この記事では『可変抵抗の電気的特性』について
- 全抵抗値
- 残留抵抗
- 最大減衰量
- 挿入損失
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
可変抵抗の全抵抗値とは
可変抵抗の全抵抗値は、端子1-3間の抵抗値です。全抵抗値は可変抵抗のつまみを回しても変化せずに一定です。
例えば、「1kΩの可変抵抗」は「端子1-3間の抵抗値が1kΩですよ!」ということを示しています。
全抵抗値は「公称全抵抗値」とも呼ばれています。
可変抵抗の残留抵抗とは
可変抵抗の残留抵抗は、摺動子(しゅうどうし)を最小または最大動作位置にした時の抵抗値です。
具体的には、残留抵抗は摺動子(端子2)を端子1側の終端に移動させた場合には端子1-2間の抵抗値となります。摺動子(端子2)を端子3側の終端に移動させた場合には端子2-3間の抵抗値となります。
可変抵抗の最大減衰量とは
可変抵抗の最大減衰量は、出力電圧\(V_{OUT}\)を最小にした時の電圧比(出力電圧\(V_{OUT}\)/入力電圧\(V_{IN}\))です。
もう少し詳しく説明すると、可変抵抗の最大減衰量は、摺動子(端子2)を「端子1側の終端」もしくは「端子3側の終端」に移動させた時における「入力電圧\(V_{IN}\)(端子1-3間の電圧)」と「出力電圧\(V_{OUT}\)(端子1-2間または端子2-3間の電圧)」の比であり、デシベル(dB)で表示します。
例えば、摺動子(端子2)を「端子3側の終端」に移動させた場合には、「入力電圧\(V_{IN}\)(端子1-3間の電圧)」と「出力電圧\(V_{OUT}\)(端子2-3間の電圧)」の比になり、式で表すと次式となります。
\begin{eqnarray}
\mbox{最大減衰量}=20{\log}_{10}\frac{V_{OUT}}{V_{IN}}{\mathrm{[dB]}}
\end{eqnarray}
最大減衰量はオーディオ機器の音量をどこまで小さくできるかを表しています。オーディオ機器に用いる可変抵抗は先ほど説明した残留抵抗の代わりに、最大減衰量とこの後に説明する挿入損失のパラメータが使用されることがあります。
可変抵抗の挿入損失とは
可変抵抗の挿入損失は、出力電圧\(V_{OUT}\)を最大にした時の電圧比(出力電圧\(V_{OUT}\)/入力電圧\(V_{IN}\))です。
もう少し詳しく説明すると、可変抵抗の挿入損失は、摺動子(端子2)を「端子1側の終端」もしくは「端子3側の終端」に移動させた時における「入力電圧\(V_{IN}\)(端子1-3間の電圧)」と「出力電圧\(V_{OUT}\)(端子1-2間または端子2-3間の電圧)」の比であり、デシベル(dB)で表示します。
例えば、摺動子(端子2)を「端子1側の終端」に移動させた場合には、「入力電圧\(V_{IN}\)(端子1-3間の電圧)」と「出力電圧\(V_{OUT}\)(端子2-3間の電圧)」の比になり、式で表すと次式となります。
\begin{eqnarray}
\mbox{挿入損失}=20{\log}_{10}\frac{V_{OUT}}{V_{IN}}{\mathrm{[dB]}}
\end{eqnarray}
挿入損失はオーディオ機器の音量をどこまで大きくできるかを表しています。入力電圧\(V_{IN}\)と出力電圧\(V_{OUT}\)の差は小さいほど良いです。
まとめ
この記事では『可変抵抗の電気的特性』について、以下の内容を説明しました。
- 全抵抗値
- 残留抵抗
- 最大減衰量
- 挿入損失
お読み頂きありがとうございました。
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