電子機器の故障原因の1つには雷があります。
ここで、雷には種類があるのをご存知でしょうか?
雷の種類としては大きく、直撃雷、誘導雷、逆流雷の3種類があります。例えば、雨の日に「雷が落ちた!」と言うときありますよね。この雷は直撃雷のことを指しています。また、電子機器の破損のほとんどは誘導雷が原因となっています。
では、直撃雷、誘導雷、逆流雷の違いは何でしょうか?
この記事では、各々の雷の違いや特徴について詳しく説明します。
雷の種類について
雷の種類としては大きく、直撃雷、誘導雷、逆流雷の3種類あります。直撃雷、誘導雷、逆流雷の違いは以下のようになっています(後ほど各々の雷について詳しく説明します)。
- 直撃雷
- 誘導雷
- 逆流雷
直撃雷とは、その名の通り、雷が対象物(電柱、建造物・電気設備・電力線・通信線・避雷針・アンテナ・人体など)に直撃することを指します。この「直撃雷」は一番馴染みのある雷です。雨の日に「雷が落ちた!」と言ったことがあると思いますが、この雷は「直撃雷」のことを指しています。
誘導雷とは、雷雲間での放電、近傍の樹木や建物への直撃雷により、電線やケーブル等に誘導された雷サージのことを指します。雷による電子機器の破損のほとんどが誘導雷による雷サージによるものです。なお、雷サージとは、落雷の影響によって瞬間的に発生する過電圧や過電流のことを指します。
逆流雷とは、建物や大地などへの落雷による対地電位の上昇によって、接地(アース)から逆流してくる過電圧や過電流のことを指します。
直撃雷
直撃雷とは、その名の通り、雷が対象物(電柱、建造物・電気設備・電力線・通信線・避雷針・アンテナ・人体など)に直撃することを指します。
直撃雷によって生じた雷サージ(直撃雷サージと呼ばれる)は電圧と電流が非常に大きいのが特徴です。雷電圧は数百万V、雷電流は1kA~20kA程度となっていますが、200kA~300kA程度の雷電流も観測されており、極稀には500kAを超える雷電流を発生させる場合もあります。また、時間的には数100us~数msと短時間の雷サージとなっています。
直撃雷によって生じた雷サージ(直撃雷サージ)は電線やケーブル等を通して建物内に入り込みます。直撃雷は膨大なエネルギーを有しているため、電気設備や人体がどんな保護を行っても、直撃雷を受けた場合には落雷被害をゼロにすることはほぼ不可能です。直撃雷を受けた場合、建物を破壊したり、人の命を奪ったり、火災を発生させるなど膨大な被害を引き起こします。電気機器であればほぼ間違いなく破損します。
そのため、直撃雷を避けるために、外部に避雷設備を設ける必要があります。
補足
- 直撃雷は、一番馴染みのある雷の種類であり、例えば、雨の日に「雷が落ちた!」と言うときありますよね。この雷は『直撃雷』のことを指しています。
- 直撃雷は英語では『Direct Lightning Stroke』と言います。
- 直撃雷は、雷雲と対象物との間で大気の絶縁が破壊され放電されることで生じます。
誘導雷
誘導雷とは、雷雲間での放電、近傍の樹木や建物への落雷により、電線やケーブル等に過電圧や過電流が誘導されることを指します。
つまり、誘導雷とは直撃雷を原因として2次的に発生するものです。したがって、エネルギーは誘導雷よりも直撃雷の方がはるかに大きくなります。
誘導雷によって生じる雷サージ(誘導雷サージと呼ばれる)の雷電圧は数kV~数10kVとなっています。また、時間的には数100us~数100usとかなりの短時間となっています。
誘導雷は直撃雷と比較すると、エネルギーは小さいですが、電気機器にとっては過酷なエネルギーです。そのため、誘導雷によって電子機器が誤動作することがあります。室内にある電子機器が雷によって、破損したという事故は、ほとんどが誘導雷による雷サージによるものとなっています。この誘導雷は、サージ吸収素子(アレスタやバリスタなど)を用いて、雷サージを吸収したり、アースに逃がすことで電気機器を防ぐことが可能です。
また、誘導雷によって生じる雷サージには電磁誘導による雷サージと静電誘導による雷サージがあります。
電磁誘導による雷サージ
樹木や大地などに落雷した際には、雷電流が流れます。この雷電流によって電磁界が発生します。この電磁界の周囲に電線やケーブル等があると、電磁誘導が生じ、電線やケーブル等に雷サージが発生します。雷サージは電線やケーブル等を通して建物内に入り込んで電子機器を故障させます。
静電誘導による雷サージ
夏季雲の場合、一般的には雷雲の上部にはプラス電荷、下部にはマイナス電荷が発生しています。この雷雲の下に電線やケーブル等があると、クーロン力によって、電線やケーブル等にプラス電荷が誘導され、高電圧が発生します。その後、雷雲間での放電や、落雷によって、雷雲のマイナス電荷が減少すると、電線やケーブル等に誘導されていたプラス電荷はクーロン力からの拘束が解かれ、雷サージが発生します。雷サージは電線やケーブル等を通して建物内に入り込んで電子機器を故障させます。
補足
- 数km先に雷が落ちたことによる誘導雷でも電子機器を故障させる可能性があります。
- 雷サージの発生原因で最も多いのが誘導雷となっています。
- 誘導雷は英語では『Induced Lightning』と言います。
逆流雷
逆流雷とは、建物や大地などへ落雷による対地電位の上昇しよって、接地(アース)から逆流してくる過電圧や過電流のことを指します。
建物や大地などへ落雷した場合、大地のインピーダンスがあるため、落雷地点の対地電位が上昇します。落雷した所と離れた所では、地間に電位差が生じます。その結果、電流が接地(アース)から逆流して、電子機器の入力に加わります。この逆流雷は、サージ吸収素子(アレスタやバリスタなど)を用いて、雷サージを吸収したり、アースに逃がすことで電気機器を防ぐことが可能です。
補足
- 逆流雷は接地雷とも呼ばれています。
- 誘導雷は英語では『Back-flow Lightning』と言います。
【補足】雷サージって何?
雷サージとは、落雷の影響によって瞬間的に発生する過電圧や過電流のことです。雷サージは電力線や通信線などを通って家の中に侵入し、電子機器の破損を引き起こします。雷サージは発生要因によって、直撃雷サージ、誘導雷サージ、逆流雷サージがあります。
直撃雷サージとは直撃雷によって生じた雷サージ、誘導雷サージとは誘導雷によって生じた雷サージ、逆流雷サージとは逆流雷によって生じた雷サージのことを指します。
補足
- 雷サージは、「らいサージ」や「かみなりサージ」と呼ばれています。
- 電子機器が破損する原因としては、誘導雷サージに起因するものが大半であると言われています。
まとめ
この記事では雷の種類について、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- 『直撃雷』と『誘導雷』と『逆流雷』の違いと特徴
- 雷サージについて
お読み頂きありがとうございました。
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