この記事では『ヒューズ』について
- ヒューズとは
- ヒューズが飛ぶとは?なぜ「切れる」ではなく「飛ぶ」というの?
- ヒューズの構造・形状
- ヒューズエレメントが溶断する原理
- ヒューズの回路記号・シンボル
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
ヒューズとは
ヒューズは電気機器の故障等で過電流が流れた時に、自ら溶断して電流を流さなくすることで、電気機器を保護する部品です。
もう少し詳しく説明すると、電気機器の内部には電気回路(電源回路)が搭載されています。また、電気回路は様々な部品(抵抗、コンデンサ、半導体素子)で構成されています。ヒューズは一般的には電気回路の上流部(電源入力部)に接続されており、下流で発生した故障(半導体素子のショートなど)によって過電流が流れると、自ら溶断して、回路を開き(遮断し)、電流を流さなくすることで、電気機器を保護しています。
ヒューズで過電流が流れるのを防ぐことで、電気機器の発煙や発火といった火災事故を防止することができるのです。
ヒューズが飛ぶとは?なぜ「切れる」ではなく「飛ぶ」というの?
ヒューズが溶断することを「ヒューズが飛ぶ」や「ヒューズが切れる」と言うことがあります。
ではなぜ「ヒューズが飛ぶ」と言うことがあるのでしょうか。
昔はほとんどが裸ヒューズであり、裸ヒューズは過電流で溶断すると、火花となって、四方に飛び散ります。この飛び散る様子から「ヒューズが飛ぶ」という言い方になったと言われています。
ヒューズの構造・形状
ヒューズには上図に示すように色々な種類があり、構造・形状が個々で異なります。
有名なのは管型ヒューズです。
管型ヒューズはガラス管またはセラミック管の内部にヒューズエレメントを通し、外部接続するために、両端に口金(キャップ)を取り付けた構造になっています。ヒューズエレメントが過電流により溶断する部分です。
また、管型ヒューズには「リード線が付いていないカートリッジタイプ」、「リード線付きでプリント基板に直接はんだ付けするタイプ」、「ボルトやナットを用いて直接取り付けるタイプ」などがあります。「カートリッジタイプ」の場合には「ヒューズホルダー」が必要になります。
その他に「端子挿入型ヒューズ」や「表面実装型ヒューズ」や「警報用ヒューズ」などがあります。
- 端子挿入型ヒューズ
- 高耐熱の外装樹脂に接続用の端子が設けられているヒューズです。実装面積を小さくでき、自動実装も可能となっています。
- 表面実装型ヒューズ
- 主に2次側の回路保護を目的としたヒューズです。
- 警報用ヒューズ
- ヒューズが溶断すると、内部の警報用接点を接続します。この接点を利用することで、ブザーやランプのオンなどの制御ができます。
ヒューズエレメントが溶断する原理
ヒューズエレメントは融点の低い金属(鉛、スズ、ビスマス、カドミウム、銀、銅など)を組み合わせた合金であり、その配合によって、融点を70℃~100℃にしています。
ヒューズエレメントに電流が流れると、ヒューズエレメントの抵抗Rと流れる電流Iによるジュール熱(I2R)が発生し、ヒューズエレメントの温度が上昇します。
この上昇した温度がヒューズエレメントの融点を超えると、ヒューズエレメントが溶断し、電流を遮断してます。
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ヒューズエレメントの構造や材料によってヒューズの溶断特性が決まります。『ヒューズの溶断特性』については下記の記事で詳しく説明しています。興味のある方は下記のリンクからぜひチェックをしてみてください。 続きを見る【ヒューズ】遮断電流・溶断電流・定格電流・定常電流の違いについて
ヒューズの回路記号・シンボル
ヒューズの回路記号・シンボルは上図に示すように、規格に応じて様々な回路図記号で表現されます。参考書等でよく見かけるヒューズの回路記号は波線のもの(上図の一番左)で記載されていることが多いです。
まとめ
この記事では『ヒューズ』について、以下の内容を説明しました。
- ヒューズとは
- ヒューズが飛ぶとは?なぜ「切れる」ではなく「飛ぶ」というの?
- ヒューズの構造・形状
- ヒューズエレメントが溶断する原理
- ヒューズの回路記号・シンボル
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