この記事ではIGBTの『伝導度変調』について
- IGBTの『伝導度変調』とは
- IGBTの『伝導度変調』の原理
などを図を用いて分かりやすく説明しています。
IGBTの『伝導度変調』とは?
IGBTのオン状態において、高抵抗のN-ドリフト層にP+コレクタ層のキャリア(正孔)が注入されることで、N-ドリフト層の抵抗値が低下します。これを伝導度変調といいます。
伝導度変調により、N-ドリフト層の抵抗値が大幅に減少するため、IGBTは低オン抵抗を実現しています。
もう少し詳しく説明します。
上図にIGBTの構造を示しています。ここでは、コレクタ(C)側のP層をP+コレクタ層、エミッタ(E)側のP層をPエミッタ層と呼びます。
- ゲート(G)-エミッタ(E)間およびコレクタ(C)-エミッタ(E)間に正の電圧を印加すると、IGBTがオン状態になります。
- IGBT がオンの状態では、P+コレクタ層から正孔(ホール)がN-ドリフト層に注入されます。逆に、N-ドリフト層から電子がP+コレクタ層に注入されます。
- N-ドリフト層の少数キャリアは正孔ですが、P+コレクタ層から正孔が注入されることによって、N-ドリフト層内の正孔が平衡値以上の密度となります。
- N-ドリフト層に正孔がどんどん注入されます。平衡を保つためには、元の数より多くの電子が必要となり、N+層からチャネルを介して電子がN-ドリフト層に注入されます。
- すなわち、N-ドリフト層内の正孔と電子の密度が増加する(キャリア濃度が増加する)ため、導電率が高まります。これを伝導度変調といいます。
補足
- IGBTにおいて、N-ドリフト層は「不純物濃度が低い」&「距離が長く設計されている」ため、抵抗値が大きくなっています。
- 伝導度変調は伝導率変調、導電度変調、導電率変調とも呼ばれています。
- 伝導度変調は英語では「Conductivity Modulation」と書きます
まとめ
この記事ではIGBTの『伝導度変調』について、以下の内容を説明しました。
当記事のまとめ
- IGBTの『伝導度変調』について
- IGBTの『伝導度変調』の原理
お読み頂きありがとうございました。
当サイトでは電気に関する様々な情報を記載しています。当サイトの全記事一覧には以下のボタンから移動することができます。