この記事では『熱電対』について
- 熱電対とは
- 熱電対の『原理』と『種類』
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
熱電対とは
熱電対は、異なる2種類の金属で構成された温度センサです。
異なる2種類の金属Aと金属Bの一端を接触させ、一端の温度\(T_1\)と他端の温度\(T_2\)に温度差が生じると、熱起電力(電圧)が発生します。この熱起電力を温度に換算しています。
熱電対は下記のような特徴があります。
熱電対の特徴
- 高温または低温で使用しても、熱起電力が安定している。
- 特定箇所や省スペースでの温度測定が可能である。
- －200℃～+1700℃と広範囲の温度測定が可能である。
- 温度変化に対する応答性が早い。
- 耐熱性が高く、高温においても機械的強度を保つことができる。
- 耐食性が高く、ガスなどに対しても丈夫である。
補足
- 熱電対は英語では「Thermocouple」と書きます。
熱電対の原理
熱電対の原理について説明します。
異なる2種類の金属Aと金属Bの両端を接続して、両端の接点に温度差を与えると、金属間に温度差\(T_1-T_2\)に応じた熱起電力(電圧)が発生し、電流が流れます。
この現象は1821年に『ドイツの物理学者トーマス・ヨハン・ゼーベックさん』によって発見され、発明者の名前をとってゼーベック効果と呼ばれています。
また、異なる2種類の金属Aと金属Bの一端のみを接続して、多端を開放すれば、熱起電力(電圧)を検出することができます。
実際に熱電対を使用する際には、金属の一端を温度測定箇所、他端を計測器に接続し、温度差\(T_1-T_2\)に応じた熱起電力(電圧)を温度に換算しています。
具体的には、熱電対は種類別に「熱起電力(電圧)と温度の換算表(熱電対基準熱起電力表)」というものがあります。計測器では熱電対の種類を設定し、換算表を参照することで、温度差\(T_1-T_2\)に応じた熱起電力(電圧)を温度に換算しています。
また、温度\(T_1\)を求めるためには、温度\(T_2\)の情報が必要となります。計測器は本体内に基準接点補償機能というものが搭載されており、基準接点の温度\(T_2\)をサーミスタ等の温度センサで測定することができます。以上より、『温度\(T_2\)』と『温度差\(T_1-T_2\)に応じた熱起電力(電圧)』から『温度\(T_1\)』を求めることができるのです。
補足
- 熱起電力の大きさは「金属の種類」と「両端の温度差」によって決まります。金属の形状と大きさには関係しません。
- 熱起電力は英語では「Thermoelectromotive force」と書きます。
- トーマス・ヨハン・ゼーベックは英語では「Thomas Johan Seebeck」と書きます。
熱電対の種類
熱電対は異なる2種類の金属を組み合わせたものであり、様々な種類があります。
まず、熱電対には白金やロジウムといった融点の高い金属を使用した貴金属熱電対と、白金やロジウムを使用していない卑金属熱電対があります。
貴金属熱電対と卑金属熱電対には下記に示すような種類があります。
- 貴金属熱電対
- 卑金属熱電対
貴金属熱電対B熱電対、R熱電対、S熱電対の3種類あります。
卑金属熱電対はN熱電対、K熱電対、E熱電対、J熱電対、T熱電対、C熱電対の6種類あります。
各熱電対で「金属の組み合わせ方」と「特徴」が異なります。
例えば、T熱電対は『＋脚：純銅』、『－脚：ニッケルおよび銅を主とした合金(コンスタンタン)』の熱電対です。使用温度範囲は『-200℃～300℃』であり、電気抵抗が小さく、200℃以下では熱起電力が安定しているため、低温で高精度の測定に最適という特徴があります。
各熱電対についてはについては下記の記事で詳しく説明しています。興味のある方は下記のリンクからぜひチェックをしてみてください。
-
熱電対の『種類』について詳しく解説！KやTって何？
続きを見る
まとめ
この記事では『熱電対』について、以下の内容を説明しました。
- 熱電対とは
- 熱電対の『原理』と『種類』
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