バイポーラトランジスタの『電流伝達特性(IC-IB特性)』について

スポンサーリンク


この記事ではバイポーラトランジスタの電流伝達特性(IC-IB特性)について詳しく説明します。

バイポーラトランジスタの『電流伝達特性(IC-IB特性)』とは

バイポーラトランジスタの『電流伝達特性(IC-IB特性)』
バイポーラトランジスタの電流伝達特性(IC-IB特性)とは、コレクタ-エミッタ間電圧VCEを一定とした時において、コレクタ電流ICとベース電流IBの関係を表した特性のことです。

上図のように、コレクタ電流ICがある一定値(IC1)を超えるまで、ベース電流IBが増えると、コレクタ電流IC比例して増加するため特性の形は「線形」になります。また、その比例定数は 直流電流増幅率hFEとなるため、式で表すと
\begin{eqnarray}
I_C=h_{FE}×I_B
\end{eqnarray}
となります。

直流電流増幅率hFEは通常、数10~数100の値なので、ベース電流が10μAオーダーで変化すると、コレクタ電流ICはmAオーダーで変化するということになります。

一方、コレクタ電流ICがある一定値を超えた時、ベース電流IBを増やしても、コレクタ電流ICが増加しなくなります。これがトランジスタの飽和です。

また、トランジスタのデータシートを見ると、直流電流増幅率hFEとコレクタ電流ICの関係を表したhFE-IC特性があります。

下図に東芝製2SC1815の『hFE-IC特性』を示します。
バイポーラトランジスタの『hFE-IC特性』

この特性より、コレクタ電流ICある一定値までは直流電流増幅率hFEがほぼ一定なので、『IC=hFE×IB』よりベース電流IBとコレクタ電流ICは比例関係にあります。しかし、コレクタ電流ICがある一定値を超えると、直流電流増幅率hFEが減少します。その結果、ベース電流IBが増加しても『IC=hFE×IB』よりコレクタ電流ICが増加しなくなるのです。

補足

  • トランジスタをスイッチとして使用する場合は、ベース電流IBを増やしても、コレクタ電流ICが増加しなくなる領域(飽和領域という)を用います。
  • トランジスタをアンプとして使用する場合は、ベース電流IBとコレクタ電流ICは比例関係となる領域(活性領域という)を用います。
  • 直流電流増幅率はhFEではなくβ(ベータ)で表すこともあります。一方、交流電流増幅率は小信号電流増幅率hfe(=ΔIc/ΔIb)で表します。
  • 直流電流増幅率hFEは同一型番のトランジスタでもバラツキが大きいため、設計の際には注意が必要となります。
  • 直流電流増幅率のhFEHybrid Forward Emitterの略となります。

まとめ

この記事ではバイポーラトランジスタの『電流伝達特性(IC-IB特性)』について、以下の内容を説明しました。

当記事のまとめ

  • バイポーラトランジスタの『電流伝達特性(IC-IB特性)』とは

お読み頂きありがとうございました。

当サイトでは電気に関する様々な情報を記載しています。当サイトの全記事一覧には以下のボタンから移動することができます。

全記事一覧

スポンサーリンク