【ノッチフィルタとは】設計方法や用途について

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この記事では『ノッチフィルタ』について

  • ノッチフィルタとは?
  • ノッチフィルタの用途
  • ノッチフィルタのシミュレーション結果

などを図を用いて分かりやすく説明しています。

ノッチフィルタはバンドストップフィルタの一種

バンドストップフィルタ
ノッチフィルタ(notch filter)はバンドストップフィルタの一種なので、最初にバンドストップフィルタ(band-stop filter)を理解する必要があります。

バンドストップフィルタとは、ある範囲の周波数の信号のみ減衰させ、それ以外の周波数の信号を通すフィルタ回路です。バンドパスフィルターと逆の役割を持つのが特徴です。

ちなみにバンドストップフィルタは帯域除去フィルタ(band-rejection filter)、バンドリミットフィルタ、Tノッチフィルタ、バンドエリミネーションフィルタ(BEF:band elimination filter)と様々な言い方があるので注意しましょう。

ノッチフィルタとは?

ノッチフィルタとは
ノッチフィルタとは、阻止する周波数の範囲が狭い(阻止帯域が狭い、Q値が高いと言われることもあります)バンドストップフィルタのことを指します。阻止する周波数のことをノッチ周波数と呼びます。

ノッチフィルタの回路図と設計方法

ノッチフィルタの回路図と設計方法
ノッチフィルタの回路図は上図のようになっています。特徴はグラウンドにつながる素子が抵抗の場合は1/2Rになり、コンデンサの場合は2Cとなることです。
この時、ノッチ周波数は

$$ f_N= \frac{1}{2{\pi}CR}$$
で計算することができます。

ノッチフィルタの用途

音声信号のハム音( “ブーン”という雑音のこと。学校などで先生がマイクで話すときに良く聞こえましたね。交流電源の周波数と同じです)を除去する用途などにノッチフィルタが使用されます。交流電源の周波数は東日本やヨーロッパでは50Hzなので、その50Hzを除去するようにノッチフィルタが設計されます。

シミュレーション結果

LTspiceでシミュレーションをしてみました。今回50Hzの周波数を除去するように設計しています。
AC解析の場合
シミュレーション結果AC解析
50Hzを中心としてゲインが下がることが確認できます。

Trans解析の場合
シミュレーション結果Tran解析
入力電圧を周波数50Hzで振幅が10Vとした時の出力電圧を観測してみました。赤色の波形が出力電圧で青色の波形が入力電圧です。50Hzの周波数をカットしているので、出力電圧が低下していることが確認できます。

出力に抵抗を接続した時

出力に抵抗を入れ、抵抗値を0.1Ω、1kΩ、10kΩ、100kΩとしたの時のシミュレーション結果です。このように出力に抵抗を入れてもノッチ周波数はほとんど変化しないことが確認できます。
AC解析の場合
シミュレーション結果AC解析2
Trans解析の場合
シミュレーション結果Tran解析2

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