【湿度】冬に乾燥する理由を徹底解説

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冬場、外に出ると寒いし、空気は乾燥して肌や唇は乾燥してカサカサして粉が吹いたり、喉は痛くなったり、困りますよね。

そもそもなぜ、冬になると乾燥するのかをご存知でしょうか?

日本海側は太平洋側より乾燥しない?
冬は乾燥しているのに、洗濯物が乾きにくいのはなぜ?
洗濯物は乾きにくいけど、肌は乾燥しやすいのはなぜ?

この理由を理系目線で徹底的に解説します。

冬の空気が乾燥している原因

冬に乾燥する理由は2つあります。

1.日本の地形が影響し、太平洋側では絶対湿度が低下しているから

日本の地形が影響し、太平洋側では絶対湿度が低下

冬になると、西高東低の気圧配置(日本から見て西に高気圧、東に低気圧がある気圧配置、冬型の気圧配置言われることが多い)がよく見られます。空気は気圧の高いところから低いところに流れる性質があるため、シベリアの方から冷たい風が日本に向けて流れます。

シベリア大陸から流れる風は、海上で水蒸気を蓄え、冷たく湿った空気になります。その冷たく湿った空気が日本海側に来ます。そのため、日本海側では多くの雪を降らせます。雪が降ることで水分が抜け、乾燥した空気になります。その空気が山を越えて、太平洋側に来ます。すなわち、冬場に乾燥するのは、太平洋側のみです。日本海側では雪が降るため、湿度が高くなります。

湿度には相対湿度と絶対湿度がありますが、この場合は両方の湿度が低下しています。例えば、日本海側、太平洋側が共に10℃(10℃のときの飽和水蒸気量は9.4g/m3)とし、日本海側の水蒸気量が8.0g/m3、太平洋側の水蒸気量が4.0g/m3とします。そのため、日本海側の絶対湿度は8.0g/m3で、相対湿度85%は。太平洋側の絶対湿度は4.0g/m3で、相対湿度は42.5%となり、両方の湿度が低下しています。

2.暖房で部屋を暖めることで相対湿度が低下するから

暖房で部屋を暖めることで相対湿度が低下するから

空気中に含むことができる最大の水蒸気量(飽和水蒸気量)は温度によって変わります。温度が高いと多くの水分を含むことができますが、温度が低いと少しの水分しか含むことができません。

暖房をつけると、温度が低い状態から温度が高くなります。温度が高くなっても、空気中に含まれる水分量は変化しません。しかし、温度が高くなることで、飽和水蒸気量が増加します。その結果、相対湿度が低下し、「乾燥した!」と感じるようになります。

一例を使って、部屋を暖めることで湿度が低下する理由を説明します。外気温10℃で相対湿度50%の空気を暖房で20℃に温めるときを考えてみましょう。外気温10℃の時の飽和水蒸気量は9.4 g/m3、相対湿度が50%なので、空気中には水蒸気が4.7 g/m3存在します。この状態から暖房で20℃に温めた場合、室温20℃の時の飽和水蒸気量は17.3 g/m3です。そのため、相対湿度は27%となって、湿度が低下します。

【補足】エアコンが部屋の水分を奪うことで絶対湿度が低下するから

エアコンが部屋の水分を奪うことで絶対湿度が低下

 先ほど、暖房を使っても室内を温めても絶対湿度は低下しないと言いましたが、エアコンで冷房を使う場合は絶対湿度が低下します。絶対湿度は相対湿度と異なり、温度によって変化することがなく、空気中に実際含まれている水分量で決まります。

 夏場の暑い室内をエアコンの冷房で冷やす場合、エアコンは部屋の空気を機内に取り入れ、冷却装置で冷やします。冷やすことで、飽和水蒸気量が低下します。部屋の空気に含まれる水分量に対して、飽和水蒸気量が低くなると、冷却装置に水滴がつきます。この水はドレンパンという結露水の受け皿に落ち、ドレンホースを通って外に排水されます。このように、部屋の空気中に含まれる水分が結露水となって外に排出されてしまうのです。

冬の洗濯物が乾きにくい理由

冬の洗濯物が乾きにくい理由

イメージ的には、湿度の低い冬の方が湿度の高い夏よりも乾きやすいと感じますよね。実際、洗濯物を外で乾かすと、冬の方が洗濯物の乾きが遅いのです。この理由を説明します。

乾きやすさは空気中に存在可能な水蒸気量(飽和水蒸気量)までどれくらい余裕があるかで決まります。

「飽和水蒸気量」から「洗濯物を干す空気に存在している水蒸気量(絶対湿度)」を引いたものが、「洗濯物から飛ばすことのできる水分量」になります。すなわち、冬は気温が低いので、飽和水蒸気量が夏に比べて少なく乾きにくくなります。

具体的な一例で考えてみましょう。50%で、夏の気温が30℃、冬の気温が10℃とし、夏と冬の湿度を共に50%とします。
夏の場合、気温が30℃の時の飽和水蒸気量は30 g/m3、相対湿度が50%なので、空気中に存在している水分量は15 g/m3、その結果、洗濯物から抜けていく水分の最大量は15 g/m3となります。
一方、冬の場合、気温が10℃の時の飽和水蒸気量は9.4 g/m3、相対湿度が50%なので、空気中に存在している水分量は4.7 g/m3、その結果、洗濯物から抜けていく水分の最大量は4.7 g/m3となります。

このように、同じ湿度の場合、冬場の方が洗濯物が乾きにくくなるのです。

洗濯物をすばやく乾かすためには、温度を高くして、湿度を低くする必要があります。

一番乾きやすいのは、冬に暖房が入った部屋で干す場合です。冬は絶対湿度が低下している状態です。この状態で暖房を入れると、温度が上がるため、飽和水蒸気量が増えます。絶対湿度は温度の変化を受けないため一定です。そのため、かなり乾きやすくなる条件になるのです。

冬に肌が乾燥する理由

冬に肌が乾燥する理由

ここで1つ疑問が湧きます。冬の洗濯物は乾きにくい!しかし冬は肌が乾燥する。矛盾していないか!?
ということです。これは表面の温度が原因で生じます。

人間は冬でも夏でも体温(体の表面の温度)はほぼ一定です。そのため、体の表面に接している空気(実際に蒸発が起こる場所)は、夏でも冬でも気温は一定と考えると、単純に、空気中に含んでいる水分量(絶対湿度)が少ない冬のほうが乾燥しやすいです。つまり肌の表面から水分が蒸発してしまう量は相対湿度ではなく、空気中の水分の量(絶対湿度)と関係しているということです。暖房を使ったら湿度は下がりますが、皮膚の表面から水分が蒸発する量はあまり増えないと考えられます。

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