【電源トラブルの種類】停電・瞬停・瞬低・サグなどの違いと特徴など

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壁に設置されているコンセント。このコンセントから供給される電源(商用電源)は交流電圧となっています。

しかし、この交流電圧は落雷や台風等の自然災害機器故障回路切換などによって電圧や周波数の変動が生じます。

一番よく知られている電源トラブルは停電です。停電とは、商用電源の供給が完全に停止し、交流電圧が0Vになっている状態を指します。停電以外にも多くの電源トラブルがあり、各電源トラブルには専門用語(例えば、ブラウンアウトサグなど)があります。

この記事では電源トラブルの専門用語とその特徴をまとめました。ではこれから説明していきます。

電源トラブル一覧

【電源トラブルの種類】停電・瞬停・瞬低・サグなど
まず最初に電源トラブルに関する専門用語を上図に示します。コンセントから供給される電源(商用電源)は、正常時はきれいな正弦波ですが、落雷や台風等によって電圧や周波数が変動します(電源トラブル)。この電源トラブルには種類があり、停電瞬停瞬低など様々あります。これから各用語について順番に説明します。

停電

停電(Blackouts)
停電とは商用電源の供給が完全に停止し、交流電圧が0Vになっている状態です。

英語ではブラックアウト(Blackouts)と呼ばれています。停電の原因としては、落雷・火事・台風・地震等の自然災害、飛行機やクレーン車が送電線に接触することによる断線、構内事故,人的操作ミス,計画停電などがあります。また、夏場など電力需要が大幅に増加し、電力会社の供給が不足した場合にも発生する場合があります。

瞬停

瞬停(瞬断or瞬電)
瞬停とは商用電源の供給が一時的(半サイクルから1分間)に停止し、交流電圧が0Vになっている状態です。

瞬時停電を略して、瞬停と呼んでいます。瞬停は瞬断瞬電とも呼ばれています。電力会社の送電線の切り替えや落雷などが原因です。

瞬低・サグ・電圧ディップ

瞬低(サグor電圧ディップ)
瞬低とは商用電源の供給が完全には停止とはならないが、一時的(半サイクルから1分間)に交流電圧が低下した状態です。

瞬時電圧低下を略して、瞬低と呼んでいます。瞬低は電圧ディップ(Voltage Dips)サグ(Sag)とも呼ばれています。

電力会社では、長時間停電させないように送電経路を2回線にしています。例えば、落雷によって1回線が遮断した瞬間にもう1回線に切り換えを行っています。この際に電圧低下が瞬時的(およそ0.07秒~2秒程度)発生します。また、プリンタやエアコンなどの大電力を必要とする機器を起動した時にも発生することがあります。瞬低は最も多い電力トラブルとなっています。

サージ

サージ
サージとは一時的(半サイクルから1分間)に交流電圧が増加した状態です。

雷サージや誘導サージなどが原因です。瞬低とは逆にプリンタやエアコンなどの大電力を必要とする機器を停止させた時に発生することがあります。

ブラウンアウト

ブラウンアウト
ブラウンアウト(Brownout)とは定常的(数分間から数日)に交流電圧が低下した状態です。

瞬低よりも長い時間交流電圧が低下しています。日本の商用電源はAC100Vなので100V以下の電圧が供給されることをいいます。ブラウンアウトは、不足電圧(Under Voltage)電圧低下電圧降下とも呼ばれています。このブラウンアウトは、停電と比較してトラブルの頻度が多く、例えば、プリンタやエアコンなどの突入電流が大きい電気機器の立ち上げ時や節電モードからの復帰時において発生します。入力電力が等しい場合、入力部の交流電圧が低下すると、入力電流が増加します。その結果、電気機器内の半導体素子の電流ストレスが増加します。また過電流保護が働いて電気機器が停止する可能性もあります。

過電圧・電圧上昇

過電圧
過電圧(Over Voltage)とは定常的(数分間から数日)に交流電圧が増加した状態です。

サージよりも長い時間交流電圧が上昇しています。負荷変動や電力会社の障害などが原因です。過電圧は電圧上昇とも呼ばれています。

ノイズ

ノイズ
ノイズ(Noise)とは商用電源から供給される交流電圧の波形が乱されている状態です。

電気機器のスイッチON/OFFや落雷などが原因です。ノイズによってチャタリング現象が生じる可能性があります。例えば、交流電圧のゼロクロス点を検出している場合、ゼロクロス付近でノイズによって交流電圧の波形が乱れると、ミスパルスが発生します。
ノイズによる影響

周波数変調

周波数変調
周波数変調(Frequency Variation)とは交流電圧の周波数が変化している状態です。

発電機が不安定な場合や発電機の負荷が大きい時(例えば起動時など)に発生します。

振動性過渡変動

振動性過渡現象
振動性過渡変動(Transients)とは回路の自己振動周波数によって交流電圧が変化している状態です。

この状態では、非常に短期間(数nsの範囲)で電圧の上昇と減少が繰り返されており、交流電圧の1周期中に定常状態に戻ります。モーター等の誘導性負荷やコンデンサ等の容量性負荷を接続や切り離しなどが原因となっています。この振動性過渡変動の主な解決策は「ゼロクロス切換え」です。「ゼロクロス切換え」とは正弦波の電圧が0Vに達した時に誘導性負荷や容量性負荷を接続または切り離すことです。切り換えタイミングがゼロクロス点から離れるほど大きな振幅となります。

インパルス・スパイク

インパルス
インパルス(Impulse)・スパイク(Spike)とは瞬間的(ns〜us)に交流電圧が上昇している状態です。

サージよりも電圧が大きいため、電気機器等のハードウェアが大きな被害を受け、故障する恐れがあります。落雷による雷サージ、落雷等で停止していた送電の復旧、誘導性負荷の遮断などが原因となっています。

高調波(Harmonics)

高調波
高調波(Harmonics)とは交流電圧の基本正弦波にその整数倍の周波数を持つ正弦波(高調波)が含まれた状態です。

例えば、交流電圧の基本正弦波が60Hzの場合、240Hzは第4次高調波となります(60Hz×4=240Hz)。電気機器内の電源がコンデンサインプット(整流回路+コンデンサ)の場合などに発生します。高調波を抑制するためには力率改善回路(PFC回路)などを使用する必要があります。高調波は高調波歪み(Harmonics Distortion)とも呼ばれています。

電圧変動

電圧変動
電圧変動とは電圧低下や電圧上昇を繰り返す状態です。

この電圧変動によって蛍光灯が点滅することがあります。

DCオフセット

DCオフセット
DCオフセットとは交流電圧に直流電圧がオフセットされている状態です。

直流電源が交流配電システムの代わりに導入されてきており、この直流電源が整流器の故障等によって交流配電システムを通過することが原因となっています。

まとめ

この記事では電源トラブルについて、以下の内容を説明しました。

当記事のまとめ

  • 電源トラブルの一覧
  • 各電源トラブルの種類とその特徴
  • 各電源トラブルの原因

お読み頂きありがとうございました。

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