この記事ではトランスの『巻線抵抗(直流抵抗)』について
- トランスの『巻線抵抗(直流抵抗)』とは
- トランスの『巻線抵抗(直流抵抗)』の『測定方法』
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
トランスの『巻線抵抗(直流抵抗)』とは
トランス(変圧器)の巻線抵抗は、トランスの巻線である銅線の直流抵抗のことを指しています。
理想的なトランスには巻線抵抗はありませんが、実際のトランスには1次巻線と2次巻線にある程度の抵抗値(巻線抵抗)を持っています。
この巻線抵抗による抵抗損は銅損と呼ばれています。銅損\(P_C\)は
- 1次巻線の巻線抵抗を\(R_1{\mathrm{[{\Omega}]}}\)
- 1次巻線に流れる電流の実効値を\(I_1{\mathrm{[A]}}\)
- 2次巻線の巻線抵抗を\(R_2{\mathrm{[{\Omega}]}}\)
- 2次巻線に流れる電流の実効値を\(I_2{\mathrm{[A]}}\)
とすると、次式で表されます。
\begin{eqnarray}
P_C=R_1{I_1}^2+R_2{I_2}^2{\mathrm{[W]}}\tag{1}
\end{eqnarray}
補足
- 巻線抵抗は英語では「Winding Resistance」と書きます。
- 上図に示す等価回路では、1次巻線や2次巻線の漏れ抵抗、浮遊容量、鉄損抵抗などは省略しています。
トランスの『巻線抵抗(直流抵抗)』の測定方法
トランスの巻線抵抗(直流抵抗)を測定する際、インダクタンスの影響を受けないようにするために、直流で測定します。
1次側の巻線抵抗\(R_1{\mathrm{[{\Omega}]}}\)は、1次巻線の両端に測定器(テスターやLCRメータ等)を接続し、抵抗値を測定します。同様に、2次側の巻線抵抗\(R_2{\mathrm{[{\Omega}]}}\)は、2次巻線の両端に測定器(テスターやLCRメータ等)を接続し、抵抗値を測定します。
巻線抵抗を測定する際、測定端子以外はすべて開放して測定します(測定器以外は何も接続しないということ)。また、インダクタンスの影響を除去するために、測定器の値が一定になった後に表示値を読み取ります。
2端子法と4端子法
1次巻線や2次巻線の巻線抵抗の値が低い場合、4端子法で測定した方が良いです。
4端子法は、低い抵抗値を高精度に測定する方法です。4端子法では、『測定器から出ているリード線の配線抵抗』などを無視し、測定対象の抵抗値のみを測定することができます。
『4端子法』については下記の記事で詳しく説明しています。興味のある方は下記のリンクからぜひチェックをしてみてください。
『2端子法』と『4端子法』の違いを分かりやすく解説【抵抗計測】
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まとめ
この記事ではトランスの『巻線抵抗(直流抵抗)』について、以下の内容を説明しました。
- トランスの『巻線抵抗(直流抵抗)』とは
- トランスの『巻線抵抗(直流抵抗)』の『測定方法』
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