インダクタやコンデンサのデータシートを見ると、直流抵抗(DCR)、交流抵抗(ACR)、等価直列抵抗(ESR)といったパラメータが記載されています。
これらのパラメータの違いについて説明します。
直流抵抗(DCR)
直流抵抗とは、言葉の通り素子(コンデンサやインダクタ)に直流を流した時の抵抗値です。
英語ではDirect Current Resistanceと書き、頭文字を取ってDCRとも呼ばれています。また、DC抵抗とも呼ぶこともあります。電池の世界ではDC-IRと呼ぶ場合もあります。
特徴
- 直流抵抗は純抵抗と同じ意味であり、単位はΩ(オーム)です。
- インダクタで使用されることが多いパラメータです。
- 変数ではRDCRと書く場合が多いです。
交流抵抗(ACR)
交流抵抗とは、言葉の通り素子(コンデンサやインダクタ)に交流を流した時の抵抗値です。
英語ではAlternating Current Resistanceと書き、頭文字を取ってACRとも呼ばれています。また、AC抵抗やインピーダンスとも呼ぶこともあります。電池の世界ではAC-IRと呼ぶ場合もあります。
特徴
- 交流抵抗の単位はΩ(オーム)です。
- コンデンサで使用されることが多いパラメータです。
- 変数ではRACRと書く場合が多いです。
- 後に説明する等価直列抵抗(ESR)と同じです。
- データシートに記載されている交流抵抗は、一般的に交流の周波数を1kHz程度に設定して測定していることが多いので1kHzにおける抵抗とも言えます。
インダクタの交流抵抗
インダクタの交流抵抗はコアの渦電流損を発生させる抵抗成分、表皮効果と近接効果により増加した導線の抵抗成分を含んだ抵抗となります。インダクタの交流抵抗は周波数に比例して大きくなるため、高周波で使用する場合には、電力損失や素子の温度上昇に注意する必要があります。
コンデンサの交流抵抗
コンデンサの交流抵抗は低周波領域では誘電体の分極の遅延による誘電損失に相当する抵抗成分となります。高周波領域では、電極の表皮効果や近接効果に相当する抵抗成分となります。このように交流抵抗は周波数によって変わるので注意しましょう。
等価直列抵抗(ESR)
等価直列抵抗は交流抵抗(ACR)と同じ意味であり、素子(コンデンサやインダクタ)に交流を流した時の抵抗値となります。
英語ではEquivalent Series Resistanceと書き、頭文字を取ってESRとも呼ばれています。
コンデンサのデータシートでは交流抵抗(ACR)ではなく、等価直列抵抗(ESR)を用いている場合が多いです。