この記事では『風量』と『風速』について
- 『風量』と『風速』の違い
- 『風量』と『風速』の計算式
- 『風量』と『風速』の単位
- 『風量』から『風速』、『風速』から『風量』を導出する計算例
を図を用いて説明しています。
『風量』と『風速』の違いと計算式について!
風の強さを表すものとして『風速』がありますが、似たような言葉に『風量』というものがあります。これらの違いをご存知でしょうか。
先に結論から言うと、風量は「単位時間あたりに通過(移動)する空気の量(体積)」を表し、風速は「1秒間に移動する空気の距離」を表しています。
図でイメージすると、「通過する面積S(緑色の部分)」×「風速V(赤色の部分)」が「風量Q(青色の部分)」となり、面積をS[m2]、風速をV[m/s]とすると、風量Q[m3/s]は次式で表されます。
風量と風速の計算式
\begin{eqnarray}
Q=SV
\end{eqnarray}
後ほど上式を用いて、『風量から風速を導出する計算例』と『風速から風量を導出する計算例』を解いていきますが、例題を解く際、『風量』と『風速』の単位を理解しておく必要があるので、次に単位について説明します。
風量の単位について
先ほど風量の単位は[m3/s]で表しましたが、風量の単位は様々あります。
例えば、[cm3/s],[m3/min],[cm3/min],[m3,h],[cm3/h]など使われることがあります。この中で一般的には[m3/min]と[m3/h]が多く用いられています。
例えば、風量Qが10[m3/min]だった場合、「1分間に通過する空気の量(体積)が10m3」ということを意味しています。
また、風量の単位にはCMMやCMHもあり、各単位は以下の意味となっています。
CMMとCMHの意味
- CMM:Cubic(立方) Meter(メートル) Minutes (時)を表しており、[m3/min]と同じです。
- CMH:Cubic(立方) Meter(メートル) Hour(時)を表しており、[m3/h]と同じです。
単位時間について
風量は「単位時間あたりに通過(移動)する空気の量(体積)」を表します。ここに出てくる単位時間とは「基準となる時間の長さのこと」を意味しており、単位における「/s」,「/min」,「/h」の部分となります。各単位時間は以下の意味をあらわしています。
- 「/s」:1秒間あたり
- 「/min」:1分間あたり
- 「/h」:1時間あたり
風速の単位について
風速の単位は[m/s]または[kn]で表します。[m/s]は「めーたーぱーせかんど、めーとるまいびょう」と読みます。[kn]は「ノット(knot)」と読みます。
例えば、風速が10[m/s]だった場合、「1秒間に空気が10m進む」ということを意味しています。
また、[kn]は「1時間に1海里(=1.852km)進む速さ」ということを意味しています。すなわち、[kn]と[m/s]は以下の関係式となります。
関係式
\begin{eqnarray}
1{\mathrm{[kn]}}&=&1{\mathrm{[海里/h]}}\\
&=&1{\mathrm{[海里/h]}}×1.852{\mathrm{[km/海里]}}\\
&=&1.852{\mathrm{[km/h]}}\\
&=&1.852{\mathrm{[km/h]}}×1000{\mathrm{[m/km]}}×\frac{1}{3600{\mathrm{[s/h]}}}\\
&=&0.514{\mathrm{[m/s]}}\\
\end{eqnarray}
補足
- 天気予報などでたまに聞く最大風速は10分間平均風速の最大値となっています。
- 風速の目安ですが風速が10[m/s]を超えると傘がさせず、15[m/s]を超えると転倒する人があらわれる強さです。また、風速が17.2[m/s]を超えると台風と定義されています。
『風速』から『風量』を導出する計算例
問題文
半径10cm(=0.1m)の円柱内部において風速V=5[m/s]の風が通過する場合の風量Qを求めてみましょう。
回答
step
1通過する面積Sを求める
半径10cm(=0.1m)の円柱の面積S[m2]は「半径×半径×3.14」より以下の値となります。
\begin{eqnarray}
S=0.1×0.1×3.14=0.0314{\mathrm{[m^2]}}
\end{eqnarray}
step
2面積Sに風速Vをかけて風量Qを求める
面積S[m2]に風速V[m/s]をかけることで風量Qを求めることができます。
\begin{eqnarray}
Q=SV=0.0314{\mathrm{[m^2]}}×5{\mathrm{[m/s]}}=0.157{\mathrm{[m^3/s]}}
\end{eqnarray}
step
3風速の単位を変える
風速の単位を[m3/min]や[m3/h]を変えたい場合には単位変換を行います。
- 単位を[m3/min]に変える場合
- 単位を[m3/h]に変える場合
1分間は60秒なので60[s/min]をかけることで単位変換できます。
\begin{eqnarray}
0.157{\mathrm{[m^3/s]}}×60{\mathrm{[s/min]}}=9.42{\mathrm{[m^3/min]}}
\end{eqnarray}
1時間は3600秒なので3600[s/h]をかけることで単位変換できます。
\begin{eqnarray}
0.157{\mathrm{[m^3/s]}}×3600{\mathrm{[s/h]}}=565.2{\mathrm{[m^3/h]}}
\end{eqnarray}
『風量』から『風速』を導出する計算例
問題文
風量Q=5000[m3/h]において、面積がS=0.25[m2]の時とS=0.01[m2]の時における風速Vを求めてみましょう。
step
1風量Qの単位を変える
風量の単位の「/h」を「/s」に変えます。
1時間は3600秒なので3600[s/h]を割ることで単位変換できます。
\begin{eqnarray}
Q=5000{\mathrm{[m^3/h]}}×\frac{1}{3600{\mathrm{[s/h]}}}=1.388{\mathrm{[m^3/s]}}
\end{eqnarray}
step
2風量Qを面積Sで割って風速を求める
- 面積がS=0.25[m2]の時
- 面積がS=0.01[m2]の時
\begin{eqnarray}
V=\frac{Q}{S}=\frac{1.388{\mathrm{[m^3/s]}}}{0.25{\mathrm{[m^2]}}}=5.55{\mathrm{[m/s]}}
\end{eqnarray}
\begin{eqnarray}
V=\frac{Q}{S}=\frac{1.388{\mathrm{[m^3/s]}}}{0.01{\mathrm{[m^2]}}}=138.8{\mathrm{[m/s]}}
\end{eqnarray}
このように面積が小さくなると風速が速くなることが分かります。『太いストローをくわえて息を吐いたとき』と『細いストローをくわえて息を吐いたとき』では細いストローの方が勢いよく息が出てくることからイメージが湧くと思います。
まとめ
この記事では『風量』と『風速』ついて、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- 『風量』と『風速』の違い
- 『風量』と『風速』の計算式
- 『風量』と『風速』の単位
- 『風量』から『風速』、『風速』から『風量』を導出する計算例
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