『電気抵抗』と『抵抗率』の式の導出方法について!

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この記事では、電気抵抗R抵抗率ρの式の導出方法について説明します。

『電気抵抗R』と『抵抗率ρ』の式

『電気抵抗R』と『抵抗率ρ』の式

電気抵抗は記号でR抵抗率は記号でρ(ロー)と表されます。

この電気抵抗R抵抗率ρは、自由電子の単位体積(1m3)あたりの個数(数密度と呼ばれる)をn[個/m3]自由電子の平均速度をv[m/s]導体の断面積をS[m2]導体の長さをL[m]とすると、次式で表されます。

\begin{eqnarray}
R&=&\frac{kL}{e^2nS}\\
{\rho}&=&\frac{k}{e^2n}
\end{eqnarray}

上式のk比例定数となっています。また、上式のeは『負電荷の自由電子1個の電気量の絶対値または正電荷の陽子1個の電気量』であり、電子素量と呼ばれるものです。

  • 負電荷の自由電子1個が持つ電気量:-e=-1.6×10-19[C/個]
  • 正電荷の陽子1個が持つ電気量:e=1.6×10-19[C/個]

となります。

では次に、上式の導出方法を詳しく説明していきます。

『電気抵抗R』と『抵抗率ρ』の導出

『電気抵抗R』と『抵抗率ρ』の導出

上図に示すように、断面積S[m2]長さL[m]の導体の両体に電圧V[V]を印加している状況を考えます。

この時、導体内には電場E[N/C]が発生しており、次式で表されます。

\begin{eqnarray}
E=\frac{V}{L}{\mathrm{[N/C]}}\tag{1}
\end{eqnarray}

この電場E[N/C]によって、電気量の大きさがe[C]の自由電子は、力F[N]を左向きに受けます(自由電子はマイナスなので電場Eの方向と逆になります)。電場Eによって生じる力F[N]は次式で表されます。

\begin{eqnarray}
F=eE=e\frac{V}{L}{\mathrm{[N]}}\tag{2}
\end{eqnarray}

上式は有名な『F=qE』の公式において、自由電子の電荷量の大きさがe[C]なので、『q=e』としているだけです。

電場Eによって生じる力F[N]を受けて自由電子は左向きに加速していきます。しかし、自由電子は導体内の陽イオンとの衝突による力(抵抗力)[N]を右向きに受けます。陽イオンとの衝突よる力[N]自由電子の速度v[m/s]が速いほど大きくなります。すなわち、陽イオンとの衝突よる力[N]自由電子の速度v[m/s]に比例します。そこで比例定数kとすると、陽イオンとの衝突よる力[N]は次式で表されます。

\begin{eqnarray}
F=kv{\mathrm{[N]}}\tag{3}
\end{eqnarray}

電場Eによって生じる力F[N]陽イオンとの衝突よる力[N]が等しくなることで、自由電子の速度v[m/s]は一定となります。この時、自由電子の速度vは次式で表されます。

\begin{eqnarray}
e\frac{V}{L}&=&kv\\
{\Leftrightarrow}v&=&\frac{eV}{kL}{\mathrm{[m/s]}}\tag{4}
\end{eqnarray}

一方、電流の大きさI[A]自由電子の単位体積(1m3)あたりの個数(数密度と呼ばれる)をn[個/m3]とすると、次式で表されます。

\begin{eqnarray}
I=envS{\mathrm{[A]}}\tag{5}
\end{eqnarray}

上式については以下の記事で詳しく説明してますので、参考にしてください。

【電流の大きさ:I=envS】の『導出』と『覚え方』について!
【電流の大きさ:I=envS】の『導出』と『覚え方』について!

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(4)式を(5)式に代入すると、電流の大きさI[A]は次式となります。

\begin{eqnarray}
I=envS=en\left(\frac{eV}{kL}\right)S=\left(\frac{e^2nS}{kL}\right)V{\mathrm{[A]}}\tag{6}
\end{eqnarray}

ここで、オームの法則は次式で表されます。

\begin{eqnarray}
V&=&RI\\
{\Leftrightarrow}I&=&\frac{1}{R}V{\mathrm{[A]}}\tag{7}
\end{eqnarray}

(6)式と(7)式を比較すると、電気抵抗Rは次式で表されます。

\begin{eqnarray}
R&=&\frac{kL}{e^2nS}\\
&=&\frac{k}{e^2n}\frac{L}{S}{\mathrm{[Ω]}}\tag{8}
\end{eqnarray}

また、電気抵抗R抵抗率ρを用いると次式で表されます。

\begin{eqnarray}
R={\rho}\frac{L}{S}\tag{9}
\end{eqnarray}

(8)式と(9)式を比較すると、抵抗率ρは次式で表されます。

\begin{eqnarray}
{\rho}=\frac{k}{e^2n}{\mathrm{[Ω・m]}}\tag{9}
\end{eqnarray}

これが、電気抵抗R抵抗率ρの式の導出方法となっています。なお、抵抗率ρについては以下の記事で詳しく説明してますので、参考にしてください。

【抵抗率とは】『単位』や『導電率との違い』などを分かりやすく解説!
【抵抗率とは】『単位』や『導電率との違い』などを解説!

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まとめ

この記事では電気抵抗R抵抗率ρについて、以下の内容を説明しました。

当記事のまとめ

  • 電気抵抗R抵抗率ρの式
  • 電気抵抗R抵抗率ρの導出

お読み頂きありがとうございました。

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