この記事では『保護ダイオード』において
- レギュレータに『保護ダイオード』が付いている理由
などを図を用いて分かりやすく説明しています。
保護ダイオードによるレギュレータの保護
入力電圧\(V_{IN}\)の投入時や入力部の短絡(ショート)時には、レギュレータ(IC等)に逆電流が流れたり、出力部に負の電圧が印可される可能性があります。そのような可能性がある場合には、レギュレータ付近に適切に保護ダイオードを接続し、保護ダイオードに電流を流すことで対策をします。
対策1:レギュレータに逆電流が流れるのを防止
保護ダイオードがない場合
出力部のコンデンサに電荷が溜まっている状態で、入力部が短絡(ショート)した場合、入力電圧\(V_{IN}\)が出力電圧\(V_{OUT}\)より低下する可能性があります。この場合、レギュレータに逆電流が流れる可能性があります。また、レギュレータの出力電圧\(V_{OUT}\)が入力電圧\(V_{IN}\)より7V程度高いと、内部のパワートランジスタのエミッタ・ベース間電圧の耐圧オーバーとなり、トランジスタが破壊する可能性があります。
保護ダイオードがある場合
保護ダイオードをレギュレータの両端に接続します(アノードが出力部、カソードが入力部の方向)。このように接続すると、入力電圧\(V_{IN}\)が出力電圧\(V_{OUT}\)よりも低くなると、保護ダイオードに電流が流れるため、レギュレータに逆電流が流れることを防止することができます。また、出力電圧\(V_{OUT}\)は「入力電圧\(V_{IN}\)+保護ダイオードの順方向電圧降下\(V_{F}\)」となるため、レギュレータに逆電圧が印可することも防止することができます。
対策2:出力部に負の電圧がかかるのを防止
保護ダイオードがない場合
リニアレギュレータでは出力電圧\(V_{OUT}\)は入力電圧\(V_{IN}\)より低くなります。また、マイナスの電圧を使用するアプリケーションがある場合があります。このような状態において、入力部が短絡(ショート)、または入力部が遮断されると、入力電圧\(V_{IN}\)から出力電圧\(V_{OUT}\)を生成できなくなるため、出力部にマイナスの電圧が印可され、極性反転が生じる可能性があります。
保護ダイオードがある場合
保護ダイオードのアノードをGNDに、カソードを出力部に接続します。このように接続すると、入力部が短絡(ショート)しても、保護ダイオードを通して電流が流れるため、出力部がマイナス電圧になることを防止することができます(正確にはダイオードの-\(V_{F}\)(約-0.6V)以下にならない)。
補足:逆流防止ダイオード
2つ以上のレギュレータから1つの負荷に対して電圧を供給するような回路の場合、各レギュレータから出力される電流が他方のレギュレータに逆流しないように、レギュレータ付近には上図のように逆流防止ダイオードを接続します。