可変コンデンサには、ドライバなどを用いて機械的に静電容量を調整するもの、印可電圧で静電容量を調整するものなど様々な種類があります。この記事では可変コンデンサの種類について説明します。
可変コンデンサの種類と分類
上図に可変コンデンサ(可変容量コンデンサとも呼ばれます)の種類を示しています。これから各項目について説明していきます。
可変コンデンサの種類
まず、可変コンデンサは、バリアブルコンデンサ(Variable Capacitor)と可変雲母コンデンサ(Variable Compression Mica Capacitor)に分類されます。
バリアブルコンデンサ(バリコン)
静電容量を連続的に可変するコンデンサです。略してバリコンとも呼ばれています。ドライバやツマミを介して機械的に容量値を変更します。バリアブルコンデンサ(バリコン)は、さらに機械調整コンデンサと電圧調整コンデンサに分類されます。
可変雲母コンデンサ
静電容量を断続的に可変するコンデンサです。各容量の固定コンデンサを切り換えスイッチにより変化させます。回路調整や測定用の標準器などに用いられています。
バリアブルコンデンサ(バリコン)の種類
バリアブルコンデンサ(バリコン)である機械調整コンデンサと電圧調整コンデンサについて説明します。
機械調整コンデンサ
扇形の電極対が向かい合っている構造となっており、ツマミやドライバーで一方を回転させることで、電極対向面積を変え、静電容量を変化させるコンデンサです。なお、静電容量はツマミやドライバーで可変させますが、機械的に静電容量を変化させる構造なので、静電容量の大きなものを作るのが難しく、pFオーダーのものとなります。また、誘電体には空気、セラミック、またはプラスチックフィルムが用いられています。機械調整コンデンサは、さらに同調コンデンサとトリマーコンデンサに分類されます。
電圧調整コンデンサ
印可電圧によって静電容量を変化させるコンデンサです。ダイオードの空乏層を誘電体として用いています。ダイオードに印可する逆電圧の大きさによって空乏層の厚さが変化します。この特性を利用すると電気的に静電容量を可変させることができます。電圧調整コンデンサはバリキャップ(varicap diode)、可変容量ダイオード(variable capacitance diode)、バラクタとも呼ばれています。このコンデンサの主な用途は、VCO、位相同調回路、PLLとなります。
機械調整コンデンサの種類
機械調整コンデンサである同調コンデンサ(Tuning Capacitor)とトリマーコンデンサ(Trimmer Capacitor)について説明します。
同調コンデンサ
無線調整のLC回路で一般的に使用されているコンデンサであり、ラジオの選局時など、頻繁に静電容量を変化させる用途で用います。この同調コンデンサのことをバリアブルコンデンサ(バリコン)と呼んでいる場合もあります。誘電体は主に空気または雲母となります。同調コンデンサは、さらにエアバリコンとポリバリコンに分類されます。
トリマーコンデンサ
製品出荷前や工場でのメンテナンスなど、調整するときにだけ静電容量を変化させるコンデンサです。ドライバを使用することによって変化させます。誘電体は主に空気またはセラミックとなります。
同調コンデンサの種類
同調コンデンサであるエアバリコン(Airvaricon)とポリバリコン(Polyvaricon)について説明します。
エアバリコン
空気を誘電体とする同調コンデンサです。静電容量を稼ぐために、複数の電極板を重ねた構造となっています。高耐圧に耐えられるため、1970年代までの真空管を使用したラジオなどに使われていました。エアバリコンの1種にタイトバリコンがあります。タイトバリコンとは電極を保持する絶縁体に磁器(ステアタイト)を使用した同調コンデンサとなります。
ポリバリコン
薄いポリエチレンフィルムを誘電体とする同調コンデンサです。ラジオの周波数ダイヤルなどに使われています。