『発明の名称』には、発明の内容を最も適切に表す名詞にして簡潔に記入します。明細書の中では比較的簡単に書ける場所です。例えば、「〇〇装置」、「〇〇システム」、「〇〇方法」、「〇〇プログラム」のように書きます。ではこの『発明の名称』の書き方について説明します。
書き方
『発明の名称』の書き方について説明します。大きく2つの方法がありますが、前者の方がオススメです。
【特許請求の範囲】の請求項の末尾に合わせる
発明の名称を決める簡単な方法は、【特許請求の範囲】の請求項の末尾に合わせることです。特許法上は、請求項の末尾に合わせて、発明の名称を書くというルールはありませんが、審査官によっては、請求項の末尾と発明の名称を合わせるように指摘される場合があるので、この方法で記入することをオススメします。
例1
【請求項1】Aと、Bと、Cと、を備えることを特徴とする□□装置
と書いてあれば、発明の名称は□□装置とします。
例2
【請求項1】Aと、Bと、Cと、を備えることを特徴とする□□装置
【請求項2】Dであることを特徴とする□□装置の製造方法
と書いてあれば、発明の名称は□□装置およびその製造方法とします。
ただし、必ずしも全ての請求項の末尾と一致させる必要はありません。請求項が多く、全ての請求項を網羅した場合に発明の名称が長くなる場合には、名称は最適に簡略化する方が好ましいです。
普通の名称にする
一般的には請求項の末尾に合わせて発明の名称を書きますが、普通の名称にしても良いと思います。商品名に関する特許であれば、かわいい商品名やかっこいい商品名にしても良いです。
注意点
権利範囲を限定するように書かないようにする
例えば、ペンのノックに関する特許の場合、ボールペンにも利用できるにも関わらず、シャープペンシル用ノック装置のように書かない。「ノック装置」に比べて、「シャープペンシル用の」と書いてあるので、権利が限定されたものになります。なお、この特許が明らかにシャープペンシル用の場合には、シャープペンシル用ノック装置と書くのが好ましいです。
簡単すぎる名称はダメ
この名称は漠然と書くのではなく、発明の内容がある程度具体的に表現されているのが好ましいです。例えば、発明の名称が「検知システム」では何の検知システムか分かりません。「〇〇検知システム」と何を検知しているかを記入することが必要です。
長すぎる名称もダメ
例えば、「AをBすることにより、Cを取り出す〇〇装置」と発明の名称が長すぎるのは良くないです。「〇〇装置」と記入しましょう。
商品名・商標を用いた名称・抽象的な表現・あいまいな表現はダメ
「iphone〇〇システム」、「VVVFインバータ」など、商品名や商法を用いた名称、「最新〇〇システム」、「簡易〇〇装置」など抽象的な表現、「第一システムを利用した○○装置」などあいまいな表現は『発明の名称』に使用することができません。