ダイオード

【トンネルダイオード】『原理』や『特徴』などをわかりやすく解説!

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この記事ではトンネルダイオードについて

  • トンネルダイオードとは
  • トンネルダイオードの特性
  • トンネルダイオードのエネルギーバンド図
  • トンネルダイオードの原理

などを図を用いて分かりやすく説明しています。

以下の目次から各項目に飛べるようになっています。

トンネルダイオードとは

トンネルダイオードとは

トンネルダイオード(Tunnel Diode)とは、トンネル効果を応用したPN接合ダイオードです。江崎玲於奈(れおな)博士の発明によるため、その名をとってエサキダイオード(Esaki Diode)とも呼ばれています。

トンネルダイオードは、負性抵抗特性を持ちます。負性抵抗特性とは、電圧が増加すると、電流が減少する特性のことです(後ほど詳しく説明します)。また、高周波特性が良いため、マイクロ波の発振回路等で用いられています。

補足

  • トンネルダイオードは1957年(昭和32年)に発明されました。
  • 江崎玲於奈博士は1973年(昭和48年)に日本人としては4人目となるノーベル賞(ノーベル物理学賞)を受賞しました。

トンネルダイオードの特性

トンネルダイオードの特性

トンネルダイオードの電流-電圧特性は上図のようになっています。比較のために一般的な整流ダイオードの特性も示しています。

一般的な整流ダイオードの場合、順方向電圧を印加すると、ある電圧(シリコンダイオードの場合は0.6V程度)を超えるまではほとんど順電流が流れず、ある電圧(0.6V程度)を超えると急に電流が流れ始めます。その後、順方向電圧の増加とともに順電流が指数関数的に増加します。

一方、逆方向電圧を印加すると、ほとんど逆電流が流れず、ある電圧(降伏電圧という)を超えると、降伏が始まり、急に電流が流れ始めます。

トンネルダイオードは一般的な整流ダイオードの特性と全く異なる特性になっています。

大きく分けると、トンネル電流が流れる領域負性抵抗特性の領域一般的な整流ダイオードの特性が表れる領域があります。

トンネル電流が流れる領域

トンネルダイオードの場合、順方向電圧を印加すると、トンネル効果により、すぐに大きな順電流が流れ始めます。

負性抵抗特性の領域

順方向電圧が大きくすると、トンネル効果による順電流が減少します。すなわち、電圧が増加しているのにも関わらず、電流が減少している部分があるということです。この特性は、オームの法則で考えると、「(抵抗)=(電圧)/(電流)」の値が負であることに相当するので、負性抵抗特性と呼ばれています。トンネルダイオードで最も重要なのは、この負性抵抗を示す電圧領域となります。

一般的な整流ダイオードの特性が表れる領域

順方向電圧をさらに大きくすると、負性抵抗特性が終了し、一般的な整流ダイオードのように順方向電圧の増加とともに順電流が増加します。

一方、逆方向電圧を印加すると、すぐに大きな逆電流が流れます。

では、なぜこのような特性になるのでしょうか。この原理を次に説明します。

補足

負性抵抗特性を持つ素子を負性抵抗素子といいます。トンネルダイオードは負性抵抗素子の代表的な1つです。


トンネルダイオードのエネルギーバンド図

トンネルダイオードのエネルギーバンド図

上図はトンネルダイオード一般的な整流ダイオードのエネルギーバンド図です。

原理を説明する上で重要となるトンネルダイオードのエネルギーバンド図についてまず説明します。

トンネルダイオードはN型半導体とP型半導体の不純物濃度がとても大きくなっています。不純物濃度が大きくなると、エネルギーバンド図は以下のように変化します。

N型半導体

ドナーとなる不純物の濃度を上げると、伝導体の電子濃度が増加します。電子濃度が低い場合、フェルミ準位EFはバンドギャップ内にありますが、伝導体の電子濃度が増加すると、金属に近い状態となり、フェルミ準位EFは伝導体内に入ります。すなわち、フェルミ準位EFは伝導体の底ECよりも大きくなります。

P型半導体

アクセプタとなる不純物の濃度を上げると、価電子帯の電子濃度が減少します。その結果、フェルミ準位EFは価電子帯の頂上EVよりも小さくなります。

そのため、トンネルダイオードのエネルギーバンド図は上図のようになります。このような状態では、空乏層に作られるポテンシャル障壁(電子や正孔のキャリアが通ることができない電位の「壁」のようなもの)が非常に薄くなります。

トンネルダイオードの原理

トンネルダイオードの原理

では次にトンネルダイオードの特性がどのように得られるのかをエネルギーバンド図を用いて原理を説明します。

①点

トンネルダイオードに順方向電圧が印加されておらず、熱平衡状態の点です。この状態ではN形半導体とP型半導体のフェルミ準位EFが一致しています。

②点

トンネルダイオードに小さな順方向電圧V2を印加している点です。N型半導体のフェルミ準位EFが上にeV2上がります。すると、N型半導体の伝導帯内にある電子のうちエネルギーが高い部分はP型半導体の価電子帯の上部の正孔が溜まっているエネルギーと等しくなります。その結果、トンネルダイオードは、ポテンシャル障壁が非常に薄いため、普段は通り抜けることができない電子や正孔がポテンシャル障壁を通り抜けてしまいます。これがトンネル効果です。N型半導体の電子はP型半導体へトンネルし、P型半導体の正孔はN型半導体へトンネルします。そのため、一般的な整流ダイオードではある電圧(シリコンダイオードの場合は0.6V程度)を超えるまではほとんど電流が流れませんが、トンネルダイオードでは、小さな順方向電圧V1を印加だけで、大きな順電流が流れるようになります。

③点

トンネルダイオードに順方向電圧V3を印加している点です。N型半導体のフェルミ準位EFが上にeV3上がります。トンネル電流が最大となる点です。

④点

トンネルダイオードに順方向電圧V4を印加している点です。N型半導体のフェルミ準位EFが上にeV4上がります。トンネル効果で移動できる電子と正孔の数が減るため、順電流が減少します。

⑤点

トンネルダイオードに順方向電圧V5を印加している点です。N型半導体のフェルミ準位EFが上にeV5上がります。この状態では電子と正孔はトンネル効果による移動ではなく、一般的な整流ダイオードと同じく、PN接合を乗り越えて移動するため、再び順電流が上昇します。

⑥点

トンネルダイオードに逆方向電圧V6を印加している点です。N型半導体のフェルミ準位EFがeV6下がります。すると、P型半導体の価電子帯にある電子がN型半導体の伝導帯に移動できるようになります。その結果、小さな逆方向電圧V6を印加するだけで、逆電流が流れてしまいます。そのため、トンネルダイオードには整流作用がありません。

【その他】トンネルダイオードの用途

  • マイクロ波の発振回路
  • 増幅回路
  • 高周波スイッチング

まとめ

この記事ではトンネルダイオードついて、以下の内容を説明しました。

当記事のまとめ

  • トンネルダイオードとは
  • トンネルダイオードの特性
  • トンネルダイオードのエネルギーバンド図
  • トンネルダイオードの原理

お読み頂きありがとうございました。

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