この記事では『ダイオードの逆電圧(逆方向電圧)』について図を用いて詳しく説明してます。
ダイオードの『逆電圧(逆方向電圧)VR』
ダイオードにはアノード(A)とカソード(K)と呼ばれる端子があり、正しい方向に電圧を印加することで電流が流れます。
ダイオードに対して、アノード(A)にプラス、カソード(K)にマイナスの電圧を印加することで電流が流れます。このアノード(A)にプラス、カソード(K)にマイナスを印加している電圧のことを『順電圧』といいます。順電圧の記号は\(V_F\)、単位は\({\mathrm{[V]}}\)(←ボルト)となります。
また、ダイオードに順電圧を印加した時に流れる電流のことを順電流といい、記号は\(I_F\)、単位は\({\mathrm{[A]}}\)(←アンペア)となります。
一方、ダイオードに対して、アノード(A)にマイナス、カソード(K)にプラスの電圧を印加しても電流がほとんど流れません。このアノード(A)にマイナス、カソード(K)にプラスを印加している電圧のことを『逆電圧』といいます。逆電圧の記号は\(V_R\)、単位は\({\mathrm{[V]}}\)(←ボルト)となります。逆電圧は逆方向電圧や逆方向バイアス電圧とも呼ばれています。なお、逆電圧は英語で『Reverse Voltage』と書くため、逆電圧の記号が\(V_R\)となります。
また、ダイオードに逆電圧を印加した時に流れる微小電流のことを逆電流といい、記号は\(I_R\)、単位は\({\mathrm{[A]}}\)(←アンペア)となります。逆電流は逆方向電流やリーク電流とも呼ばれています。なお、逆電流は英語で『Reverse Current』と書くため、逆電流の記号が\(I_R\)となります。
また、ダイオードに印加することができる逆電圧\(V_R\)には限度値があります。実際にデータシートを見て確認してみましょう。
例えば、下図に示したルネサス製1S2076のデータシートを見ると、逆電圧\(V_R\)の絶対最大定格が\(60{\mathrm{V}}\)となっていることが分かります。ダイオードに印加する逆電圧\(V_R\)がこの限度値を超えると、ダイオードが破壊してしまう可能性があります。なお、右上に記載されてある「\(Ta=25{\mathrm{℃}}\)」は周囲温度が\(25{\mathrm{℃}}\)という意味です。
また、逆電圧\(V_R\)を印加した時にどれくらい逆電流\(I_R\)が流れるのかもデータシートに記載されています。例えば、下図に示したルネサス製1S2076のデータシートを見ると、逆電圧\(V_R\)を\(30{\mathrm{V}}\)印加した時に逆電流\(I_R\)が最大\(100{\mathrm{nA}}\)流れることが分かります。
なお、絶対最大定格と逆電圧の電圧定格については下記の記事で詳しく説明していますのでご参考にしてください。
補足
- ダイオードのアノード側はP型半導体、カソード側はN型半導体となっています。
- 順電圧は順方向電圧、順方向バイアス電圧とも呼ばれています。
- 順電流は順方向電流とも呼ばれています。
- ダイオードのアノード(A)にプラス、カソード(K)にマイナスの電圧を印加することを「順バイアスをかける」と言います。
- ダイオードのアノード(A)にマイナス、カソード(K)にプラスの電圧を印加することを「逆バイアスをかける」と言います。
- LEDは逆電圧の限度値が一般的に低く、3.5V~5V程度となっており、ダイオードと比較すると小さいのが特徴です。
本記事のまとめ
この記事では『ダイオードの逆電圧(逆方向電圧)』について、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- ダイオードの逆電圧(逆方向電圧)とは
- データシート上での逆電圧の最大値
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