この記事ではトランスに用いるテープ(バリアテープや層間テープ)について
- トランスに用いるテープの種類
- ポリエステルテープ(マイラーテープ)
- ノーメックステープ
- PPSテープ
- カプトンテープ
- コンビネーションテープ(バリアテープ)
を図を用いて説明しています。
トランスに用いるテープの種類
テープと聞いて思い浮かべるのは『セロハンテープ』や『ガムテープ』ですが、トランスやコイルに用いるテープには何が使われているかご存知でしょうか。
トランスやコイルに用いるテープには、『電気絶縁性』と『耐熱性』に優れているテープを使います。『電気絶縁性』と『耐熱性』が必要な理由は下記となります。
- 電気絶縁性が必要な理由
- 耐熱性が必要な理由
トランスは1次-2次間を絶縁されていることが必要となります。この1次-2次間をテープで絶縁する場合、『電気絶縁性』が優れたテープが必要となります。
トランスやコイルは温度が高くなる部品のため、『耐熱性』が優れたテープが必要となります。
また、トランスやコイルに用いるテープは上図に示すように様々な種類があります。
テープは『基材(支持体とも呼ばれる)』に『接着剤』を塗布されている構成となっています。
例えば、基材にポリエステルフィルムを使用したテープはポリエステルテープと呼び、基材にノーメックス紙を使用したテープはノーメックステープと呼ばれています。これらのテープはトランスやコイルの用途により使い分けています。
次に各テープの特徴について順番に説明していきます。
ポリエステルテープ(マイラーテープ)
ポリエステルテープ(マイラーテープ)は基材が『ポリエステルフィルム』、接着剤が『ゴム系接着剤』or『アクリル系接着剤』or『シリコーン系接着剤』のテープです。
様々な色があり、例えば、『白・黒・青・赤・黄・緑・透明』などがあります。
耐熱温度が120℃なので、耐熱クラスがE種(許容最高温度120℃)以下のトランスやコイルに使用することができます。
ポリエステルテープの主な特徴と用途は下記となっています。
特徴
- 電気絶縁性に優れている。
- 耐熱性に優れている。
- コストが安い。
- 粘着力が強い。
用途
- トランスやコイルの層間や外装の絶縁用
ノーメックステープ
ノーメックステープは基材が『デュポン社製ノーメックス紙』、接着剤が『ゴム系接着剤』or『アクリル系接着剤』or『シリコーン系接着剤』のテープです。
色は白色となっています。
耐熱温度が155℃や200℃(←商品により異なります)なので、F種(許容最高温度155℃)やH種(許容最高温度180℃)以下のトランスやコイルに使用することができます。
ノーメックステープの主な特徴と用途は下記となっています。
特徴
- 電気絶縁性に優れている。
- 耐熱性に優れている。
- コストが高い。
- 突き刺し強度に優れている。
→ポリエステルテープの数倍。
用途
- トランスやコイルの層間や外装の絶縁用
- 各種電子部品の耐熱用・絶縁用
- 電池電極の絶縁用
PPSテープ
PPSテープは基材が『ポリフェニレンサルファイドフィルム』、接着剤が『アクリル系接着剤』or『シリコーン系接着剤』のテープです。ポリフェニレンサルファイドフィルムは耐薬品性と耐熱性に優れています。
PPSは「ポリフェニレンサルファイド(Polyphenylenesulfide)」の略となっています。
様々な色があり、例えば、『クリーム・青・赤』などがあります。
耐熱温度が155℃なので、F種(許容最高温度155℃)以下のトランスやコイルに使用することができます。
PPSテープの主な特徴と用途は下記となっています。
特徴
- 電気絶縁性に優れている。
- 耐熱性に優れている。
- コストが高い。
- 耐薬品性に優れている。
→ポリエステルテープの数倍。
用途
- 熱のかかる箇所における部品の絶縁
- チップ型アルミ電解コンデンサの素子止め用
- Liイオン2次電池の電池電極の絶縁用
カプトンテープ
カプトンテープは基材が『カプトン®フィルム(ポリイミドフィルム)』、接着剤が『アクリル系接着剤』or『シリコーン系接着剤』のテープです。
カプトンテープは耐熱を求められる電子機器、熱のかかる箇所における部品の絶縁、耐熱マスキングなどに最適ですが、かなりコストが高いというデメリットがあります(PPSテープの数倍)。また、カプトンテープはポリイミドテープと呼ばれることがあります。
色は褐色(栗の実のような色)となっています。
耐熱温度が200℃なので、F種(許容最高温度155℃)やH種(許容最高温度180℃)以下のトランスやコイルに使用することができます。
カプトンテープの主な特徴と用途は下記となっています。
特徴
- 電気絶縁性に優れている。
- 耐熱性に優れている。
- コストが高い。
→PPSテープの数倍。
用途
- 熱のかかる箇所における部品の絶縁用
- 高温乾燥塗装やハンダメッキのマスキングテープ
コンビネーションテープ(バリアテープ)
コンビネーションテープは基材が『ポリエステルフィルムにポリエステル不織布を張り合わせたもの』、接着剤が『アクリル系接着剤』or『シリコーン系接着剤』のテープです。
トランスの沿面距離(1次2次間の絶縁距離)を確保するためのバリアテープ(エッジテープ、スペーシングテープ、マージンテープとも呼ばれる)として用いられています。
色は白色となっています。
耐熱温度が120℃となってます。
コンビネーションテープの主な特徴と用途は下記となっています。
特徴
- 電気絶縁性に優れている。
- 耐熱性に優れている。
- コストが高い。
- 適度な強度があるため、トランスの沿面距離確保に優れている。
→ポリエステルテープの数倍。
用途
- トランスのバリアテープ
- 電子部品の絶縁や固定
まとめ
この記事ではトランスに用いるテープ(バリアテープや層間テープ)ついて、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- トランスに用いるテープの種類
- ポリエステルテープ(マイラーテープ)
- ノーメックステープ
- PPSテープ
- カプトンテープ
- コンビネーションテープ(バリアテープ)
お読み頂きありがとうございました。
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