回路図を見ていると電源の記号に「VCC」、「VEE」、「VDD」、「VSS」という記号が使われています。
- 「VCC」の「CC」、「VEE」の「EE」は何の意味かご存知でしょうか?
- 「VDD」の「DD」、「VSS」の「SS」は何の意味かご存知でしょうか?
この記事では「VCC」、「VEE」、「VDD」、「VSS」の意味・違い・使い分けについて説明します。
「VCC」、「VEE」、「VDD」、「VSS」の意味・違い・使い分け
電源の記号に使われている「VCC」、「VEE」、「VDD」、「VSS」の意味・違い・使い分けを下記に示します。
- VCC
- バイポーラトランジスタ(BJT)を用いている回路のプラス電源に「VCC」を用います。
- 「VCC」の「C」はコレクタ(Collector)の頭文字となっています。
- 「VCC」と「C」を2回繰り返すのは、コレクタ電圧VCと区別しているからであるという説が有力です。
- VEE
- バイポーラトランジスタ(BJT)を用いている回路のマイナス電源に「VEE」を用います。
- 「VEE」の「E」はエミッタ(Emitter)の頭文字となっています。
- 「VEE」と「E」を2回繰り返すのは、エミッタ電圧VEと区別しているからであるという説が有力です。
- VDD
- 電界効果トランジスタ(FET)を用いている回路のプラス電源に「VDD」を用います。
- 「VDD」の「D」はドレイン(Drain)の頭文字となっています。
- 「VDD」と「D」を2回繰り返すのは、ドレイン電圧VDと区別しているからであるという説が有力です。
- VSS
- 電界効果トランジスタ(FET)を用いている回路のマイナス電源に「VSS」を用います。
- 「VSS」の「S」はソース(Source)の頭文字となっています。
- 「VSS」と「S」を2回繰り返すのは、ソース電圧VSと区別しているからであるという説が有力です。
ではこれから各電源記号について順番に詳しく説明します。
VCCの『意味』
バイポーラトランジスタ(BJT)を用いている回路のプラス電源に「VCC」を用います。
NPNバイポーラトランジスタのコレクタ側の電源が「VCC」となります。NPNバイポーラトランジスタのコレクタ端子は、直接「VCC」に接続されているか、抵抗などを介して「VCC」に接続されていることが多いです。
「VCC」の「C」はコレクタ(Collector)の頭文字となっています。「VCC」と「C」を2回繰り返すのは、コレクタ電圧VCと区別しているからであるという説が有力です。複数のプラス電源を使用する回路では「VCC1、VCC2、・・・」のようにそれぞれ異なる電源記号をつけて表していることが多いです。
内部回路を構成している主要素子がバイポーラトランジスタのオペアンプのプラス電源、TLL(Transistor-transistor logic:バイポーラトランジスタと抵抗によって構成された論理回路)のプラス電源にも「VCC」を用います。
補足
「V+」や「V-」も電源電圧を意味する一般的な記号です。
そのため、バイポーラトランジスタ(BJT)を用いている回路のプラス電源に「VCC」ではなく「V+」を使用する場合もあります。
VEEの『意味』
バイポーラトランジスタ(BJT)を用いている回路のマイナス電源に「VEE」を用います。
NPNバイポーラトランジスタのエミッタ側の電源が「VEE」となります。NPNバイポーラトランジスタのエミッタ端子は、直接「VEE」に接続されているか、抵抗などを介して「VEE」に接続されていることが多いです。単電源方式の場合には「VEE」はアースと同電位になります。
「VEE」の「E」はエミッタ(Emitter)の頭文字となっています。「VEE」と「E」を2回繰り返すのは、エミッタ電圧VEと区別しているからであるという説が有力です。複数のマイナス電源を使用する回路では「VEE1、VEE2、・・・」のようにそれぞれ異なる電源記号をつけて表していることが多いです。
内部回路を構成している主要素子がバイポーラトランジスタのオペアンプのマイナス電源、TLL(Transistor-transistor logic:バイポーラトランジスタと抵抗によって構成された論理回路)のマイナス電源にも「VEE」を用います。
補足
「V+」や「V-」も電源電圧を意味する一般的な記号です。
そのため、バイポーラトランジスタ(BJT)を用いている回路のマイナス電源に「VEE」ではなく「V-」を使用する場合もあります。
VDDの『意味』
電界効果トランジスタ(FET)を用いている回路のプラス電源に「VDD」を用います。
Nチャネル型の電界効果トランジスタ(NchFET)のドレイン側の電源が「VDD」となります。Nチャネル型の電界効果トランジスタのドレイン端子は、直接「VDD」に接続されているか、抵抗などを介して「VDD」に接続されていることが多いです。
「VDD」の「D」はドレイン(Drain)の頭文字となっています。「VDD」と「D」を2回繰り返すのは、ドレイン電圧VDと区別しているからであるという説が有力です。複数のプラス電源を使用する回路では「VDD1、VDD2、・・・」のようにそれぞれ異なる電源記号をつけて表していることが多いです。
内部回路を構成している主要素子がFETのオペアンプのプラス電源、CMOS(Complementary MOS)のプラス電源にも「VDD」を用います。
補足
「V+」や「V-」も電源電圧を意味する一般的な記号です。
そのため、電界効果トランジスタ(FET)を用いている回路のプラス電源に「VDD」ではなく「V+」を使用する場合もあります。
VSSの『意味』
電界効果トランジスタ(FET)を用いている回路のマイナス電源に「VSS」を用います。
Nチャネル型の電界効果トランジスタ(NchFET)のソース側の電源が「VSS」となります。Nチャネル型の電界効果トランジスタのソース端子は、直接「VSS」に接続されているか、抵抗などを介して「VSS」に接続されていることが多いです。単電源方式の場合には「VSS」はアースと同電位になります。
「VSS」の「S」はソース(Source)の頭文字となっています。「VSS」と「S」を2回繰り返すのは、ソース電圧VSと区別しているからであるという説が有力です。複数のマイナス電源を使用する回路では「VSS1、VSS2、・・・」のようにそれぞれ異なる電源記号をつけて表していることが多いです。
内部回路を構成している主要素子がFETのオペアンプのマイナス電源、CMOS(Complementary MOS)のマイナス電源にも「VSS」を用います。
補足
「V+」や「V-」も電源電圧を意味する一般的な記号です。
そのため、電界効果トランジスタ(FET)を用いている回路のマイナス電源に「VSS」ではなく「V-」を使用する場合もあります。
まとめ
この記事では電源記号について、以下の内容を説明しました。
- 「VCC」、「VEE」、「VDD」、「VSS」の意味・違い・使い分け
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