この記事では『セラミックコンデンサの経時変化(エージング)』について
- セラミックコンデンサの経時変化(エージング)とは
- セラミックコンデンサの経時変化(エージング)と熱処理について
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
セラミックコンデンサの経時変化(エージング)
高誘電率系のセラミックコンデンサ(X5R特性など)の静電容量は、時間の経過とともに低下する性質を持っています。この性質のことを「静電容量の経時変化(エージング)」といいます。
上図にセラミックコンデンサの静電容量の経時変化の特性例を示しています。
経時変化を表す特性は、一般的には縦軸が「初期値に対する静電容量変化率[%]」で横軸が「経過時間[h]」となっており、横軸は対数軸となっています。また、熱処理後24時間経過した時点を0[%]とした時の特性グラフが示されています。
横軸の「経過時間[h]」を対数軸とした時、静電容量はほぼ直線的に低下します。そのため、熱処理してから時間が経過するにつれて静電容量の低下が小さくなります。例えば、上図の場合、熱処理してから1ヵ月(720[h])で約8[%]も静電容量が低下していますが、熱処理してから1年間(約8200[h])では、約13[%]の静電容量の低下となっています。
補足
- 温度補償用のセラミックコンデンサは使用している材料が高誘電率系と異なるため、経時変化(エージング)がありません。
- 高誘電率系のセラミックコンデンサは経時変化するため、時定数回路などに使用する場合には、静電容量の低下を考慮した上で使用する必要があります。
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セラミックコンデンサの経時変化(エージング)と熱処理
経時変化(エージング)により静電容量が低下したセラミックコンデンサは、熱処理でキュリー温度(約125℃)以上に加熱されると、静電容量が回復します。 そして、静電容量が回復したセラミックコンデンサは、キュリー温度以下に冷えると、再び経時変化(エージング)が始まります。
補足
- フローやリフロー工程のはんだ付けでも、セラミックコンデンサはキュリー温度(約125℃)以上に加熱されるため、静電容量が回復します。
まとめ
この記事では『セラミックコンデンサの経時変化(エージング)』について、以下の内容を説明しました。
- セラミックコンデンサの経時変化(エージング)とは
- セラミックコンデンサの経時変化(エージング)と熱処理について
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