【リレー】『感動電圧』と『開放電圧』とは?分かりやすく説明します!

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この記事ではリレーの『感動電圧』と『開放電圧』について

  • 感動電圧とは
  • 開放電圧とは
  • 感動電圧と開放電圧の温度特性

などを図を用いて分かりやすく説明しています。

感動電圧

感動電圧

感動電圧とはリレーがオン状態になるときの電圧です。

この感動電圧にはバラツキがあり、バラツキの上限値感動電圧の規格値となります。

例えば、感動電圧の規格値に「定格電圧の80%以下」と書いてあった場合、リレーに印加する電圧を徐々に上げていくと、定格電圧の80%に達するまでにリレーがオンするということになります。リレーをオン状態にするには定格電圧の80%以上の電圧を印加する必要があります。

感動電圧は「実装条件や周囲温度により変化する」&「感動電圧付近では接点動作が不安定になる」という特徴があるため、リレーを確実にオン状態にするために定格電圧の±5%の範囲の電圧を印加することをお勧めします。

補足

  • 感動電圧の規格値は通常20℃の温度条件で規定されていますが、リレーにより25℃のものもあります。そのため、使用するリレーのカタログ表記値を参照してください。
  • 感動電圧はプルイン電圧最低作動電圧ピックアップ電圧動作電圧と呼ばれることもあります。
  • ラッチングリレーの場合、リセット状態からセット状態になる電圧をセット電圧といいます。ラッチングリレーとは接点を保持できるリレーであり、コイルに連続通電する必要がなく、コイルにパルスを入力するだけで接点は動作を保持します。

開放電圧

開放電圧

開放電圧とはリレーがオフ状態になるときの電圧です。

この開放電圧にはバラツキがあり、バラツキの下限値開放電圧の規格値となります。

例えば、開放電圧の規格値に「定格電圧の10%以上」と書いてあった場合、リレーに印加する電圧を徐々に下げていくと、定格電圧の10%に達するまでにリレーがオフするということになります。リレーをオフ状態にするには定格電圧の10%以下の電圧を印加する必要があります。

開放電圧は「実装条件や周囲温度により変化する」という特徴があるため、リレーを確実にオフ状態にするために電圧を0Vにすることをお勧めします。

補足

  • 開放電圧の規格値は通常20℃の温度条件で規定されていますが、リレーにより25℃のものもあります。そのため、使用するリレーのカタログ表記値を参照してください。
  • 開放電圧はドロップアウト電圧リリース電圧復帰電圧と呼ばれることもあります。
  • ラッチングリレーの場合、セット状態からリセット状態になる電圧をリセット電圧といいます。

感動電圧と開放電圧の温度特性

感動電圧と開放電圧は周囲温度により変わります。

  • 周囲温度が高くなる→感動電圧と開放電圧も高くなる
  • 周囲温度が低くなる→感動電圧と開放電圧も低くなる

これはリレー内部のコイルの抵抗値が温度により変化するためです(抵抗値は温度が高くなると大きく、温度が低くなると小さくなる)。

基本的にリレーはコイルに流れる電流\(I\)の大きさによって状態が変化します。例えば、ある電流値\(I\)でコイルがオン状態になる場合、オームの法則(\(I=\displaystyle\frac{V}{R}\))より、周囲温度が高くなると抵抗値\(R\)が大きくなるため、感動電圧\(V\)が高くなります。

ある周囲温度\(t{\mathrm{[℃]}}\)に対する感動電圧\(V_{t}{\mathrm{[V]}}\)は以下のように計算で求めることができます。

無極リレーの場合

周囲温度\(20{\mathrm{[℃]}}\)におけるコイルの抵抗値を\(R_{20}{\mathrm{[{\Omega}]}}\)とすると、周囲温度が\(t{\mathrm{[℃]}}\)の時、コイルの抵抗値\(R_{t}{\mathrm{[{\Omega}]}}\)は次式となります。

\begin{eqnarray}
R_{t}&=&R_{20}(1+α(t-20))\\
α&:&銅線の温度係数(0.00393)
\end{eqnarray}

したがって、周囲温度\(20{\mathrm{[℃]}}\)における感動電圧(カタログ表記値)を\(V_{20}{\mathrm{[V]}}\)とすると、周囲温度が\(t{\mathrm{[℃]}}\)の時、感動電圧\(V_{t}{\mathrm{[V]}}\)は次式となります。

\begin{eqnarray}
V_{t}&=&V_{20}(1+α(t-20))
\end{eqnarray}

有極リレーの場合

有極リレーの場合は永久磁石の温度特性が左右します。使用する永久磁石によって異なりますが、一般的には感動電圧は無極リレーの約1/2程度の変化率、開放電圧は無極リレーと同等かやや大きくなる傾向があります。

まとめ

この記事ではリレーの『感動電圧』と『開放電圧』ついて、以下の内容を説明しました。

当記事のまとめ

  • 感動電圧とは
  • 開放電圧とは
  • 感動電圧と開放電圧の温度特性

お読み頂きありがとうございました。

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