この記事では『電流計』と『電圧計』について
- 電流計と電圧計を用いた電力の測定方法
- A-V接続法
- V-A接続法
などを図を用いて分かりやすく説明しています。
電流計と電圧計を用いた電力の測定方法
電流計Aは負荷に対して直列に接続します。一方、電圧計は負荷に対して並列に接続します。その際、電流計Aと電圧計Vの位置によって2通りの接続方法があります。以下に2通りの接続方法を示します。
- A-V接続法
- V-A接続法
電流計Aの後に電圧計Vを接続する方法。
負荷が軽い(負荷抵抗が大きい)ほど誤差が大きくなる(後ほど式で説明します)。
電圧計Vの後に電流計Aを接続する方法。
負荷が重い(負荷抵抗が小さい)ほど誤差が大きくなる(後ほど式で説明します)。
上記のどちらの接続方法においても、負荷にかかる電力(真値の電力P)と測定電力に誤差が生じます。これから各接続方法における誤差の求め方を説明します。
A-V接続法
測定値の誤差の求め方
負荷抵抗の抵抗値をR、負荷抵抗に流れる電流をIO、負荷抵抗にかかる電圧をVO、電流計の内部抵抗をrA、電圧計の内部抵抗をrVとします。
測定値の誤差εAVはA-V接続法における測定電力PAVと負荷にかかる真値の電力Pの差となります。
\begin{eqnarray}
{ε}_{AV}=P_{AV}-P
\end{eqnarray}
ここで、真値の電力Pは、負荷抵抗にかかる電圧VOと負荷抵抗に流れる電流IOから
\begin{eqnarray}
P={V_O}{I_O}
\end{eqnarray}
となります。
次にA-V接続法における測定電力PAVを求めます。
電圧計の測定値Vは、負荷抵抗にかかる電圧VOと等しいため、
\begin{eqnarray}
V={V_O}
\end{eqnarray}
となります。
また、電圧計にはVOの電圧が印加されているため、電流が流れます。電圧計に流れる電流をIVとすると、
\begin{eqnarray}
I_V=\frac{V_O}{r_V}
\end{eqnarray}
となります。
そのため、電流計の測定値Iは、
\begin{eqnarray}
I=I_O+I_V=I_O+\frac{V_O}{r_V}
\end{eqnarray}
となります。
以上より、A-V接続法における測定電力PAVは
\begin{eqnarray}
P_{AV}&=&VI\\
&=&{V_O}\left(I_O+\frac{V_O}{r_V}\right) \\
&=&{V_O}{I_O}+\frac{{V_O}^2}{r_V}\\
&=&P+\frac{{V_O}^2}{r_V}\\
&=&P+\frac{R}{r_V}{V_O}{I_O}\\
&=&P+\frac{R}{r_V}P
\end{eqnarray}
となります。
真値の電力PとA-V接続法における測定電力PAVを用いると、A-V法における測定値の誤差εAVは
{ε}_{AV}=P_{AV}-P =\frac{R}{r_V}{V_O}{I_O}=\frac{R}{r_V}P
\end{eqnarray}
となります。これより、軽負荷(負荷抵抗Rが大きい)ほど測定誤差εAVが大きくなります。
測定値の誤差率の求め方
測定値の誤差率εAV%は以下の式で求めることができます。
\begin{eqnarray}
{ε}_{AV%}=\frac{P_{AV}-P}{P}
\end{eqnarray}
したがって、A-V法における測定値の誤差率εAV%は
{ε}_{AV%}=\frac{P_{AV}-P}{P}=\frac{R}{r_V}
\end{eqnarray}
となります。これより、軽負荷(負荷抵抗Rが大きい)ほど測定誤差率εAV%が大きくなります。
V-A接続法
測定値の誤差の求め方
負荷抵抗の抵抗値をR、負荷抵抗に流れる電流をIO、負荷抵抗にかかる電圧をVO、電流計の内部抵抗をrA、電圧計の内部抵抗をrVとします。
測定値の誤差εVAはV-A接続法における測定電力PVAと負荷にかかる真値の電力Pの差となります。
\begin{eqnarray}
{ε}_{VA}=P_{AV}-P
\end{eqnarray}
ここで、真値の電力Pは、負荷抵抗にかかる電圧VOと負荷抵抗に流れる電流IOから
\begin{eqnarray}
P={V_O}{I_O}
\end{eqnarray}
となります。
次にV-A接続法における測定電力PVAを求めます。
電流計の測定値Iは、負荷抵抗に流れる電流IOと等しいため、
\begin{eqnarray}
I={I_O}
\end{eqnarray}
となります。
また、電流計にはIOの電流が流れているため、電圧が生じます。電流計に生じる電圧をVAとすると、
\begin{eqnarray}
V_A= r_AI_O
\end{eqnarray}
となります。
そのため、電圧計の測定値Vは、
\begin{eqnarray}
V=V_O+V_A=V_O+ r_AI_O
\end{eqnarray}
となります。
以上より、V-A接続法における測定電力PVAは
\begin{eqnarray}
P_{VA}&=&VI\\
&=&\left(V_O+ r_AI_O \right) {I_O}\\
&=&{V_O}{I_O}+ r_A{I_O}^2 \\
&=&P+ r_A{I_O}^2 \\
&=&P+\frac{ r_A }{R}{V_O}{I_O}\\
&=&P+\frac{ r_A }{R}P
\end{eqnarray}
となります。
真値の電力PとV-A接続法における測定電力PVAを用いると、V-A法における測定値の誤差εVAは
{ε}_{VA}=P_{VA}-P =\frac{ r_A }{R}{V_O}{I_O}=\frac{ r_A }{R}P
\end{eqnarray}
となります。これより、重負荷(負荷抵抗Rが小さい)ほど測定誤差εVAが大きくなります。
測定値の誤差率の求め方
測定値の誤差率εVA%は以下の式で求めることができます。
\begin{eqnarray}
{ε}_{VA%}=\frac{P_{VA}-P}{P}
\end{eqnarray}
したがって、V-A法における測定値の誤差率εVA%は
{ε}_{VA%}=\frac{P_{VA}-P}{P}=\frac{ r_A }{R}
\end{eqnarray}
となります。これより、重負荷(負荷抵抗Rが小さい)ほど測定誤差率εVA%が大きくなります。