ダイオードの『逆電流(逆方向電流)IR』について!

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この記事では『ダイオードの逆電流(逆方向電流)』について図を用いて詳しく説明してます。

ダイオードの『逆電流(逆方向電流)IR

ダイオードの『逆電流(逆方向電流)IR』

逆電流(逆方向電流)とはダイオードに逆電圧\(V_R\)(カソードKからアノードAの向きに印加する電圧のこと)を印加した時に流れてしまう微小電流のことです。記号は\(I_R\)、単位は\({\mathrm{[A]}}\)(←アンペア)となります。逆電流は逆方向電流リーク電流とも呼ばれています。なお、逆電流は英語で『Reverse Current』と書くため、逆電流の記号が\(I_R\)となります。

この逆電流\(I_R\)は小さいのが理想ですが、ショットキーダイオードという種類のダイオードでは大きくなります。ショットキーバリアダイオードやその他のダイオードの特徴については下記の記事で詳しく説明していますのでご参考にしてください。

では実際に、データシートを見て確認してみましょう。

下図に一般整流ダイオードの『1N4002』ショットキーバリアダイオードの『1S10』のデータシートを示しています。

データシート上でのダイオードの『逆電流(逆方向電流)IR』の値

逆電流は『Maximum DC Reverse Current at Rated DC Blocking Voltage』の箇所に記載されており、データシート上では、指定温度でダイオードに指定の逆電圧\(V_R\)を印加した時に流れる逆電流\(I_R\)が記載されています。

この指定条件はデータシートにより異なりますが、温度は『接合温度\(T_j=25{\mathrm{℃}}\)』、電圧は『逆電圧\(V_R\)の定格値』で指定されていることが多いです。

では逆電流\(I_R\)の値を見てみましょう。

一般整流ダイオードの『1N4002』

温度条件は『接合温度\(T_j=25{\mathrm{℃}}\)』と『接合温度\(T_j=100{\mathrm{℃}}\)』となります。

電圧条件は『Rated DC Blocking Voltage』の箇所なので、『\(V_R=V_{DC}=100{\mathrm{V}}\)』となります。

『接合温度\(T_j=25{\mathrm{℃}}\)』の時は逆電流\(I_R\)の最大値は\(5.0{\mathrm{{\mu}A}}\)、『接合温度\(T_j=100{\mathrm{℃}}\)』の時は逆電流\(I_R\)の最大値は\(500{\mathrm{{\mu}A}}\)となります。

ショットキーバリアダイオードの『1S10』

温度条件は『接合温度\(T_j=25{\mathrm{℃}}\)』と『接合温度\(T_j=100{\mathrm{℃}}\)』となります。

電圧条件は『Rated DC Blocking Voltage』の箇所なので、『\(V_R=V_{DC}=100V\)』となります。

『接合温度\(T_j=25{\mathrm{℃}}\)』の時は逆電流\(I_R\)の最大値は\(0.1{\mathrm{mA}}\)、『接合温度\(T_j=100{\mathrm{℃}}\)』の時は逆電流\(I_R\)の最大値は\(10{\mathrm{mA}}\)となります。

すなわち、『接合温度\(T_j=25{\mathrm{℃}}\)』の時、一般整流ダイオードの『1N4002』一般整流ダイオードの『1N4002』は逆電流\(I_R\)の最大値が\(5.0{\mathrm{{\mu}A}}\)であるのに対して、ショットキーバリアダイオードの『1S10』では逆電流\(I_R\)の最大値が\(0.1{\mathrm{mA}}\)となり、ショットキーバリアダイオードは一般整流ダイオードの約20倍も逆電流\(I_R\)が流れてしまうことが分かります。

補足

  • データシート上では逆電流\(I_R\)ではなく、ピーク電流\(I_{RM}\)という名で記載されていることもあります。
  • 英語のデータシート上で逆電流\(I_R\)の箇所は『Maximum DC Reverse Current』、『Reverse Current』、『Reverse Leakage Current』、『Peak Reverse Current』などと記載されています。
  • 温度の指定条件は接合温度\(T_j\)ではなく、周囲温度\(T_a\)ケース温度\(T_c\)の場合もあります。

ダイオードの『逆電流(逆方向電流)IR』の温度特性

ダイオードの『逆電流(逆方向電流)IR』の温度特性

逆電流\(I_R\)は温度が高くなるほど大きくなります。

先ほど示した一般整流ダイオードの『1N4002』のデータシートを見ると、

  • 『接合温度\(T_j=25{\mathrm{℃}}\)』の時:逆電流\(I_R\)の最大値は\(5.0{\mathrm{{\mu}A}}\)
  • 『接合温度\(T_j=100{\mathrm{℃}}\)』の時:逆電流\(I_R\)の最大値は\(500{\mathrm{{\mu}A}}\)

であるため、高温ほど逆電流\(I_R\)が大きくなることは、データシート上からも確認できます。

また、データシートには横軸が逆電圧\(V_R\)、縦軸が逆電流\(I_R\)の特性が記載されています。上図に一般整流ダイオードの『1N4002』の逆電流\(I_R\)の特性図を示しています。

上図から分かるように温度が高くなるほど、逆電流\(I_R\)が大きくなることが分かります。また、逆電圧\(V_R\)が大きくなるほど逆電流\(I_R\)が大きくなることも分かります。

本記事のまとめ

この記事では『ダイオードの逆電流(逆方向電流)』について、以下の内容を説明しました。

当記事のまとめ

  • ダイオードの逆電流(逆方向電流)とは
  • データシート上での逆電流の最大値

お読み頂きありがとうございました。

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