コンデンサには電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、セラミックコンデンサなど様々な種類があります。
さらに細かく分類すると、電解コンデンサでは、アルミ電解コンデンサやタンタル電解コンデンサなど、フィルムコンデンサではPETフィルムコンデンサやPPフィルムコンデンサなど存在します。
このように細かく分類すると、コンデンサの種類はかなり多くあるのです。
そのためこの記事では、種類が豊富なコンデンサを分類してまとめてみました。これから詳しく説明します。
コンデンサの有名な種類
まず、コンデンサの有名な種類について説明します。コンデンサの中で有名なものは電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、セラミックコンデンサ、スーパーキャパシタとなります。この4つの特徴と長所&短所をまとめた表を以下に示します。
大雑把な特徴はこの表を見ればわかると思います。ではこれから、この記事の本題であるコンデンサの種類と分類についてかなり詳しく説明していきます。
コンデンサの分類
以下にコンデンサの分類図を示します。これから各分類について詳しく説明していきます。
固定コンデンサと可変コンデンサ
まず、コンデンサは容量が固定の固定コンデンサと容量が可変の可変コンデンサに分類されます。
後ほど詳しく説明しますが、「電解コンデンサ」や「フィルムコンデンサ」などは固定コンデンサとなります。
一方、可変コンデンサには印可電圧によって静電容量を変えるもの(電圧調整コンデンサ)やドライバ等を用いて機械的に静電容量を変えるもの(トリマーコンデンサなど)があります。可変コンデンサの種類をまとめると以下のようになります。
詳しい説明は以下の記事に記載していますので参考にしてください。 続きを見る
可変コンデンサの『種類』について!バリコンってなに?
有極性コンデンサと無極性コンデンサ
固定コンデンサは大きく、有極性コンデンサと無極性コンデンサに分類されます。
コンデンサには2つの端子があります。有極性コンデンサは2つの端子のうちプラス側が決まっているコンデンサです。電解コンデンサ、スーパーキャパシタなどが有極性コンデンサとなります。有極性コンデンサはプラスとマイナスを間違えて接続すると、コンデンサが故障します。
一方、無極性コンデンサは2つの端子のうち、プラス側とマイナス側が決まっていないコンデンサです。セラミックコンデンサ、フィルムコンデンサなどが無極性コンデンサとなります。無極性コンデンサはどちらをプラス側にしてもコンデンサは故障しません。そのため、交流回路で使用することができます。
では次に、以下の各種類のコンデンサについて詳しく説明します。
電解コンデンサ
電解コンデンサは、酸化皮膜を誘電体に使用しているコンデンサです。
電解質には液体である液体電解質と固体である固体電解質があります。液体電解質の電解コンデンサで一番有名なのが湿式アルミ電解コンデンサです。一般的に電解コンデンサと言えばこのタイプを指します。電解コンデンサの種類をまとめると以下のようになります。
詳しい説明は以下の記事に記載していますので参考にしてください。 続きを見る
電解コンデンサの『種類』について!アルミ、タンタル、ニオブの違いなど
電解コンデンサの主な特徴
- 耐圧と容量の品種が豊富
- 安価
- 寿命がある
- サイズが大きい
- 極性がある
電解コンデンサの主な用途
- 平滑用
- デカップリング用
スーパーキャパシタ
スーパーキャパシタの中で一番有名で一般的なのが電気二重層キャパシタ(EDLC:Electrical Double Layer Capacitor)です。電気二重層キャパシタは、誘電体を持っていないコンデンサです。固体(活性炭電極)と液体(電解液)の界面に形成される電気二重層(Electrical Double Layer)を誘電体の代わりとして使用しています。
スーパーキャパシタの種類をまとめると以下のようになります。
詳しい説明は以下の記事に記載していますので参考にしてください。 続きを見る
スーパーキャパシタの『種類』について!EDLCとは?
スーパーキャパシタの主な特徴
- 容量が桁外れに大きい
- 充放電回数に制限がない
- サイズが大きい
- 極性がある
電解コンデンサの主な用途
- ICメモリのデータ保護用
- バックアップ用電源
- モーター起動時の電力のアシスト
- 供給用電源
セラミックコンデンサ
セラミックコンデンサは、セラミックを誘電体に使用しているコンデンサです。セラミックコンデンサの歴史は古く、フィルムコンデンサがない時からごく普通に使用されていました。
セラミックコンデンサは誘電体に使用するセラミックの種類によって、低誘電率系(種類1、Class I)、高誘電率系(種類2、Class II)、半導体系(種類3、Class III)に分類されます。回路上では低誘電率系と高誘電率系を主に用います。
セラミックコンデンサの種類をまとめると以下のようになります。
詳しい説明は以下の記事に記載していますので参考にしてください。 続きを見る
セラミックコンデンサの種類と用途について
セラミックコンデンサの主な特徴
- 極性がない
- 高周波特性が良い(ESRが低い)
- 高耐熱
- 長寿命
- 印可電圧によって容量が変化する特性(DCバイアス特性)を持っている。DCバイアス特性は誘電率が大きいものほど顕著に現れる。
- 温度によって静電容量が大きく変化する
- 高周波による振動で音鳴りが発生する
- 温度/機械的衝撃によりクラック・割れ・欠けが発生しやすい
セラミックコンデンサの主な用途
- 平滑用
- カップリング用
- デカップリング用
- 高周波回路
フィルムコンデンサ
フィルムコンデンサは、プラスチックフィルムを誘電体に使用しているコンデンサです。セラミックコンデンサと比較すると、形状が大きく高価なので、セラミックコンデンサではカバーできない耐電圧や容量の箇所や、高性能/高精度用途でフィルムコンデンサを使用します。円柱形・立方体のような外形をしています。
フィルムコンデンサの種類をまとめると以下のようになります。
詳しい説明は以下の記事に記載していますので参考にしてください。 続きを見る
【フィルムコンデンサ】電極と誘電体による『分類』と『種類』のまとめ
フィルムコンデンサの主な特徴
- 極性がない
- 高周波特性が良い(ESRが低い)
- 誘電損失が低い
- 絶縁性能が良い
- 温度特性が良い(温度によって静電容量の変化が小さい)
- 静電容量の高精度対応可能
- 長寿命
- 形状が大きい
- 高価
フィルムコンデンサの主な用途
- 電源ノイズの吸収用(ノイズフィルタ)
- 放電回路用
- 共振用
その他のコンデンサ
マイカコンデンサ
マイカコンデンサは、天然絶縁体である雲母(うんも)を誘電体に使用しているコンデンサです。見た目が特殊でキャラメルのような色をしているものが多いです。天然材料を使用しているため、コストが高いのが大きな欠点です。ただ、精度が良く、高寿命、高安定なので、測定器など限られた分野で使用されています。
マイカコンデンサの主な特徴
- 容量温度係数が小さく一定で容量の精度も良い
- 静電正接・誘電体損失が非常に小さい
- 高周波特性が良い
- 鉱物を誘電体に使用しているため、高温でも使用可能
- 厚さを薄くできないため、大きい
- 高価
空気コンデンサ
空気コンデンサは、空気を誘電体に使用しているコンデンサです(絶縁状態にある2つの導体が向き合えば、コンデンサが形成されます)。
エアギャップで分離された2つの導電性プレートで構成されています。空気コンデンサには容量が固定の固定空気コンデンサと容量が可変の可変空気コンデンサがあります。固定空気コンデンサはほとんど使用されません。可変空気コンデンサは、構造が単純なため、より頻繁に使用されます。可変空気コンデンサはエアバリコン(Airvaricon)とも呼ばれています。
ガラスコンデンサ
ガラスコンデンサは、高周波回路において性能が必要な場合に使用されます。ガラスコンデンサの容量値は比較的低くなります。容量の範囲は「0.数pF~数1000pF」となります。ガラスコンデンサは、他の種類のコンデンサと比較するとコストが高くなります。
無極性電解コンデン(BPコンデンサ,NPコンデンサ)
陽極側、陰極側の双方に酸化皮膜を形成したコンデンサです。両極性コンデンサには電解コンデンサの表面にB.P.またはN.P.の表示があります。なお、B.P.は両極性を表すBi-Polarizedの頭文字、N.P.は無極性を表すNon-Polarizedの頭文字となっています。
オイルコンデンサ
空気コンデンサは、絶縁油を含浸した紙を誘電体に使用しているコンデンサです。真空管を使用したオーディオアンプやギターアンプ等で使用されています。