形)はVVFケーブルのエコバージョンです。一般にエコケーブルと呼ばれています。VVFケーブルと見た目は同じです。
VVFケーブルの絶縁体とシースに用いられている塩化ビニルは、燃焼時にハロゲン系ガスやダイオキシンが発生するため、廃却時において環境への影響が懸念されていました。
EM-EEFケーブルは絶縁体とシースを塩化ビニルからポリエチレンに変えることで、燃焼時のハロゲン系ガスやダイオキシンの発生を抑えています。しかし、その分VVFケーブルよりも高くなります。
被膜に耐熱性を持たせているため、最高許容温度はVVFケーブルより高く、75℃となっています。
EM-EEFケーブルは「Eco-Material polyEthylene insulated polyEthylene sheathed Flat-type cable」の略であり、
- Eco-Material:エコマテリアル
- polyEthylene insulated:ポリエチレンで絶縁された
- polyEthylene sheathed:ポリエチレンで覆われた
- Flat-type cable:平形ケーブル
を意味しています。
CVケーブル
CVケーブル(600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)は絶縁体が架橋ポリエチレンでシースがビニルのケーブルです。最高許容温度は90℃です。最高許容温度が高いため、VVFケーブルやVVRケーブルよりも許容電流を大きくとることができます。
CVケーブルは電力用ケーブルとしては一般的であり、住宅・工場・商業施設・事務所など幅広い建築物に用いられています。
単心のCVケーブルを撚り合わせたものがCVD、CVT、CVQケーブルです。CVDは2本、CVTは3本、CVQは4本のCVケーブルを撚り合わせています。撚り本数が多くなるほど、許容電流値や施工性が向上しますが、放熱性能が悪くなるため、同一径における許容電流値は減少します。
また、ひとつのシースに複数のCVケーブルをまとめて円形に仕上げたケーブルは心線の数によってCV-2C、CV-3C、CV-4Cと呼ばれています。CV-2Cは心線が2本、CV-3Cは心線が3本となります。これらのケーブルは丸形にするために内部に介在物が入っています。
CVケーブルは「Cross-linked polyethylene insulated Vinyl sheathed cable」の略であり、
- Cross-linked polyethylene insulated:架橋ポリエチレンで絶縁された
- Vinyl sheathed:ビニルで覆われた
- cable:ケーブル
を意味しています。
MIケーブル
MIケーブル(無機絶縁ケーブル)は「ステンレス鋼などの金属の外装管」と「導体」の間に「酸化マグネシウムなどの耐熱性の高い無機絶縁物」を圧縮充填することで絶縁しているケーブルです。
耐熱性に優れ、腐食しやすい環境でも耐久性があるため、高温になる箇所の配線に用いられています。
MIケーブルは「Mineral Insulated cable」の略であり、
- Mineral Insulated:無機で絶縁された)
- cable:ケーブル
を意味しています。
VCTケーブル
VCTケーブル(ビニルキャブタイヤケーブル)は、絶縁体もシースもビニルのキャブタイヤケーブルです。主に交流600V以下、直流750V以下の電圧で使用されます。
可動によるストレスに強く、耐水性・耐油性・耐熱性に優れているため、移動用ケーブルに使われています。移動用ケーブルとは建物や電柱に固定せず、ケーブルが移動できるように敷設されているものです。また、発電機・溶接機の配線やFAの自動化用機器の配線などにも使用されています。
VCTケーブルのシースの色は灰色が一般的です。
VCTケーブルは「Vinyl CabTyre cable」の略です。
キャブタイヤケーブルとは
キャブタイヤケーブルとは、固定配線を必要としない移動用ケーブルのことを指します。ケーブルを覆っている素材(シース)にはゴム系とビニル系があります。
ゴム系のキャブタイヤケーブルはCT・RNCT・PNCTの3種類、ビニル系のキャブタイヤケーブルはVCT・VCTFの2種類があります。ビニル系はゴム系に比べて、耐水性等に優れています。
VCTFケーブル
VCTFケーブルは、絶縁体もシースもビニルのキャブタイヤケーブルです。
VCTケーブルが交流600V以下、直流750V以下の電圧で使用されるのに対し、VCTFケーブルは交流300V以下の電圧で使用されます。
CTケーブル
CTケーブルは、絶縁体もシースも天然ゴムのキャブタイヤケーブルです。
耐候性・耐油性に劣ります。
RNCTケーブル
RNCTケーブルは、絶縁体が天然ゴムでシースがクロロプレンゴム(通称:ネオプレン)のキャブタイヤケーブルです。
耐候性・耐摩耗性に優れていますが、現在はPNCTケーブルに移行しています。
PNCTケーブル
PNCTケーブルは、絶縁体がEPゴム(エチレンプロピレンゴム)でシースがクロロプレンゴム(通称:ネオプレン)のキャブタイヤケーブルです。
耐候性・耐油性に優れています。
CTケーブルやRNCTケーブルよりも、許容電流が大きいので、小さいサイズのケーブルを使用することができます。
ロボットケーブル
ロボットケーブルは産業用ロボットのアーム配線などの使用に特化したケーブルです。
例えば、アームで部品を掴んで、別の移動にさせるといったように、産業用ロボットは複雑な動きを繰り替えています。
ロボットケーブルは耐屈曲性・耐捻回性などに優れているため、この複雑な動きでも使えます。
まとめ
この記事ではケーブルの『種類』について、以下の内容を説明しました。
- ケーブルの『種類』と『用途』
- 各ケーブルの特徴
お読み頂きありがとうございました。
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