この記事ではバイポーラトランジスタのIC-VBE特性について詳しく説明します。
バイポーラトランジスタの『IC-VBE特性』とは?
IC-VBE特性とは、エミッタ接地トランジスタの静特性で、コレクタ電流ICとベース-エミッタ間電圧VBEの関係を表した特性です。
MOSFETにおけるドレイン電流IDとゲートソース間電圧VGSの関係を表した『ID-VGS特性』のバイポーラトランジスタverです。
『IC-VBE特性』はベース電流IBとベース-エミッタ間電圧VBEの関係を表した『VBE-IB特性』と同じ形であり、コレクタ電流ICはベース電流IBのhFE倍となります。
補足
\begin{eqnarray}
I_{C}&=&I_{S}\left[\exp{\left(\frac{V_{BE}}{V_{T}}\right)}-1\right]\\
&=& I_{S}\left[\exp{\left(\frac{qV_{BE}}{kT} \right)}-1\right]\\
\end{eqnarray}ここで、ISはトランジスタの品種によって決まる飽和電流[A]、qは電子の電荷[C]、kはボルツマン定数、Tは温度[K]、VBEはベースエミッタ間電圧、VT(=q/kT)は半導体の物性で求まり27℃(300K)において約26mVとなります。
『IC-VBE特性』の温度特性
『IC-VBE特性』は温度によって変わります。データシート上には、温度が-55℃、-40℃、-25℃、25℃、100℃、125度など異なる温度の時の『IC-VBE特性』が記載されています。
『IC-VBE特性』は温度が高くなると、特性は左側にシフトします。すなわち、温度が高くなると、同じコレクタ電流ICを流すために必要なベースエミッタ間電圧VBEが減少します。また、ベースエミッタ間電圧VBEが一定の時は、温度が高いほどコレクタ電流ICが流れるということになります。
一般的にベースエミッタ間電圧VBEは1℃が上がると、約2mVが下がると言われています(-2mV/℃)。例えば、温度が30℃変化すると、ベースエミッタ間電圧VBEが60mV変化します。ベースエミッタ間電圧VBEは約0.6Vなので、温度が30度変化すると、ベースエミッタ間電圧VBEが約10%も変化するということです。精度を求められる回路では全く無視できない数字となります。
まとめ
この記事ではバイポーラトランジスタの『IC-VBE特性』について、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- バイポーラトランジスタの『IC-VBE特性』とは
- バイポーラトランジスタの『IC-VBE特性』の温度特性
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