【特許】【発明の効果】の書き方

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【発明の効果】は特許請求の範囲に記載してある発明の進歩性をアピールする箇所となります。審査官に対して特許に進歩性があることを印象づけるために【発明の効果】は重要となります。

【発明の効果】の書き方

特許の【発明の効果】について
【発明の効果】では、『特許請求の範囲』で最も広い請求項(独立請求項)に記載している発明の構成において、なぜその構成で効果が得られるのかを分かりやすく必要最低限に説明します。従来特許と比較して、有利な効果が分かるように書くことがポイントとなります。

【発明の効果】の前に書く【課題を解決するための手段】では、独立請求項の内容をそのまま記載していることが多いため、言い換えれば、【課題を解決するための手段】に記載している発明の構成によって得られる効果を説明することになります。

【発明の効果】のポイント

  • 【発明を実施するための形態】で記載してある実施形態でのみ達成することができる効果は発明の効果に書いてはいけません。
  • 『独立請求項』に記載している構成で必ず達成できる効果のみ書きます。必ずしも達成することができない効果を書いてはいけません。そのような効果を書いた場合、その効果を達成するための構成要件が請求項に欠けていると判断され、その構成を追加する限定を要求される場合があります。
  • 『従属請求項』に記載された構成によってのみ達成できる効果がある場合、「本発明の~~によれば、・・・することができる。」のような表現は用いず、「なお、○○したときは△△の効果がある。」のように、「なお、」を用いて記載します。そうしないと、『従属請求項』に記載している構成が、発明の必須要件であると認定される場合があります。

【発明の効果】の例文

  • 上記のように構成された本発明の□□装置(□□方法)によれば、・・・ので、・・・することができる。
  • このように、「・・・ので、」などで理由を付けて効果を書くのが望ましいです。

【発明が解決しようとする課題】との関係

【発明が解決しようとする課題】には発明の目的が記載されています。この目的には、『本発明は、(発明の効果を要約した修飾語を記載)○○装置(○○方法)を提供することを目的とする。』のように発明の効果で記載した内容を要約した修飾語を記載します。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
【特許】【発明が解決しようとする課題】の書き方

その他のポイント

【発明の効果】は必要最低限の効果のみ記載

【発明の効果】は『特許請求の範囲』に記載した発明の範囲(権利範囲)を限定する要因となります。従来特許からの進歩性をアピールしようとして沢山効果を記載すると、権利範囲を狭めることになります。そのため、【発明の効果】は『特許請求の範囲』に記載されている発明によって必ず実現することができる効果のみ書きます。その他のアピールしたい進歩性は【発明を実施するための形態】の箇所に記載します。

例えば、『特許請求の範囲』の発明の構成において、A,B,およびCからなる○○装置と書いてあるとします。そこで【発明の効果】にDがなければ実現することができない効果を記載すると、『特許請求の範囲』にDが記載されていたのと同様の限定解釈されてしまいます。

【発明の効果】は必ずしも書く必要はない

【発明の効果】は進歩性をアピールする上では重要ですが、必ずしも記載する必要はありません。先程説明したように、【発明の効果】を書くことによって、発明の構成が限定的に解釈され、権利範囲を狭める場合があります。そのため、権利を広くするためには発明の効果は書かない方が良いということになります。【発明の効果】は進歩性のアピールと権利範囲の両方をバランスよく考えることが重要です。

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