この記事では電力の単位である[W(ワット)]・[J/s(ジュール毎秒)]と電力量の単位である[J(ジュール)]・[Ws(ワット秒)]・[Wh(ワットアワー)]・[kWh(キロワットアワー)]の意味と違いについて説明しています。
図を用いて分かりやすく&詳しく説明するように心掛けています。
以下の項目を説明しています。
- 【電力の単位】[W(ワット)]と[J/s(ジュール毎秒)]とは?
- 【電力量の単位】[J(ジュール)]と[Ws(ワット秒)]とは?
- 【電力量の単位】[Wh(ワットアワー)]と[kWh(キロワットアワー)]とは?
- [Wh(ワットアワー)]から[J(ジュール)]への変換方法
- 電気料金の計算方法
[W(ワット)]と[J/s(ジュール毎秒)]は『電力』の単位である
[W(ワット)]は『電力』の単位です。
抵抗にI[A]の電流が流れており、その時の両端電圧がV[V]の場合、抵抗で消費される電力P[W]は次式となります。
\begin{eqnarray}
電力P{\mathrm{[W]}}=電流I{\mathrm{[A]}}×電圧V{\mathrm{[V]}}
\end{eqnarray}
では、一例として電力P[W]を求める計算を以下に示します。
計算例
抵抗に10[A]の電流が流れており、その時の両端電圧が5[V]の場合、抵抗で消費される電力P[W]は次式となります。
\begin{eqnarray}
電力P{\mathrm{[W]}}&=&電流I{\mathrm{[A]}}×電圧V{\mathrm{[V]}}\\
&=&10{\mathrm{[A]}}×5{\mathrm{[V]}}\\
&=&50{\mathrm{[W]}}
\end{eqnarray}
また、電力P[W]は1秒間にどれだけの電力量(エネルギー,仕事量)W[J]を消費するかを表したものです。次式の関係があります。
\begin{eqnarray}
電力P{\mathrm{[W]}}=\frac{電力量W{\mathrm{[J]}}}{時間t{\mathrm{[s]}}}
\end{eqnarray}
電力の単位は[W(ワット)]ですが、上式から分かるように[J/s(ジュール毎秒)]という単位を使うこともあります。
[J(ジュール)]と[Ws(ワット秒)]は『電力量』の単位である
[J(ジュール)]は『電力量(エネルギー)』の単位です。
電力量W[J]は電力P[W]に時間t[s]をかけると求めることができ、次式となります。
\begin{eqnarray}
電力量W{\mathrm{[J]}}=電力P{\mathrm{[W]}}×時間t{\mathrm{[s]}}
\end{eqnarray}
電力量の単位は[J(ジュール)]ですが、上式から分かるように[Ws(ワット秒)]という単位を使うこともあります。
では、一例として電力量W[J]を求める計算を以下に示します。
計算例
50[W]の電気製品(つまり、1秒間に50[J]の電気量を消費する電気製品)を5秒間使用した時、電気製品が消費する電気量(エネルギー)は以下の値になります。
\begin{eqnarray}
電力量W{\mathrm{[J]}}&=&電力P{\mathrm{[W]}}×時間t{\mathrm{[s]}}\\
&=&50{\mathrm{[W]}}×5{\mathrm{[s]}}\\
&=&250{\mathrm{[J]}}(={\mathrm{[Ws]}})
\end{eqnarray}
100[W]の電気製品(つまり、1秒間に100[J]の電気量を消費する電気製品)を5秒間使用した時、電気製品が消費する電気量(エネルギー)は以下の値になります。
\begin{eqnarray}
電力量W{\mathrm{[J]}}&=&電力P{\mathrm{[W]}}×時間t{\mathrm{[s]}}\\
&=&100{\mathrm{[W]}}×5{\mathrm{[s]}}\\
&=&500{\mathrm{[J]}}(={\mathrm{[Ws]}})
\end{eqnarray}
上例から分かるように、電気量とは電気製品などをある時間使った時の電気の量のことを表しています。
また、電力P[W]が大きいほど、1秒間に消費する電力量(エネルギー)が大きくなります。そのため、電力P[W]は電力量(エネルギー)を消費する速度を表しているということになります。
なお、電力量(エネルギー)の単位には[J(ジュール)]以外にも[Wh(ワットアワー)]と[kWh(キロワットアワー)]というものがあります。次にそれを説明します。
[Wh(ワットアワー)]と[kWh(キロワットアワー)]は『電力量』の単位である
[Wh(ワットアワー)]はその名の通り、[W(ワット)]に[h(時)]をかけた単位です。「電力×時間」なので、電力量(エネルギー)の単位を表します。
電力量W[Wh]は電力P[W]に時間t[h]をかけると求めることができ、次式となります。
\begin{eqnarray}
電力量W{\mathrm{[Wh]}}=電力P{\mathrm{[W]}}×時間t{\mathrm{[h]}}
\end{eqnarray}
計算例
50[W]の電気製品を1時間使用した時、電気製品が消費する電気量(エネルギー)は以下の値になります。
\begin{eqnarray}
電力量W{\mathrm{[Wh]}}&=&電力P{\mathrm{[W]}}×時間t{\mathrm{[h]}}\\
&=&50{\mathrm{[W]}}×1{\mathrm{[h]}}\\
&=&50{\mathrm{[Wh]}}
\end{eqnarray}
50[W]の電気製品を5時間使用した時、電気製品が消費する電気量(エネルギー)は以下の値になります。
\begin{eqnarray}
電力量W{\mathrm{[Wh]}}&=&電力P{\mathrm{[W]}}×時間t{\mathrm{[h]}}\\
&=&50{\mathrm{[W]}}×5{\mathrm{[h]}}\\
&=&250{\mathrm{[Wh]}}
\end{eqnarray}
いままでのことを整理すると、電力量Wは電力P[W]に時間をかけることで求めることができますが、かけ算する時間の単位が[s(秒)]の場合は電力量Wの単位が[Ws](=[J])となり、[h(時)]の場合は電力量Wの単位が[Wh]となるということです。
- [J(ジュール)](=[Ws(ワット秒)])
- [Wh(ワットアワー)]
[W(ワット)]に[s(秒)]をかけた単位。
[W(ワット)]に[h(時)]をかけた単位。
なお、1[kWh]は1000[Wh]となります。[kWh(キロワットアワー)]は電力料金を計算する上での基本単位となります。
補足:電力会社からの明細
毎月、電力会社から「電気ご使用量のお知らせ」と書かれてある明細書が届きます。この明細書に載っている「ご使用量」には1ヵ月で使用した電力量が[kWh(キロワットアワー)]の単位で表示されています。
例えば、「ご使用量」に100[kWh]と表示されていた場合、どれくらい電気製品を使用したかのイメージを考えてみましょう。ドライヤーの消費電力を1000[W](1[kW])とすると、
\begin{eqnarray}
100{\mathrm{[kWh]}}&=&1{\mathrm{[kW]}}×100{\mathrm{[h]}}
\end{eqnarray}
となります。つまり、100[kWh]とは1ヵ月に1000[W](1[kW])のドライヤーを100時間使用したくらいの電力量ということになります(ドライヤーをこんなに使うことはありませんが・・・あくまでイメージです。)。
[Wh(ワットアワー)]から[J(ジュール)]への変換方法
電力量の単位である[Wh(ワットアワー)]と[J(ジュール)]の関係について説明します。
1[Wh]とは1[W]の電力を1時間使用した時の電力量です。
ここで、1時間を秒に変換すると、『1時間=60分×60秒=3600秒』となります。
そのため、1[Wh]は次のように[J]に変換することができます。
\begin{eqnarray}
1{\mathrm{[Wh]}}&=&1{\mathrm{[W]}}×1{\mathrm{[h]}}\\
&=&1{\mathrm{[W]}}×3600{\mathrm{[s]}}\\
&=&3600{\mathrm{[Ws]}}(={\mathrm{[J]}})
\end{eqnarray}
つまり1[Wh]=3600[J]の関係がなりたつことが分かります。
[W(ワット)]・[J(ジュール)]・[Wh(ワットアワー)]の関係とまとめ
上図のように『横軸:時間t、縦軸:電力P」のグラフで考えると、いままで説明した単位を整理することができます。
50[W]の電気製品を5秒間使用した時は以下の電力量を消費します。
\begin{eqnarray}
電力量W{\mathrm{[J]}}&=&電力P{\mathrm{[W]}}×時間t{\mathrm{[s]}}\\
&=&50{\mathrm{[W]}}×5{\mathrm{[s]}}\\
&=&250{\mathrm{[J]}}(={\mathrm{[Ws]}})
\end{eqnarray}
10[W]の電気製品を1時間使用した時は以下の電力量を消費します。
\begin{eqnarray}
電力量W{\mathrm{[Wh]}}&=&電力P{\mathrm{[W]}}×時間t{\mathrm{[h]}}\\
&=&50{\mathrm{[W]}}×1{\mathrm{[h]}}\\
&=&50{\mathrm{[Wh]}}(=0.05{\mathrm{[kWh]}})
\end{eqnarray}
1[Wh]=3600[J]の関係より50[Wh]=180000[J]の電力量の消費したことと同じになります。
電気料金の計算方法
電気料金を1kWhあたり20円として消費電力量から電気料金を計算する方法を説明します。以下の順序で電気料金を計算することができます。
電気料金の計算方法
- 電気製品に記載されている消費電力P[W]を調べる
- 電力P[W]に使用時間をかけて電力量W[Wh]を求める
- 電気料金を計算する
では、一例として1200[W]のドライヤーを10分間使用した時の電気料金を計算してみましょう。
step
1電気製品に記載されている消費電力P[W]を調べる
一般的なドライヤーでは、1200[W]の電力を消費します。なお、どれくらい電力を消費するかについては、上図のように取扱説明書や電気製品に記載されています。
step
2電力P[W]に使用時間をかけて電力量W[Wh]を求める
電力P[W]に使用時間([s(秒)]ではなく[h(時)])をかけることで電力量W[Wh]を計算します。
例えば、15分間使用した場合には、『0.25[h](=15/60)』、30分間使用した場合には、『0.5[h](=30/60)』をかけます。
1200[W]のドライヤーを10分間使用した場合の電力量W[Wh]は
\begin{eqnarray}
電力量W{\mathrm{[Wh]}}&=&電力P{\mathrm{[W]}}×時間t{\mathrm{[h]}}\\
&=&1200{\mathrm{[W]}}×\frac{10}{60}{\mathrm{[h]}}\\
&=&200{\mathrm{[Wh]}}\\
&=&0.2{\mathrm{[kWh]}}
\end{eqnarray}
となります。
step
3電気料金を計算する
電気料金は1kWhあたり20円なので、0.2[kWh]の電気量を使用した場合の電気料金は
\begin{eqnarray}
0.2{\mathrm{[kWh]}}×20{\mathrm{[円/kWh]}}=40{\mathrm{[円]}}
\end{eqnarray}
となります。なお、1kWhあたりの電気料金は電力会社のHP等で公表されています。
まとめ
この記事では『電力の単位』と『電力量の単位』ついて、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- 【電力の単位】[W(ワット)]と[J/s(ジュール毎秒)]とは?
- 【電力量の単位】[J(ジュール)]と[Ws(ワット秒)]とは?
- 【電力量の単位】[Wh(ワットアワー)]と[kWh(キロワットアワー)]とは?
- [Wh(ワットアワー)]から[J(ジュール)]への変換方法
- 電気料金の計算方法
お読み頂きありがとうございました。
当サイトでは電気に関する様々な情報を記載しています。当サイトの全記事一覧には以下のボタンから移動することができます。