【導電床・導電性マット】使い方・抵抗値・構造について

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目的

①床の帯電防止のため
→床がカーペットなど絶縁体のものだと床自体が帯電します。

②作業者等が静電気帯電した場合、たまった電荷を床から除電するため。
→人体の対策(静電靴等)を行っても、床から電荷を逃がすことができなければ、人体が帯電していまいます。

構造

構造
構造はこのように、2層以上の構造になっていることが多く、高抵抗部(緑色)と低抵抗部(黒色)で構成されています。高抵抗部でたまった静電気は低抵抗部へ流れます。その後、床やEBP(Ground Bonding Points:グラウンド接続点)に静電気を流すことで除電をしています。

導電床と導電性マットの違い

フロア全体を静電気対策する場合には導電床(導電塗装が塗ってある床)。部分的もしくは追加で静電気対策をする場合には導電性マットを使用します。どちらも抵抗値の規格を満足していればよいので、導電床になっている場合、追加で導電性マットを使用する必要はありません。また、導電性塗料がテーブル表面に塗ってある場合は、導電性マットを使用する必要はありません。

清掃方法

導電性マットを購入すると、清掃方法が書いてあるものがあります。その場合には指定されている方法に従いましょう。通常は、ごみやほこりはほうきや掃除機で清掃します。ひどい汚れにはモップや雑巾で水拭きを行います。床の清掃に専用品以外のワックスの使用は厳禁です。シリコンやパラフィンの蓄積で床面の導電効果が落ちる可能性があります。専用品以外のクリーナーも厳禁です。導電性マットを痛める可能性があります。もし、専用品以外を使う場合は、抵抗値が増加しないことや、痛める可能性がないことを確認してから使用しましょう。

使い方

使い方
・導電性マットは点ではなく面で接地をすること。
・導電性マットを重ねて使用しないこと。
・単層構造の導電性マットの場合、直列で接続することはだめ。抵抗値が増加して除電効果が落ちます。・2層構造の導電性マットでも、直列接続の場合、接地経路がわからなくなるため、推奨はしません
・バッテリー、またバッテリー等を搭載した基板は直接導電性マットの上に置かないこと。リークやショートの可能性があります。
・導電性マット表面の接地点は金属の露出をしないこと。絶縁材料のカバーを付けましょう。人体が触れた場合、大地までの抵抗値が下がるため、感電する危険性があります。また帯電したデバイスが触れた場合、放電を起こす危険性があります。
使用上の注意
・EBPとの接続は機械的で確実な方法ですること。クリップなどで接続してはいけません。カシメ、ハトメ、スナップ、金属板でアースを取りましょう。
・導電性マットの場合は2層以上の層があるものを使用すること。
・2層以上のマットは高抵抗部と低抵抗部があるため、接地点の金属板、金具などはマットの低抵抗部分に触れるようにすること。また接続が切れた場合、電荷を逃がすことができなくなります。

導電床・導電性マットの抵抗値について

■最大値について
RCJS-5-1:2016においては、EPAグラウンド抵抗、またはグラウンド可能接続点への抵抗は1.0×10^9
以下という規定がある。これは帯電防止の性能を基準にして設定している値です。人体から接地までの合成抵抗(漏洩抵抗)が1.0×10^9だと、人体が5000V程度まで帯電しても1秒以内に100V以下にすることができます。
除電を目的とした静電気対策品では、除電時間を考慮して、1.0×10^8以下である方が良いです。抵抗値が高いほど、除電時間が長くなり、帯電防止の性能が低下します。そのため、特に重要な静電気対策品では、抵抗の上限値を低く設定しています。例えば、人体帯電電位を100V以下に抑えるためには、抵抗の上限値は3.5×10^7以下が良いです。

■最小値について
最大値だけでなく、最小値もあります。これは人体の安全上のためです。除電を目的とした静電気対策品において、人体の除電をする用品は、人体の安全上の理由から抵抗値の最小値は7.5×10^5以上である必要があります。

床がコンクリートの場合は?

コンクリート床の漏洩抵抗値は乾燥時10^5~10^10Ωです。この抵抗値は温度によって変わるため、年間を通して常に同じ抵抗値ではありません。コンクリート床の抵抗値を取得する場合は長期にわたってデータを取りしましょう。
コンクリート床の問題は抵抗値の最小値にあります。最小値が10^5Ωだと、人体の安全性を確保できる7.5×10^5Ωより低いため、危険です。この場合は導電性マットを敷きましょう。ただし、感電するような電力源、また追加で安全対策を行う等を行って安全を確保した場合は導電性マットを引く必要はありません。

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